腰痛予防に関して

スタッフ満足安全衛生委員会
安全衛生委員会からのお知らせ
腰痛予防に関して
【提出日】2015年9月3日
労働災害及び腰痛災害発生件数
日々の業務、お疲れ様です。今回のテーマは「腰痛予防」です。1月に配信しました安全衛生委
員会からのお知らせにも記載しておりますとおり、労災発生の産業分類別で見るとホテル(接
客・娯楽)や介護(保健衛生業)が含まれる第三次産業では増加傾向にあります。
厚生労働省の調べによると平成25年度は休業4日以上の死傷災害は118,157人ですが、うち
第三次産業は51,420人と半数近くを占めております。※グラフ参照
第三次産業の「接客・娯楽」
「保健衛生業」を抜粋してみる
と死傷災害で最も多いのは、つ
まずきなどによる「転倒」が最
も多く、「動作の反動・無理な
動作(腰痛)」は増加傾向と
なっています。
労働災害のうち、腰痛災害発生
件数は、保健衛生業で1339件、
接客・娯楽で250件となってお
ります。
災害性腰痛とは・・・
業務上の負傷に起因する疾病の
うちの腰痛(ぎっくり腰などの
急性のもの)
非災害性腰痛とは・・・
重量物を扱う業務、腰部に過度
の負担を与える不自然な作業姿
勢により行う業務、その他腰部
に過度の負担のかかる業務によ
る腰痛(慢性のもの)
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スーパーホテルグループ安全衛生委員会
厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」について
厚生労働省では労働災害としての腰痛を防ぐために、1994年に『職場における腰痛予防対策指
針』(以下『指針』)を作成しましたが、2000年に介護保険制度がスタートして介護サービス
業が発展したこともあり、保健衛生業(介護・看護系)での腰痛発生件数は、年々増大していま
す。よって最近では、取り上げる領域に介護・看護系を含め、全体を見直して新しい知見を取り
入れる形で2013年に『指針』を大幅改訂しました。
この指針に記載されている内容は介護サービスだけでなく、オフィスワークでも十分に役立つた
め、是非参考にして取り入れていただきたいと思います。
物を運ぶときには、前屈、中腰、ひねり、後屈ねん転(体幹を後方に傾けながらねじる)など、
不自然な姿勢を取らないようにすることがポイントです。前屈や中腰になりそうなら膝をつく、
向きを変えるときには、ひねらずに身体ごと向きを変えるなど、腰に負担がかかるような不自然
な中腰やひねりを避けましょう。
重量物を扱う時の姿勢
重量物を取り扱うときは、なる
べく身体を荷物に近づける。
そうすると、腰ではなく脚・膝
の力で持ち上げることができ、
バランスを崩した場合でも不自
然な姿勢になりにくい。
(『職場における腰痛予防対策
指針』別紙解説より抜粋)
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スーパーホテルグループ安全衛生委員会
腰痛予防でストレッチング
『指針』では、腰痛予防体操で筋肉の柔軟性を保ち、疲労回復を図ることを勧めています。そ
のためには、一般的な体操や筋トレよりも、ストレッチングが望ましいとされています。
ストレッチングには動的ストレッチングと静的ストレッチングがありますが、腰痛予防体操と
して推奨されるのは、筋肉を伸ばした状態で静止する静的ストレッチングです。腰を中心に、下
半身、上半身など、全身のいろいろな筋肉を伸ばすと良いとされています。
実施するのはいつでもかまわないのですが、「疲労の蓄積度合いに応じて、適宜、腰痛予防体
操を実施できるようにすることで、ストレッチングの本来の効果が得られる」とされています。
同じ姿勢を続けないためにも、仕事の合間に小休止して、ときどき実施するとよいでしょう。
気分転換でリラックスできます。
効果的なストレッチを行うポイント
(1)息を止めずにゆっくりと吐きながら伸ばしていく
(2)反動・はずみはつけない
(3)伸ばす筋肉を意識する
(4)張りを感じるが痛みのない程度まで伸ばす
(5)20秒から30秒伸ばし続ける
(6)筋肉を戻すときはゆっくりとじわじわ戻っていることを意識する
