1 概要 調査名 タケプロン カプセル 15、同 OD 錠 15 特定使用成績調査

概要
調査名
調査の目的
調査のデザイン
サンプルサイズ
タケプロン カプセル 15、同 OD 錠 15 特定使用成績調査
「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制:
長期使用」
低用量アスピリン服薬中の患者にタケプロン カプセル 15、
同 OD 錠 15(以
下、本剤)を最長 12 ヵ月間投与した際の安全性及び有効性を検討した。
観察研究
3366 例
以下の選択基準を満たし、かつ除外基準にも抵触しない患者。
選択基準:
以下の①~③のすべてを満たす患者
① 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往のある患者
② 血栓・塞栓の形成抑制のために低用量アスピリン(1 日 1 回 81mg~
対象患者
観察期間
調査期間
アウトカム
解析内容
安全性の結論
324mg)の長期間の投与が必要な患者
③ 低用量アスピリン(1 日 1 回 81mg~324mg)を本剤投与開始時に服薬
している患者(低用量アスピリン投与開始と同日から本剤投与開始す
る患者を含む)
除外基準:
以下の①~③のいずれかに該当する患者
① 本剤の投与開始時に胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を有する患者(内視鏡検
査を実施した場合、ステージ分類での活動期[A1、A2]又は治癒期[H1、
H2])
② 本剤の投与開始時に活動性の上部消化管出血を有する患者
③ 本剤の投与禁忌に該当する患者
本剤の投与開始日から 12 ヵ月間とした。
ただし、以下の①、②のいずれかに該当した場合は、その時点で調査を終
了した。
① 本剤の投与を中止した場合
② 低用量アスピリンの投与を中止した場合
なお、本剤と低用量アスピリンの併用投与中に胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃
又は十二指腸の出血性病変のいずれかが発症した場合、これらに対する治
療後の転帰を判定するまで観察を行い、調査を終了した。
2010 年 8 月 16 日~2014 年 1 月 31 日
アウトカムの定義
Primary Endpoint
副作用の発現頻度
Secondary Endpoints
ランソプラゾール投与開始後の胃・十二指腸潰瘍又は出血性病変の発現
症状別の副作用の発現頻度、重篤性、発現までの時間を集計。
内視鏡検査実施の有無、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍発症の有無、胃又は十二
指腸の出血性病変発症の有無、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃又は十二指腸の
出血性病変に対する治療内容、転帰を集計。
安全性評価対象症例 3,255 例を用いて、有害事象・感染症(以下、有害事象
等)及び副作用・感染症(以下、副作用等)について集計した。
1) 有害事象等の発現状況
有害事象等の発現頻度は 9.77%であった。
主な有害事象等は、下痢(0.83%)、鼻咽頭炎(0.40%)、心不全(0.37%)、
肺炎(0.34%)及び咽頭炎(0.31%)であった。
本効能の承認審査時に、本調査で骨折、市中肺炎、心血管・脳血管イベ
ントの発現状況を検討するよう求められていた。骨折に関する有害事象
として、脊椎圧迫骨折(0.06%)、大腿骨頚部骨折、大腿骨骨折、骨折、
1
脊椎骨折、手首関節骨折、外傷性骨折、骨盤骨折及び頭蓋骨骨折(各
0.03%)がみられた。市中肺炎に関する有害事象として、肺炎(0.34%)
がみられた。心血管・脳血管イベントに関する有害事象の発現頻度は
1.66%であり、このうちクロピドグレルとの併用例(465 例)で発現した
心血管・脳血管イベントの発現頻度は 4.30%であった。
2) 有害事象等の重篤性、発現時期、転帰
本剤の長期投与による影響が懸念された骨折に関する発現時期は 1~28
日に 1 件、85~168 日に 3 件、169~336 日に 4 件、337 日以降に 2 件の
発現で長期投与による一定の傾向はみられなかった。
市中肺炎に関しても 1~28 日に 4 件、29~84 日に 1 件、85~168 日に 2
件、169~336 日に 4 件、337 日以降は 0 件で長期投与による一定の傾向
はみられなかった。
3) 副作用等の発現状況
副作用等の発現頻度は 1.84%であった。
主な副作用等は、下痢(0.71%)、悪心(0.12%)、顕微鏡的大腸炎及び
薬疹(各 0.09%)であった。
本効能の承認審査時に、本調査で骨折、市中肺炎、心血管・脳血管イベ
ントの発現状況を検討するよう求められていた。骨折に関する副作用と
して、脊椎骨折(0.03%)がみられた。市中肺炎に関する副作用はなか
った。心血管・脳血管イベントに関する副作用として、突然死(0.03%)
がみられた。
4) 副作用等の重篤性、発現時期、転帰
発現時期については、本剤投与 28 日以内に 15 件、29~84 日に 17 件、
85~168 日に 19 件、169~336 日に 13 件、337 日以降に 4 件が発現し、
本剤の投与期間に応じて発現頻度が増加する等の傾向はみられなかっ
た。重篤な副作用等は 5 件発現し、転帰は、未回復の 3 件、死亡の 2 件
及び不明の 2 件を除いて、回復又は軽快した。
5) 患者背景、治療内容要因別の副作用等の発現状況及び各種層別の副作用
等の発現状況
層間で副作用等の発現頻度に統計学的有意差がみられたものは、
「性別」
であった。性別の副作用等発現頻度は「女性」でやや高く、主な副作用
等は、下痢(1.14%)であった。女性にのみ発現している副作用等はい
ずれも 1 件のみであり、
特徴的な頻度が高い副作用等はみられなかった。
6) 重篤な副作用等の発現状況
重篤な副作用等は 5 例に発現し、下痢、突然死、突発難聴、リンパ腫※及
び過敏性血管炎が各 1 例であった。転帰は、突然死及びリンパ腫※は「死
亡」であったが、その他は「回復」又は「軽快」している。調査担当医
師による本剤との因果関係は、2 例が他要因や詳細不明で「評価不能」、
2 例が時間的な関連から本剤の関与が否定できず「関連あり」※、1 例が
既知の副作用等で「関連あり」とされた。
2
※調査期間終了(2014 年 1 月 31 日)後に、本剤との因果関係について
調査担当医師から「関連なし」との追加情報を得ている。
有効性の結論
1) 本剤投与開始後の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍、胃又は十二指腸の出血性病
変
有効性評価対象症例 3,210 例のうち、本剤投与開始後に胃潰瘍又は十二
指腸潰瘍を発症した症例は 20 例(0.6%)であった。
本剤投与開始後に胃又は十二指腸の出血性病変を発症した症例は 9 例
(0.3%)であった。
本剤投与開始後に「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍」又は「胃又は十二指腸の
出血性病変」を発症した症例は 24 例(0.7%)であった。
これら 24 例に発症した「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍」又は「胃又は十二
指腸の出血性病変」の転帰は、「不明」の 1 例を除いてすべて「回復」
又は「軽快」であった。
2) 有効性に影響を与えると考えられる要因
「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍」又は「胃又は十二指腸の出血性病変」の発
症頻度は、ステロイド薬併用例では 5.4%、NSAID 併用例では 4.9%、そ
の他の抗血小板薬・抗凝固薬併用例では 2.4%であった。年齢層別、
H.pylori 感染有無別、飲酒有無別、喫煙有無別の発症頻度に大きな違い
はみられなかった。
3