報告書 - わかとり科学技術育成会

【わかとり科学虎の穴】中学生のためのサイエンスカフェ/第4回
フライドチキンの解剖学
日
時:1 月24 日(土)13:00~15:00
会
場:鳥取環境大学 まちなかキャンパス(末広温泉町)
講
師:サイエンスコミュニケーター 小泉 信夫氏(獣医師)
指
導:鳥取環境大学教授 足利裕人
【概 要】
サイエンスコミュニケーターで獣医師の小泉信夫氏に、「フライドチキンの解剖学」というテーマで、
実習をまじえた指導をしていただきました。フライドチキンをほぐし、筋肉や骨を確かめながら食べ、
残った骨を鍋で煮てできた晒し骨で、ニワトリの骨格構造を学びました。また、経済動物としてのニワ
トリのあまり一般に知られていない事情などを語りました。
■筋肉や骨
ケンタッキーフライドチキン 50 ピースを準備しました。これらは首から上が無く、9個の部位
に分かれています。各自異なる部位のピースを2~4個ていねいにほぐし、筋肉や骨の形状や付き
方を確かめながらいただきました。残った骨を 40 分間鍋で煮て残った肉を落す間、各部位につい
て次のように説明を聞きました。
1
部位で味が違う。
2
胸の筋肉は大きい。深胸筋はササミであり、持久力がある。一方、浅胸筋は飛ぶときの瞬発力が大
きい。
3
腰の部位には腎臓や尿管が付いている。
4
嘴は骨に裏打ちされ、中から成長し、周りがはがれるのでいつもするどく、血管が通っている。嘴
の色は冬は肌色だが、春は濃くなる鳥もある。
5
猛禽類は人間の尺度で言えば視力 6.0 と、双眼鏡で見たような解像度で、180℃以上の範囲が見え
る。また、眼窩が大きい。
6
身体は自律神経中心に発達している。
7
鳥は首をかしげたとき、何も考えていない。
8
ヤマシギは後ろ側に立体視の領域があり、前は立体視できない。
9
ふくろうは耳の位置がずれていて、立体感がすぐれている。首かしげるときは音を聞いている。
10 にわとりは前に目があり、エサをさがすのに適している。
11 首の骨は人もキリンも 7 個だが、サギは 20 個以上。鳥類は首がねじれないから骨が多くなった。
12 喉仏は第二頸椎。鳥は胸がしっかり箱型についていて動かないので、首の骨が多くて可動範囲を広
めている。
■ニワトリの骨格構造
煮汁を捨てて新聞紙の上にできた晒し骨を広げ、各部位に分け、説明を聞きながら骨格の組み立てイ
メージを学びました。
■日本の養鶏事情
日本には産卵鶏が約 1.3 億羽おり、ブロイラーは年に5~6回出荷し、肥育中のものは1億羽です。
では、日本には何羽の鶏がいるのでしょう、というクイズが出されました。ブロイラーは卵から出荷ま
で7~8週間で出荷体重 2~3 ㎏になります。現在の主な輸入国はブラジル、米国で、これらの国は鳥
インフルエンザが発生していません。法定伝染病として家禽コレラ、高病原性インフルエンザ、ニュー
カッスル病、家禽サルモネラ感染症の4種類が定められています。届出伝染病には鳥インフルエンザ他
11 種類あります。
ケンタッキーフライドチキンのニワトリは5週齢で小さく、味が乗らないので高圧釜で蒸し、スパイ
スを多量に使っているとのこと。出荷までに乾燥重量で3倍の餌が必要であり、これを資料効率といい
ます。食感、味、餌代金で出荷を考え、抗生物質は出荷数週間前から使えないとのことでした。