平成 27 年 7 月 16 日 進 路 指 導 部 はじめに 文化祭が終わり、学校もようやく落ち着きを見せています。前号でも書きましたが、この時期の過ごし方は大 切です。 さて、この文化祭中に何人かの卒業生が会いに来てくれました。私は、63回生、65回生、66回生の卒業 生のクラス担任を務めましたが、63回生は現在大学4年生、65回生は大学2年生、66回生は大学1年生に 該当します。同じ大学生でも置かれている立場は大きく異なるようです。 「京都大学特色入試」について 京都大学は、平成28年度入試から、高等学校と大学との接続・連携を緊密なものとする「高大接続」型の入学 者選抜である「京都大学特色入試」を導入します。この入試は、学部一律ではなく、個々の学部が定めたカリキュ ラムと教育コースを受けるにふさわしい学力と意欲を備えた者を選抜する点に特徴があります。 そこで、各学部の入試日程をまとめてみました。 第1次選考結果 第2次選考 学 部 学 科 出願期間 第2次選考 発表 合格発表 総合人間学部 11/2~6 11/30 12/23 ※ 文学部 12/16~21 2/3 2/5 ※ 教育学部 10/5~9 10/30 11/28.29 12/15 法学部 1/25~2/3 2/28 3/12 3/23 経済学部 12/16~21 2/3 2/5 ※ 理学部 10/5~9 10/30 11/28,29 12/15 医学科 11/2~6 11/30 12/22,23 1/13 医学部 人間健康科学科 10/5~9 10/30 11/14,15 12/15 薬学部 薬学科 10/5~9 10/30 11/28 12/15 地球工学科 11/30 12/24,25 1/13 電気電子工学科 ※ 11/2~6 情報学科 11/30 12/24,25 1/13 工業化学科 11/30 ※ 農学部 食料・環境経済学部 12/16~21 2/3 2/5 ※ ※については、第2次選考合格発表と最終合格発表が同じであることを示しています なお、詳細(日程等も含めて)については、必ず、京都大学のホームページで確認してください。また、7月 10日(金)に京都大学ホームページ上で、出願に必要な提出書類様式(推薦書,学業活動報告書)に MS-word ファ イル版を追加されました。 工学部 医学部を志望する高校生について 先日、河合塾で医学部受験に関する講演と説明会が行われました。まず、大阪大学医学部医学科教授 和佐勝 史 先生から「医学部を志望する高校に期待すること」と題して講演が行われました。大阪大学医学部での取組 を紹介されるとともに、 「高校時代に身につけて欲しいこと」として3つのことがあげられました。 ○ コミュニケーション能力 医学の臨床は、医師(麻酔科医、放射線科、病理医) 、放射線技師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、研修医、 学生など多職種との共同作業であり、患者とのコミュニケーション能力は必須であることから、 「人の話が聞ける」 「相手の立場になって物事を考えることができる」能力は重要であるとのことでした。 ○ 英語力 最近の学生は、受験勉強により読む力はあるが、聞き取りと会話力に課題があるとのことです。大阪大学では、 英語教育の目標として、 “海外の学会でプレゼンテーションができる” “外国人に外来診察(病歴聴取、診察、病 状説明できる”をあげていますが、平成28年度から2~4年次で医学教育を必須科目にする予定とのこと。 ○ 幅広い教養 医師は総合的な人間力が問われます。その意味で、幅広い教養や一見何の役にも立たない知識が重要であると のことです。そして、できれば、入試で選択しない科目も選択、しっかりと学んで欲しいと言われました。この ことは、医学だけではなく、すべての分野において高校生に求められていることではないでしょうか。 また、最後に、将来成功する学生について話されました。確かなことは、成績は全く関係なく、 「素直なこと」 「元気なこと」 「他人の世話ができること」とのことです。 なお、2015 年度入試についての説明会も行われました。もし、受験情報等でわからないことがあれば、生徒た ちには進路指導部池本まで申し出てもらいたいと思っています。 「青年期」について 7月8日の毎日新聞朝刊で、 「パラサイト・シングル」や「婚活」という言葉を社会に提唱した中央大学教授の 山田昌弘さんが、 「青年期」について以下のような文章を書かれていました。 「就職活動期」の誕生 大学教員にとって、学生の進路は大きな関心事である。7月は各種公務員採用の1次試験が毎週のようにあり、 8月1日(今年の大手企業採用開始日)を前に、会社訪問が最盛期にある。 10年前に比べ、近年は焦っている大学4年生は少なくなっているという印象がある。企業業績がよくなり採用 も上向きというのもあるが、4年生にとって今は、就職活動の総仕上げ期なのである。今の大学生は、入学した時 からキャリア教育を受ける。卒業時に就職先が決まっているためには、 「入学時点から計画を立てましょう」と勧 められる。 新入生から「就職に有利なサークルはどこですか」という質問を受けたこともある。公務員試験などのため、2 年生時から講座に通う学生も多い。留学やボランティア、サークル活動、そしてアルバイトも、就職面接の時に「こ れだけのことをやって、こんな成果を上げることができた」という「面接用のエピソード体験」に変換される。就 職活動にはお金がかかり、本格化した時期にアルバイトしないで済むよう貯金に励む学生もいる。少しでも就職に 有利であると考えて、インターンシップの競争倍率は高い。つまり、就職試験や面接は、4年間励んだ就職活動の 結果を出すものになっている。 これは大学受験にそっくりである。大学入学を希望する高校生にとって、希望大学に合格することが最大の目標 である。高校卒業のために授業は受けるが、受験に役立つかそうでないかで物事が判断される。入試合格のために 準備する時期を「受験期」と呼ぶなら、大学生という時期は就職のための準備期間「就職活動期」と位置づけられ ているのではないか。お互いが就職活動に専念するため、彼女と別れたという話も聞いた。 「受験に邪魔だから、 高校時代は控えましょうね」というのと同じことが、大学生でも起こっている。これが最近、大学生の男女交際率 が下がった一因かもしれない。 就職活動という言葉がなかった1990年ごろまでは、 大学に入学すると 「自分がやりたいことをみつけなさい」 と言われたものである。社会に疑問を持ち政治活動を始める人もいれば、学問に目覚め熱心に勉強したりする学生 もいた。当時は大学生の就職が安易だったから、就職解禁目前に少し準備すれば、誰でもそれなりの就職先は見つ からなかったのである。 「モラトリアム」と呼ばれながらも、自由に夢を見て、さまざまなことを試す「青年期」 を実践していた。 今は青年期が就職活動期に置き換わってしまった。若者にとって、いや、社会にとってよいことなのだろうか。 青年心理学では、 「青年期」の発達課題は「アイデンティティの確立」であると言われていますが、若者の「モ ラトリアム」を認めるような社会の余裕は必要ではないでしょうか。 終わりに 来年の全国高等学校総合文化祭は広島で開催されます。各部門とも今年度の滋賀大会の視察を含めて、取組が 進められているようです。私が関わっている「百人一首かるた部門」も秋のプレ大会に向けて準備を進めて行き ますが、本校競技かるた部は司会・進行を担当します。本当に貴重な体験になりますが、大会運営を通して、多 くのことを学んで欲しいと思っています。 (文責:進路指導部 池本 邦彦)
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