衛星設計・通信に知っておきたい 電気・情報・通信の基礎知識 福岡工業大学情報工学科 田中卓史 Ham Radio: JA6AVG 目次 • • • • • • QSAT衛星の電波 アンテナ・電磁波 伝送線路 送信機 シールド (パケット通信、変調方式) QSATの電波 • 衛星の速度/光速 = 8/300000 ドップラー効果 • 上り : 145MHz λ= 206cm ≒ 2m ±145MHz x 8/300000 = ±3.87kHz • 下り : 436MHz λ= 69cm ≒ 70cm ±436MHz x 8/300000=±11.6kHz 実際は真正面でないので ±8kHz程度 高周波の性質 波長のサイズの回路では「電気の常識」 が通じない(集中定数 → 分布定数) 導線上の電圧は同じでない 導線上の電流は同じでない アンテナ → 空間にエネルギーが出てゆく 空間からエネルギーを貰う アンテナの放射インピーダンス アンテナの長さ • アンテナは共振すると純抵抗に見える • 少し長いと R+jX 直列にコイルが入ったみたいに見える • 少し短いと R-jX 直列にコンデンサが入ったみたいに見える • 実際の長さ= 波長x短縮率 インピーダンス の変化 ダイポールによる電磁波の発生 モノポールによる電磁波の発生 導体表面 の反射 電界は面方 向0 磁界は垂直 方向0 となるように 電流がなが れる アンテナの指向性(地上高) 軸方向 平行平面 交流理論 • 交流電圧・電流は複素平面上を回るベクトル 同じスピードで回れば止まって見える 実際の電圧・電流は射影 • インピーダンス(交流抵抗)は 複素平面の右半分のベクトル • 電圧、電流、インピーダンスはベクトルで計算 • アドミッタンス=1/インピーダンス インピーダンス(交流抵抗) コイル L: jωL コンデンサ: 1 j ωC = -j ωC 交流の複素表示 共振(同調)回路 同調特性 • 共振周波数 f= 1/2π√LC • 共振すると純抵抗にみえる • Qが高いほど鋭く共振する • 直列共振 共振周波数でほぼショート状態になる CとLにはQ(数十~百)倍の電圧が加わる • 並列共振 共振周波数でほぼオープン状態になる CとLにはQ(数十~百)倍の電流が流れる 伝送線路 波動インピーダンス Z=V/I SWR (Standing Wave Ratio) スミスチャート • 同軸ケーブルの信号の伝わる速度(短縮率) = 光速 x (0.66~0.88) • 波動インピーダンスで終端すると無反射 • 1/4 波長以下で終端を オープン → コンデンサー ショート → コイル • 1/4 波長でインピーダンス Z が反転する オープン ←→ ショート コイル ←→ コンデンサー • 1/2 波長で元のインピーダンスに戻る インピーダンス の変換 バラン アンテナインピーダンス整合 送信機 定格負荷になってないと • 軽い(アンテナ側インピーダンスが高い) 定格出力が出せない • 重い(アンテナ側インピーダンスが低い) コレクタが飽和しない → トランジスタの損失増加、発熱 定格出力がでない タンク回路のQ低下 → 高調波発生、電波の質悪化 静電誘導・電磁誘導 • 高周波は回路図にない回路を電流が流れる! 雑音(電波の回り込み) • センサーなど増幅回路 混変調(ノンリニアまでの振幅) 同相除去できない大きな振幅 → 高周波ゲインを落とす • コンピュータなどデジタル回路 DIPSWオープン → Lowインピーダンス (対策) シールド、電源回路、信号回路にフィルター シールド • 静電シールド → 金属板 → ○ • 静磁シールド → 高透磁率 →× • 高周波電磁界 → 導体閉空間 おわり
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