コラム3 コリオリの力

平成 27 年 5 月 8 日
千葉大院融合 椎名
千工大教養の物理コラム その 3
コリオリの力
コリオリの力とは、回転座標系において、移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比
例した大きさで受ける慣性力の一種である。1835年にガスパール・コリオリによって導かれた。
回転座標系における慣性力には、他に、回転の中心から外に向かって働く遠心力があるが、コリ
オリの力とは異なる。 地球は東向きに自転している。そのため、低緯度の地点から高緯度の地点に向かって運動して
いる物体には東向き、逆に高緯度の地点から低緯度の地点に向かって運動している物体には西向
きの力が働く。北半球では右向き、南半球では左向きの力が働くとも言える。北半球で真北に撃
った砲弾が、標的よりもわずかに東(右)にずれることは昔から知られていることである。大砲
やロケット。1,000mを超える狙撃などの軌道計算はコリオリの力での補正が必要である。 台風が北半球で反時計回りの渦を巻くのは、風が低気圧中心に向かって進む際にコリオリの力
を受け、中心から右にずれた地点に到達するためである。台風で上昇した空気や熱帯地方で暖め
られて上昇した空気は5—10km上空で上限に達し、そこから水平にたなびく。北に流れた空気は
コリオリの力で東にそれる。上空では地上のような摩擦力が働かないため、東方向の流れは大き
くなり、偏西風(ジェット気流)となる。その速度は200m/sにも達し、東西方向に移動する飛行
機がこのジェット気流を利用したり、避けたりすることで、飛行が効率的になる。上昇した空気
は下降する。下降した空気は海面付近を南に向かう。その空気はコリオリの力の影響で、西にそ
れる(右にそれる)。即ち熱帯地方の海面では絶えず東風が吹くことなり、これを貿易風という。
また、大気だけでなく、海流の運動もコリオリの力の影響を受けている。タンカーによる輸送
コストは風や海流による航路の取り方により、1回の航海で数百万円の燃料費の差となる。それ
故、その流れをモニターし、予測することは非常に大きなコスト管理となる。 ちなみに、コリオリの力は地球スケールでの移動や速度によって初めて知覚できる程の現象で
あり、風呂の栓を抜いた際の渦が北半球では反時計回り、南半球では時計回り云々ということは
ない。