希土類酸化物含有ゼオライトを用いた排ガス浄化触媒の開発

材料分野
平成26年度共同研究
希土類酸化物含有ゼオライトを用いた排ガス浄化触媒の開発
担当部所
共同研究者
:
:
栃木県産業技術センター
吉澤石灰工業株式会社
材料技術部
背景
ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質
(PM)の低減が課題となっている。PMはフィルタによりろ
過するシステム(DPF)で捕集され、堆積したPMは酸化除
去されている。近年、燃焼効率の向上により、排ガス温
度の低下が進行していることから、より低温でPMを酸化
除去する触媒の開発が求められている。
本研究では、PM酸化特性を有する酸化セリウムナノ粒
子が粒子内に分散して存在する酸化セリウムナノ粒子分
散ゼオライトの酸化触媒特性の発現について調査した。
排ガス処理フィルター
公益社団法人日本セラミックス協会HPより引用
酸化セリウムナノ粒子分散
ゼオライトのTEM写真
研究目標と結果
研究目標
●酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライトを用いて、熱安定性、触媒活性に優れたPM酸化触媒を開発する。
【目標:カーボン燃焼開始温度400℃以下】
実施内容
① 酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライト(CeO2-Q)の
キャラクタリゼーション
10nm以下の酸化セリウムナノ粒子の生成と
母材はゼオライト構造と非晶質で構成されることを確認
③ 酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライトのアルカリ処理
酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライトを
水酸化カリウム溶液で処理
酸化セリウムナノ粒子を覆う一部の非
晶質層の溶解と、微細なK型ゼオライト
の生成を確認
Fig. X-ray diffraction pattern and TEM images of CeO2-Q.
② 酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライトの 酸化触媒活性
(a) Blank (without catalyst), (b) CeO2,
(c) 44.3% Ce-Q heated at 900 ℃,
(d) 76.8% Ce-Q heated at 900 ℃
Fig. Conductivity change of water trapped degradation product
from mixtures of sample and castor oil heated at 120 ℃.
Fig. X-ray diffraction patterns and TEM images of alkali-etching CeO2-Q.
触媒によるカーボン燃焼温度の
低下を確認
酸化セリウムナノ粒子分
散ゼオライトは酸化触媒
活性を発現しない
酸化セリウムナノ粒子が
ゼオライト粒子の内部に
存在
酸化セリウムナノ粒子
を露出させて、触媒活
性を発現させる
Table Combustion temperatures of carbon black
with catalytic samples.
Fig. TG curves of mixtures of sample (alkali-etching
CeO2-Q or CeO2 reagent) and carbon black.
T(ig) / ℃
blank
556.9
CeO2 reagent
317.4
CeO2 -Q
519.4
alkali-etching CeO2-Q KOH solution / M
1
448.9
2
432.8
3
401.9
アルカリ処理で触媒活性の発現に成功
まとめ
●水酸化カリウム溶液を用いたアルカリ処理により、酸化セリウムナノ粒子分散ゼオライトの酸化セリウム
ナノ粒子を覆う非晶質層を溶解できることが分かった。
●アルカリ処理試料において、カーボン燃焼触媒活性の発現を確認した。
御来場の皆様へ
問い合わせ先:栃木県産業技術センター 材料技術部 TEL 028(670)3397
カーボン燃焼触媒としての利用が可能です。
自動車関連企業・セラミックス関連企業等と連携し、DPF用PM酸化触媒として実用化が期待されます。
Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture