連続型 Minkowski の不等式 Minkowski の不等式は次のものが有名である. 定理 1 (Minkowski の不等式 (離散型)) 測度空間 (X, A, µ), p ∈ [1, ∞] に対し, f, g ∈ L p (X) とする. このとき, f + g ∈ L p (X) であり, 次の不等式 が成り立つ. || f + g|| p ≤ || f || p + ||g|| p fn ∈ L p (X) (n = 1, . . . , N) ならば, この不等式をくり返し用いて次の不等式が成り立つことが分かる. N N ∑ ∑ fn ≤ || fn || p n=1 i=1 p [証明] ∫ ∫ p f (x) + g(x)| dµ(x) = 0 の場合は自明なので , | | f (x) + g(x)| p dµ(x) , 0 の場合を考えれば十分. さらに, X X p = 1, ∞ の場合も自明なので, p ∈ (1, ∞) の場合を考えれば十分. q = p/(p − 1) により q ∈ (1, ∞) を定めると, ∫ ∫ | f (x) + g(x)| p dµ(x) = | f (x) + g(x)| p−1 | f (x) + g(x)| dµ(x) X ∫ ∫X ≤ | f (x) + g(x)| p−1 | f (x)| dµ(x) + | f (x) + g(x)| p−1 |g(x)| dµ(x) X X ∫ ∫ p−1 1 p· p−1 p· 1p p = | f (x) + g(x)| dµ(x) + | f (x) + g(x)| p· p |g(x)| p· p dµ(x) | f (x)| X (∫ X )1/q (∫ ≤ )1/p | f (x)| dµ(x) | f (x) + g(x)| dµ(x) p X p X (∫ )1/q (∫ + X である. 両辺 (∫ (∫ X | f (x) + g(x)| p dµ(x) )1/p |g(x)| p dµ(x) | f (x) + g(x)| p dµ(x) )1/q (Hölderの不等式) X で割って, 1 − 1/q = 1/p を利用すると )1/p (∫ )1/p (∫ )1/p ≤ + | f (x) + g(x)| p dµ(x) | f (x)| p dµ(x) |g(x)| p dµ(x) X X X となって, これは求める不等式である. また, 次の不等式も成り立つ. 定理 2 (Minkowski の不等式 (連続型)) σ-有限測度空間 (X, A, µ), (Y, B, ν), p ∈ [1, ∞] に対し, f : X × Y → R は Y 上ほとんど至るところで ∫ L p (X) に属するとする. このとき, Y f (x, y) dν(y) ∈ L p (X) であり, 次の不等式が成り立つ. ∫ f (x, y) dν(y) Y ∫ ≤ L p (X) || f (x, y)||L p (X) dν(y) Y 1 [証明] p p ∫ ∫ ∫ ∫ dµ(x) , 0 の場合を考えれば十分. f (x, y) dν(y) dµ(x) = 0 の場合は自明なので , f (x, y) dν(y) X Y X Y さらに, p = 1, ∞ の場合も自明なので, p ∈ (1, ∞) の場合を考えれば十分. q = p/(p − 1) により q ∈ (1, ∞) を定めると, ∫ ∫ ∫ ∫ p p−1 ∫ f (x, y) dν(y) dµ(x) = f (x, y) dν(y) f (x, y) dν(y) dµ(x) X Y X Y Y ) ∫ ∫ p−1 (∫ ≤ f (x, y) dν(y) | f (x, y)| dν(y) dµ(x) Y Y X ) ∫ (∫ ∫ p−1 f (x, y) dν(y) | f (x, y)| dν(y) dµ(x) = X Y Y } ∫ {∫ ∫ p−1 f (x, y) dν(y) | f (x, y)| dµ(x) dν(y) = (Tonelli の定理) Y X Y ∫ ∫ ∫ p· p−1 p | f (x, y)| p· 1p dµ(x) f (x, y) dν(y) = dν(y) Y X Y (∫ ∫ )1/q (∫ )1/p ∫ p p f (x, y) dν(y) f (x, y)| ≤ dµ(x) dµ(x) | dν(y) X Y Y X (Hölderの不等式) (∫ ∫ )1/q ∫ (∫ )1/p p p f (x, y) dν(y) dµ(x) = dν(y) | f (x, y)| dµ(x) X Y Y X (∫ ∫ )1/q p である. 両辺 X Y f (x, y) dν(y) dµ(x) で割って, 1 − 1/q = 1/p を利用すると (∫ ∫ )1/p ∫ (∫ )1/p p p f (x, y) dν(y) dµ(x) ≤ dµ(y) | f (x, y)| dµ(x) X Y Y X となって, これは求める不等式である. 定理 1 の不等式を「離散型 Minkowski の不等式」, 定理 2 の不等式を「連続型 Minkowski の不等式」と呼 ぶことにする. 離散形 Minkowski の不等式は連続型 Minkowski の不等式の特別な場合である. すなわち, 連続型 Minkowski の不等式において Y = {1, . . . , N} として Y の各点に測度 1 を与えて考えれば, 離散形 Minkowski の不等式が 得られる. Tonelli の定理は σ-有限測度空間においては成り立つが, 一般の測度空間では成り立たないことがある. 連続 型 Minkowski の不等式は証明の途中で Tonelli の定理を用いるので, 測度空間が σ-有限となっている. なお, Rn 上 Lebesgue 測度で考えれば Tonelli の定理は成り立つので, 連続型 Minkowski の不等式も成り 立つ. 2
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