「北海道の子どもたちの学力について考える会」の概要

ほっかいどう学力向上推進事業
「北海道の子どもたちの学力について考える会」の概要
平 成 27年 8 月 25日 開 催
発行:石狩教育局
石狩教育局と千歳市教育委員会は、平成27年8月25日(火)、千歳市民文化センター(北ガス文化ホー
ル)において「ほっかいどう学力向上推進事業『北海道の子どもたちの学力について考える会』」を開催
しました。
本会には、管内の市町村教育委員会職員や学校関係者、保護者、地域住民等約100名が参加し、講演、
説明、実践発表・パネルディスカッションを通じて、子どもたちに基礎学力を付けさせることの大切さ
について共通理解を深めました。
講演
「子どもの生活習慣・学習習慣の確立について~体験が培う自立的行動習慣~」
講師:国立大雪青少年交流の家所長 阿 部
豊 氏
教育とは、学校はもとより、家庭や地域で行われるものです。
・例えば、夏休みのラジオ体操で、地域の大人や友だちに「おはようござい
ます」と挨拶をすること、スタンプをもらって「ありがとうございます」
とお礼を言うことなど、全てが子どもたちにとって重要な教育の場である。
学力と体力、倫理観、正義感、生活習慣には、相関関係が見られます。
・全国学力・学習状況調査の上位県は、全国体力・運動能力、運動習慣等調査等調査においても上位
であり、倫理観や正義感も高いという傾向が見られる。
・また、過去の全国学力・学習状況調査から、学力と生活習慣の相関関係が明らかになっている。
「まじめ」であることの大切さに真剣に向き合う必要があります。
・これまでの全国学力・学習状況調査によると、北海道では、
「家で勉強する」
「家の手伝いをする」
「携
帯電話の使い方について家の人と約束したことを守る」など、「まじめ」の目安となるものが、小・
中学生ともに低い値となっている。
家族や地域とのかかわりが大切です。
・家族行事や家の手伝いなど、家族との関わりが多いほど、職業意識等が高いというデータがあり、
家庭における体験が重要であることが分かる。
・学力・体力の上位県である福井県では、地域の人々が子どもたちに積極的に声をかけたり見守った
りするなど、人を思いやる気持ちが風土として醸成されている。
体験が子どもの心と体をはぐくみます。
・国立大雪青少年交流の家では、小学校第3学年から中学校第3学年までを対象に、富良野岳登山を含む
厳しいプログラムを組んだ野外教育事業を実施している。
・8日間の中で、24名の子どもたち一人一人が困難な状況に出遭ったが、協力して全員がそれ
を解決していった。
・8日間の体験を終えた、全ての子どもたちの表情は自信に満ちあふれていた。
自立的行動習慣と自己肯定感をはぐくむことが学力と体力の向上につながります。
・「自分の思ったことは、はっきりと言う」「周りの人に迷惑をかけずに行動する」
「困ったときでも前
向きに行動する」
「相手の立場になって考える」などの自立的行動習慣や「勉強は得意な方だ」
「体力
には自信がある」などの自己肯定感を家庭や地域における体験をとおしてはぐくむことが、学力・体
力向上のために大切である。
実践発表・パネルディスカッション
テーマ「学校・家庭・地域が一体となった子どもの学力の向上に向けた取組について」
千歳市立信濃小学校 林
克哉 教諭
・信濃小学校では、基礎学力定着の取組や授業改善、学習規律や生活習慣の定着などに、教職員
が一丸となって取り組んでいる。
・特に、生活習慣の定着については、校長とPTA会長の連名によるお知らせの文書や「親父の
会」による通信を発行をするなど、保護者との連携による取組の充実を図っている。
千歳市立千歳中学校 重山 麻人 主幹教諭
・千歳中学校では、学習習慣や生活習慣等について自己管理ができるよ
うになることを目指し「習慣形成の7step」に取り組んでいる。
・校区の6つの小学校では、中学校で設定した「7stepの目標値」を共
有し、各小学校の実態に応じた取組を進めるなど、小中連携による取
組を推進している。
【実践発表の様子】
千歳市立勇舞中学校 杉本 祐治 校長
・学力向上と生活習慣の定着は、車の両輪である。
・勇舞中学校では、ノーチャイムに取り組み、生徒が時間を守り、授業に
集中するなどの成果を上げている。
【パネルディスカッションの様子】
千歳市PTA連合会 安藤 聖司 会長
・今年の4月に市内で統一した家庭生活のルール「千歳市家庭生活宣言」を
発表した。
・「千歳市家庭生活宣言」は、発表して終わりではなく、関係機関と連携し
普及啓発に努めることが大切であると考えている。
千歳市町内会連合会 沼田 常好 会長
・地域では、様々な行事等を通じて、家庭や子どもたちとのつながりを深め
ている。
・地域の取組を一層進めるためには、学校や家庭と地域住民のコミュニケー
ションの充実を図る必要がある。
【千歳市家庭生活宣言】
千歳市教育委員会教育部 安榮 智弘 主幹
・多くの市民に学校や保護者、地域の取組を理解してもらえるよう、情報発信に努める必要がある。
・市で行っている学力向上に関する取組の成果の普及に努めることが大切である。
教育支援課長 新 山 知 邦
・変化の激しいこれからの社会を生きる力をはぐくむため、子どもたち一人一人に確かな学力を身に付
けさせなければならない。
・そのためには、学校、家庭、地域が互いの情報を共有し、一体となった取組を進めることが大切である。
参加者の声
○
我が子の姿を思い浮かべながら講演を聴き、家庭での生活習慣をしっかりと整える
必要があると思いました(保護者)。
○ 実践発表やパネルディスカッションをとおして、同じ目標を共有できたのではない
かと感じました(地域住民)。
○ 実践発表では、PTAと連携した子どもの生活習慣の改善に向けた取組が参考にな
りました(学校関係者)
。