(7)一度のストレッチングで1回から3回ほど伸ばす
『職場における腰
痛予防対策指針』
解説より抜粋
別紙に①『新職場の腰痛対策マニュアル』と
②『腰痛がなかなか良くならない場合の体操
メニュー』を添付しております。あわせてご確
認ください。
※出所:独立行政法人労働者健康福祉機構
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スーパーホテルグループ安全衛生委員会
リスクアセスメントという考え方
新しい『指針』では、リスクアセスメントという手法を取り入れています。1つ1つの作業につ
いて、作業姿勢、実施する頻度、作業環境などを確認し、リスクの大きさを判断します。そして、
リスクが大きい作業を見極めて、そこから改善を図ります。
いつもやっている作業の中で、腰に負担がかかりそうなものはどれか、どのくらい負担になり
そうか、頻度が多かったり、時間が長い作業はどれかなどリスクが高いものがあれば、台車や踏
み台を購入してもらう、椅子を調整する、機器の配置を変えるなど、対策を講じることができま
す。また、家庭での作業をアセスメントしてみるのもいいでしょう。顔を洗うとき、子どもを抱
き上げるとき、車から荷物を取り出すときなど、不自然な姿勢になっていないか確認する必要が
あります。自分の身を守るために、腰痛を予防して快適な暮らしを守ることを心がけましょう。
腰痛予防のリスクアセスメントの考え方
作業姿勢
評価
基準(内容の目安)
前屈、中腰、座位姿勢になる作業において適切な作業姿勢ができていない
大いに問題があ
る
不良
腰をひねった姿勢を長く保つ作業がある
不安定で無理な姿勢が強いられる
やや問題が
ある
殆ど問題が
ない
やや不良
良
前屈、中腰、座位姿勢になる作業において適切な作業姿勢を意識しているが十分に実践されていない
適切な作業姿勢を実践している
重量負荷
評価
かなり大きい
大
要介護者または重量物を持ち上げるなどの作業において介護作業者1人あたりの重量負荷が20kg以上になる
基準(内容の目安)
やや大きい
中
要介護者または重量物を持ち上げるなどの作業において、介護作業者1人あたりの重量負荷はあるが20kg未
満である
小さい
小
重量負荷は殆どない
頻度
評価
頻度にある
頻繁
基準(内容の目安)
腰に負担のかかる動作が1時間あたり十数回になる
腰に負担のかかる動作が数回程度連続することが切れ目なく続く
腰に負担のかかり回数が1時間あたり数回程度である
時々ある
時々
腰に負担のかかる動作が連続することがあるが、腰部に負担の少ない軽作業との組み合わせがある
あまりない
ほぼ無し
腰に負担のかかる回数が1日に数回程度
作業時間
評価
時間がかかる
長い
同一姿勢が10分以上続く作業がある
基準(内容の目安)
やや時間が
かかる
やや長い
同一姿勢が数分程度続く作業がある
あまりない
短い
作業環境
評価
大いに問題があ
る
問題あり
作業場所が狭い(作業場が確保できない)滑りやすい、段差や障害物がある、室温が適切ではない、作業場所
が暗い、作業に伴う動作、姿勢を考慮した設備の配置などがなされていない
やや問題が
ある
やや問題
対策が講じられている程度、問題は解決されているが十分ではない
殆ど問題ない
問題なし
適度な作業空間があるが、すべり転倒などの対策ができている、段差や障害物がない、適切な室温が保たれて
いる、適切な明るさである、作業に伴う動作、姿勢を考慮した設備の配置などが配慮されている
リスク
評価
同一姿勢が続くような作業は殆どない
基準(内容の目安)
基準(内容の目安)
高
腰痛発生リスクは高く優先的にリスク
『a』の評価が2個以上含まれている
提言対策を実施する
中
腰痛発生リスクは中程度であり、リス
『a』の評価が1個以上含まれている、または『b』評価
ク低減対策を実施する
低
腰痛発生リスクは低いが必要に応じて
『b』と『c』の評価の組み合わせ、または全て『c』の評価
リスク提言対策を実施する
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参考:厚生労働省HP
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/ 日経BP