科目名 動物トキシコロジー実習 配当〔3 年次 後期 1 単位 選択 実習

科目名
動物トキシコロジー実習
(英語表記)Practice of Toxicology
配当〔3 年次
後期
1 単位
選択
実習〕
〔コーディネーター
代田
眞理子(比較毒性学研究室)〕
授業の概要
トキシコロジーの分野では、実験動物を用いた多くの安全性試験ガイドラインが制定され、世界各国の試験研究機関で
実施されている。安全性試験は「試験計画の立案」、「試験の実施」、「成績の評価」の順に進められていく。本実習ではこ
の過程のうち、化学物質による主要臓器への影響の有無と安全性や危険性の程度を評価するための試験計画の立案、
生体機能に対する有害性の評価方法ならびに形態学的評価方法を実習する。
教育目標
(ねらい)
化学物質の生体に対する有害作用を、個体、細胞、組織、器官、個体レベルで解析することを通して人と動物に対する
安全の観点から広範な動物生命科学の総合的な知識と技術を身に付けた人材の育成を目標とする。
到達目標
・安全性を評価するための試験計画の立案、生体機能に対する有害性の評価方法を理解し、その理論的背景を説明で
きる。
・化学物質による健康影響評価を行うための簡単な試験操作ができる。
成績評価方法
の割合
レポート 60%、平常点 40%。
教科書
参考文献
参考文献:獣医病理学実習マニュアル(学総社)、獣医毒性学(近代出版)、はじめの一歩のイラスト病理学(羊土社)、最
新毒性病理学(中山書店)
履修条件
実験動物学、動物病態学、解剖学、組織解剖学、動物トキシコロジーⅠおよびⅡの知識を必要とする。
学習課題
生命への尊厳と緊張感を持って実習に臨む。関連科目(動物病態学、動物トキシコロジーⅠおよびⅡ、実験動物学など)
(予習・復習) の復習をして実習に臨むことを推奨します。実習進行に関して、各担当教員から連絡を受ける。
オフィスアワー
回
担当者
メールによる連絡。
連絡先:m-shirota××@azabu-u.ac.jp(代田)
授業内容
生体機能に対する有害性の評価Ⅰ:ガイダンス、子宮肥大試験について、ガイドラインに準じた試験計画の立案から実施
までの流れを学ぶ。また、エストロジェン活性を有するモデル化学物質を用いた子宮肥大試験で得られた組織標本を観
察し、子宮肥大試験の原理と方法を理解する。
生体機能に対する有害性の評価Ⅱ:薬物代謝酵素の誘導が化学物質の作用あるいは毒性に及ぼす影響を学ぶため
に、ラットに誘導剤あるいはその溶媒を投与する。また、投与後の動物について、急性毒性試験で用いられている方法で
一般状態を観察し、急性毒性試験の観察方法を実習する。
生体機能に対する有害性の評価Ⅲ:薬物代謝酵素を誘導した動物を用いて、麻酔時間を測定し、薬物代謝酵素の誘導
が、化学物質の作用に及ぼす影響を学ぶ。その際、神経学的検査を実習する。また、尿の性状に影響を及ぼす化学物
質を動物に投与し、その動物を代謝ケージに収容して、採尿を実習する。
1
代田
2
代田
3
代田
4
代田
生体機能に対する有害性の評価Ⅳ:代謝ケージに収容して採取した尿を用いて、毒性試験における尿検査の概要を実
習する。投与物質と尿検査の各種パラメーターとの関連性を理解する。
5
代田
生体機能に対する有害性の評価Ⅴ:薬物代謝酵素を誘導した動物を用い、薬物代謝酵素の誘導が、化学物質の毒性に
及ぼす影響を標的器官と標的ではない器官についての肉眼的観察から学ぶ。
6
代田
生体機能に対する有害性の評価Ⅵ:活性代謝産物による肝臓毒性を、酵素誘導動物と非誘導動物との間で組織レベル
で比較し、薬物代謝酵素の誘導が化学物質の毒性に及ぼす影響を学ぶ。
7
代田
生体機能に対する有害性の評価Ⅶ:胎児骨格標本の観察を実習する。骨化の進行と発育の相関性を理解する。
8
代田
生体機能に対する有害性の評価Ⅷ:得られたデータを用いて総合評価を実習する。
9
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法・肝臓、腎臓、膵臓、他、Ⅰ:薬物中性肝臓障害は、本質的に肝臓障害に暴露さ
れた場合に個体差なく誘発される毒性学的変化であることについて、正常肝臓と肝臓障害について細胞形態学的に比
較検討することから学習する。
10
和久井
トトキシコロジー試験・安全性試験評価法・肝臓、腎臓、膵臓、他、Ⅱ:化学物質あるいはその代謝物質が毒性量以上に
肝臓に移行したために誘発されることについて学ぶ。特に、肝小葉を血流から 3 ゾーンに分けて、化学物質あるいはその
代謝物質の細胞毒性ついて細胞形態学的に比較検討することから学習する。
11
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法・肝臓、腎臓、膵臓、他、Ⅲ:腎臓は薬物や化学物質の主要排泄路であり、毒性
が発現しやすい臓器である。これは単位重量当たりの血流量が大きいこと、尿の生成過程において尿細管腔内で水分濃
縮が起こりこれに起因して発現することを学ぶ。
12
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法・肝臓、腎臓、膵臓、他、Ⅳ:腎臓は、化学物質・薬物あるいはその代謝産物によ
って障害を受けることから、障害を受けた腎臓糸球体、近位尿細管、遠位尿細管の細胞毒性について細胞形態学的に
比較検討することから学習する。
13
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法、遺伝毒性試験発がん性試験評価法Ⅰ:遺伝毒性は化学物質による DNA 損傷に
起因する。損傷には化学物質が直接 DNA に作用する場合(直接作用性遺伝毒性物質)や、肝臓などに存在する薬物代謝
酵素によって化学物質が代謝活性化された後に DNA に損傷を与える場合があることを学ぶ。
14
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法、遺伝毒性試験発がん性試験評価法Ⅱ:遺伝毒性を受けた細胞集団はその後、
プロモーター作用によって形態学的変化を示すようになる。これら細胞の形態学的変化は遺伝毒性化学物質によって異
なること学ぶ。
15
和久井
トキシコロジー試験・安全性試験評価法、遺伝毒性試験発がん性試験評価法Ⅲ:遺伝毒性を受けた細胞集団(組織)は
イニシエーション・プロモーション・グログレッション過程を経た後に、腫瘍性病変(発がん)を形成することを組織形態学的
に学ぶ。