2012年度法情報学演習 第15回 レポート(ゼミ論文)作成・講評 2013年1月24日(木) 東北大学法学研究科 金谷吉成 <[email protected]> 2012年度法情報学演習 1 2013年1月24日 最終レポート(ゼミ論文) 最終レポート(ゼミ論文) – 各自が選択し報告したテーマをレポートにまとめる 共同報告の場合でも、レポートについては各人がそれぞれまと めて個別に提出すること 報告の際、分担を決めて調査・分析をした場合などは、自己の担 当部分をまとめることでも、全体を通してまとめることでも構わな い – 各自が報告したテーマとは別に、ゼミ論文用にテーマを選 択し直してもよい 形式 – ワープロソフトでA4印刷できるよう作成 – 電子メールにより電子的に提出 – レポート枚数および様式は問わない 個別報告の内容をまとめるだけでも最低2~3ページにはなるの ではないか 提出期限:2013年2月1日(金) 2013年1月24日 2 2012年度法情報学演習 論文の構成 <例1> 章・節・款・項・目 <例2> はじめに 1. 問題意識 2. 本稿の構成 第1章 ○○○○ 第1節 ×××× 1. 2. 第2節 ×××× はじめに 第4節 小括 第2章 ○○○○ 4 ×××× Ⅱ ○○○○ 終章 **総括と今後の課題 Ⅴ 総括と課題 2013年1月24日 Ⅰ ○○○○ 1 ×××× (1) (2) 2 ×××× 3 2012年度法情報学演習 論文の構成を考える アウトラインの作成 – フリーライティング 論文を書き始める前に、トピックについて思いつくままに 何でも書き出してみる 「私はこう思う」「私が言いたいことは○○だ」というもの を見つけ、そこから枝を伸ばして論点を書き出していく さらに、各々の論点の根拠や具体例を挙げていく – cf. マインドマップ – 目次を作ったり、図を作ったりするのも効果的 見出しを付ける – 文章を書き始める前に付ける – 文章を書き終わってから付ける 2013年1月24日 4 2012年度法情報学演習 表現する 一文一義 – 一文はできるだけ短く – 一つの文で一つのことをいう 主語と述語を対応させる – 悪い例:「法情報学演習では、情報に関する法律 問題について、個別報告を行う。」 主語と述語が対応していない – 長い文章では気付かないこともある 接続助詞「が」はなるべく使わない – 悪い例:「法情報学演習ではさまざまなテーマを取 り扱ったが、どの問題も興味深かった。」 逆接なのか単純接続なのかわかりにくい 2013年1月24日 5 2012年度法情報学演習 注の付け方 頁毎 章毎 巻末 第2章 ○○○○ 1. 総説 ~~~~~~~~ ~~~~1)、~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~2)。 ~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~24)。 参考文献 1) ~~~~~~。 2) ~~~。 2013年1月24日 注 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 ~~~~~~。 6 <第1章> ○○『××』(△、2012) ○○『××』(△、2012) ○○『××』(△、2012) ○○『××』(△、2012) <第2章> <第3章> 2012年度法情報学演習 著作物の「引用」について 科学=先人たちの膨大な研究業績の積み重ね – 自然科学 ニュートンvs.アインシュタイン – ニュートン力学から相対性理論へ – 社会科学 歴史的所産の蓄積を基礎としてはじめて、新たな知見を築くこ とができる 「引用」は、先人に対する敬意であるとともに、後進 への橋渡しでもある – 出典を明示することで、読者が後でその情報にアクセ スでき、より深い知識が得られる – 引用の仕方や引用元の信頼性に誤りや問題がないか なと、事実関係が調査できる 2013年1月24日 7 2012年度法情報学演習 著作物の「引用」 「引用」とは – 著作権法32条1項「公表された著作物は、引用 して利用することができる。この場合において、 その引用は、公正な慣行に合致するものであ り、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目 的上正当な範囲内で行なわれるものでなけれ ばならない。 」 2013年1月24日 8 2012年度法情報学演習 適法な「引用」とは 公正な慣行に合致するものであり、かつ引 用の目的上正当な範囲内で行われるもの であること(著32条1項) カギ括弧を付けるなど、自分の著作物と引 用部分を区別すること(明瞭区別性)* 自分の著作物が主で、引用される他人の 著作物が従であること(主従の関係)* 出所(出典)を明示すること(著48条) *最判昭和55年3月28日民集34巻3号244頁。 2013年1月24日 9 2012年度法情報学演習 法律文献等の出典の表示方法 法律編集者懇話会 「法律文献等の出典の表示方法」 http://www.law.kobe-u.ac.jp/citation/mokuji.htm 2013年1月24日 10 2012年度法情報学演習 2012年度法情報学演習で扱ったテーマ 小原「ハイテク犯罪とサイバーポリス」(2012/11/8) 夏井・萩原「P2P・ファイル共有ソフト」 (2012/11/15) リ「通信と放送の融合」 (2012/11/22) 佐々木・外山「ネット社会の法的問題」 (2012/11/29) 小久「表現の自由と青少年保護」・大谷「有害情報規 制に関する現行法制度の課題と今後の展開」 (2012/12/6) 浜田「インターネットと国際訴訟」 (2012/12/13) 木村・太田「インターネットと著作権~ダウンロード刑 罰化~」 (2012/12/20) 貴志・原「電子商取引」 (2013/1/10) 山口・花岡「迷惑メール」 (2013/1/17) 2013年1月24日 11 2012年度法情報学演習 情報に関する法律問題 情報のデジタル化、ネットワーク化 – 情報の価値の高まり 劣化しない 大量のデータを処理することが可能 新たな付加価値が生ずることもある 容易に伝達することができる – 地球規模のコミュニケーション 新たな法律問題 2013年1月24日 12 2012年度法情報学演習 法律や制度はどうあるべきか 情報化が適切に進展するための制度整備 – 標準化、技術開発 – 既存の法律がデジタル化やネットワーク化の 障害になっているような場合は、法律の本来 の目的を損なわないようなかたちで障害を取り 除く 規制緩和 新たに発生する問題に対するルール整備 – 現行法によるルールが有効かどうか – 新たな法律・制度をどのように整備すべきか 2013年1月24日 13 2012年度法情報学演習 今後の課題 今後も新しい問題が生ずる – いまはまだ法律や制度が十分に対応しきれて おらず、判例等の蓄積も多くない – 個々の具体的な事例等について、その都度考 えていく必要がある 法律の知識だけでなく、さまざまな分野の知識が必 要となる 広い視野を持って問題と向き合ってもらいたい 2013年1月24日 14 2012年度法情報学演習 最近の話題①:SNSでのトラブル FacebookやTwitterなどで、従業員や学生 等が不適切な書き込みを行う事例 – 未成年者の飲酒・喫煙、無免許運転や遺失物 横領、窃盗など犯罪行為の告白、犯罪予告 – 守秘義務違反、個人情報流出 病院に医療事務員として4月からの就職が内定し、 研修中の医療専門学校の学生が、twitterに「○○ (ある有名スポーツ選手)のカルテみてみた」との書 き込みを行った。(2013年1月16日) 学校は学生の処分を決定、学生は内定を辞退 一方で、企業等では、SNSの積極的な活用 が求められる面も 2013年1月24日 15 2012年度法情報学演習 最近の話題②:個人情報の意図せぬ収集 M2Mサービスの進展 – M2Mとは、Machine-to-Machineの略語で、ネット ワークにつながれた機械同士が人間を介在せず に相互に情報交換を行い、さまざまな制御を自動 的に行う仕組み 自動販売機の在庫管理、業務車両の位置情報、監視カ メラ、気象データの観測など これが進むと……?私たちの生活に直接関係する電化 製品(冷蔵庫、洗濯機、調理器、湯沸器、電灯など)もい ずれネットワーク化されるかもしれない – 便利になる反面、個人情報流出の危険が増大 GPS情報の利用 – スマホ、デジカメ写真(位置情報や撮影日時が自 動的に記録される) 2013年1月24日 16 2012年度法情報学演習 最近の話題③:ライフログ ライフログ(Life Log) – 人間の生活・行動を、デジタルデータとして記録す ること 食べた物、会った人、行った場所、読んだ本、買った物 などを記録 体重や体調、起床・就寝の時刻、エクササイズの記録 (歩数、消費カロリー数)、ドライブレコーダー ブログやSNSに書き込んだり、Evernoteなどのクラウド サービスを利用したり – 何の役に立つのか? 過去を楽しむ、将来の行動を予測する ウェブサイトで自動的に「おすすめ」が表示される、場所 や嗜好に合ったクーポン券を発行 – プライバシーへの不安 2013年1月24日 17 2012年度法情報学演習 最近の話題④:ソーシャルゲーム ソーシャルゲームの課金システム – 基本的には無料で遊べるが、アイテムやアバター などを有料で提供しているものが多い – 重課金で遊んでいる一部のユーザと、その他大多 数の無料ユーザ それでもペイする、むしろ現在の日本のゲーム市場は ソーシャルゲーム全盛時代になっている 何らかの「中毒」をもたらしているのではという懸念 出会い系サイトとして利用されることの懸念 射幸心をあおるコンプリートガチャ 消費者庁による規制の動き 未成年者への超過課金問題(未成年者へは月間利用 上限を設定しているが、システムの設計ミスにより、上 限を超過してゲーム利用料金を課金してしまった) 2013年1月24日 18 2012年度法情報学演習 最近の話題⑤:ステルスマーケティング ステマ – 2012年ネット流行語大賞 – 消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること、 口コミサイトに行為的な投稿を多数投稿するなどの手法が 用いられる 消費者庁の対応 – 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関 する景品表示法上の問題点及び留意事項」(2011年10月) 「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段とし て、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼し て掲載させ、当該『口コミ』情報が、当該事業者の商品・サービス の内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に 係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認さ れるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題 となる。」 → 消費者庁による措置命令 → 命令に違反した場合は罰則 ただし、具体的な表示が景品表示法に違反するか否かは、個々 の事案ごとに判断される 2013年1月24日 19 2012年度法情報学演習 おしまい この資料は、2012年度法情報学演習の ページからダウンロードすることができます。 http://www.law.tohoku.ac.jp/~kanaya/infosemi2012/ 授業アンケートのお願い – この場での記入をお願いします。 – 提出したら退席して構いません。 – レポート作成についての質問等があれば、引 き続き受け付けます。 2013年1月24日 20 2012年度法情報学演習
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