第04回 (2015/05/07)

工業熱力学演習問題
平成 27 年 5 月 7 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
図のようなジュールの実験において,水の量
を 1.00L とし,質量 8.00kg のおもりを 10.0m
落下させた。落下回数 50.0 回の後の水の温
度上昇は何℃か,ただし、おもりを持ち上げ
るときは撹拌羽は動かないものとし、落下エ
ネルギーがすべて水に吸収されるとする。さ
らに、水の比熱は 4.19kJ/kgK とする。
【問題 2】
◦
◦
1.60kW のヒーターを 10.0 C, 1.40kg の水の中に入れて水を加熱した。65.0 C
になるまでに何分かかるか。水の比熱は 4186J/kgK、ヒーターの熱は全て水
に伝わり、水から逃げてゆかないものと考える。
【問題 3】
空欄 A,B,C には、“体温計の測温部温度”, “体温計の指示温度” , “体温”, の
うちのいずれかを入れ、空欄 D には正しい文字を入れて次の文か完成させよ。
ただし、部分点はなく、A,B,C,D は全てが正しいときに正解とする。
ある体温計がある。この体温計が A:
を正しく測定するために
は A:
と B:
が等しく、 B:
が C:
と等しいとした
とき体温計が正しく人の体温を示すことになる。これを熱力学の第
D:
法則という。
解答には A:
のように文字を書くこと。
工業熱力学演習問題解説
平成 27 年 5 月 7 日 (木)
【解説 1】
記号化する。水の量は V m3 、水の比重量は ρ kg/m3 、おもり質量は m kg、
落下距離は h m、落下回数は n とする。水の量は mw kg であるが、これを求
めると mw = ρV である。水の比熱は、c J/kgK とすると、落下する物体の位
置エネルギーが温度上昇 ∆T に等しいとして、
nmw gh = mc∆T
であるので、この式を変形して (変形結果は示さないができるはず)、計算する。
水の温度上昇は 9.39 ℃
【解説 2】
ヒーター出力を P W、水の温度を T K、水の質量、比熱をそれぞれ m kg, c
◦
J/kgK とする。水の温度をわずかに ∆T C あげるのに必要な熱量 Q J とそ
のわずかな時間 ∆t s は、水の熱容量からと、ヒーター出力から
Q = P ∆t = mc∆T
となる。「わずかの」時間と温度上昇を ∆ という記号で表すのがこの問題を
応用することのできる微分的アプローチ。これを P t = mc(T2 − T1 ) としても
解ける。しかし、微分的アプローチの方が良い。
∆T
P
=
,
∆t
mc
65.0 − 10.0
1.60k
=
∆t
1.40 · 4186
計算途中で有効数字にまとめると正しい答は出ない。
201.5 秒だから、3 分 21.5 秒
【解説 3】
完成させた文は
ある体温計がある。この体温計が A:体温 を正しく測定するためには
A:体温 と B:体温計の測温部温度 が等しく、 B:体温計の測温部温度
が C:体温計の指示温度 と等しいとしたとき体温計が正しく人の体温を
示すことになる。これを熱力学の第 D:ゼロ 法則という。
である。