第3回 グローバリゼーション下の日本企業 1 企業行動への影響 ・輸出企業の行動の変化 ⇒円安:輸出増大・収益好転 円高:輸出減少・収益悪化 例)トヨタ自動車 2015年2月に発表した2015年3月期の営業利益は 2兆7000億円の見込み。 2年連続で最高益を更新する見通しだ 1円安→400億円の増益 サッポログループの2016年度の営業利益目標に匹敵 2 企業行動への影響 ・内需関連企業 ⇒円安:輸入価格高騰・収益悪化 円高:輸入価格下落・収益好転 2014年の倒産件数:345件(前年2.7倍) 出典:帝国データバンク『「第3回:円安関連倒産」の動向調査』2015.1.7 3 出典:帝国データバンク『円安に対する企業の意識調査』2015/1/19 4 出典:帝国データバンク『円安に対する企業の意識調査』2015/1/19 5 企業行動への影響 ・為替変動リスクを抑え、企業収益 への影響軽減を模索 ⇒企業の海外進出:産業の空洞化 6 企業行動への影響 ・輸出入ネットワークを通じた 分業体制の構築 ⇒アジアにおける工程間分業 の進展 出典:平成16年度『年次経済財政報告』 内閣府 http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je04/0400302.html これだけでは企業はグローバル化 に対応できない 7 東アジアの各国・地域の中間財・最終貿易動向 出典:『通商白書2011年版』 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2011/2011honbun_p/2011_02-1.pdf 8 工程間分業の例 タイ タイ 生産集 積拠点 技術集 約的生 産工程 ラオス、ミャンマー カンボジア 労働集 約的工 程 生産集積拠点であったタイから労働集約的工程を、 より賃金の安いラオス、ミャンマーカンボジアへ 9 日本企業が「グローバル化」でつまずく要因 1. もはや競争優位ではない「高品質」に 対するこだわり 2. いわゆる「生態系」の構築ではなく、 モノしか見ていない視野狭窄 3. 曖昧な地球規模の長期戦略と取り組みの 遅れ 4. 生産現場以外でのマネジメントの不手際 出典:産業政策本部「企業のグローバルな発展に向けた人材マネジメント上の課題を聞く」 『経団連タイムス』 2013年1月24日 No.3116 10 つまづいた要因を作り出した背景 • 「グローバル化」のパラダイムシフトを 正しく認識してこなかった • 1980年以降の「グローバル化」 • ⇒「G7、国内生産と輸出、モノづくり、 Kaizen、ネイティブ・イングリッ シュへの憧れ」 最もグローバル化しているはずの企業の集まり =経団連の発言 ⇒かなり深刻な指摘 11 つまづいた要因を作り出した背景 2000年以降のグローバル化 「G20、現地での企画・開発・生産、 『生態系』づくり、イノベーション、 グローバル・イングリッシュの必要性」 へと変化 日本企業の経営者の多くは「国際化」の なかで成長してきたため、「グローバル 化」の変化に気づかないできた。 出典:産業政策本部「企業のグローバル発展に向けた人材マネジメントの課題を聞く」 『経団連タイムス』2013年1月24日 No.3116 12 グローバル化時代を生き抜くためには • グローバル時代に世界の人材と協働し ていくためには、現在のような日本人 の価値観だけでは十分に対応できない この考え方は、1990年代盛んに議論 された、日本的経営の海外移転= ジャパナイゼーションの否定につな がる 13 グローバル化時代を生き抜くためには • グローバル化が最も進んだ段階では、 事業面においては世界のネットワークの なかで最適地を選択して対外直接投資を 拡大 • 人材マネジメントの面においては国籍を 問わず適材適所の人材活用が必要 時に、海外(途上国)において日本企業は欧米企業よ りも評価が低い理由 →給料が現地企業と同じ →プロモーションが途中まで 14 グローバル化時代を生き抜くためには • 今後とも本社機能を国内に置き、日本 人だけで競争を勝ち抜くことができる のか、再考すべき時期に来ている 今までにない、一歩踏み込んだ考え →本社機能、研究開発は日本 →生産、販売などは海外 出典:産業政策本部「企業のグローバル発展に向けた人材マネジメントの課題を聞く」 『経団連タイムス』2013年1月24日 No.3116 15 海外拠点の設置・運営に当たっての課題 出典:『通商白書2013年版』 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2013/2013honbun_p/pdf/2013_02-04-01.pdf 16 企業がグローバル人材確保に当たって重視する能力 出典:『通商白書2013年版』 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2013/2013honbun_p/pdf/2013_02-04-01.pdf 17 グローバル人材に共通して求められる能力 出典:『通商白書2013年版』 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2013/2013honbun_p/pdf/2013_02-04-01.pdf 18 グローバル人材に共通して求められる能力 ここ数年、社会的にグローバル人材の必要 が叫ばれているのは、こうした財界からの 要望が背景にある 問題は今までは、企業は自ら人材を養成し てきたが、急速なグローバリゼーションの 進展と体質が弱まっている企業には、グ ローバル人材を養成する時間とコストがな いというのが実情 出典:『通商白書2013年版』 http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2013/2013honbun_p/pdf/2013_02-04-01.pdf 19 グローバル人材にさらに必要な考え方 • 「類まれなオープンマインドさ」 • 「大きな感受性・共感力」 • 「世界のどこから来た人々とも、 つながり、共に働く力」 • 「他者への敬意」 • 「文化的好奇心」 • 「複数の言語能力」 出典:産業政策本部「企業のグローバル発展に向けた人材マネジメントの課題を聞く」 『経団連タイムス』2013年1月24日 No.3116 20 グローバル人材にさらに必要な考え方 • 「実験を厭わない意思」 • 「地球市民的行動と感性」といった 資質・考え方も必要 多元的視野・考え方を持って 行動する人材の必要 出典:産業政策本部「企業のグローバル発展に向けた人材マネジメントの課題を聞く」 『経団連タイムス』2013年1月24日 No.3116 21 それだけではないグローバル化 • ダイバーシティからの価値創造 • チーム力と個の力の両方を活用する マネジメント能力 出典:産業政策本部「企業のグローバル発展に向けた人材マネジメントの課題を聞く」 『経団連タイムス』2013年1月24日 No.3116 22 第3回 まとめ • 貿易によって成長してきた日本企業は グローバリゼーションへの影響が大き い • 日本企業はグローバル化に対する認識 が十分ではない • 特に、企業で活躍する人材育成に苦し んでいる 23 第3回 まとめ • 急速に変化するグローバリゼーション に対応するには発想の転換とそれに合 わせた行動が必要である • それは産業界だけではなく産官学一体 となった取り組みが必要である 24 The founding spirit of Rikkyo University is steeped in Christian values of providing a liberal education that nurtures every aspect of the individual. These values continue to be our guiding principle. 25
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