MIMO 通信路における RSC 符号化 MLSE ターボ等化

J3-3
MIMO 通信路における RSC 符号化 MLSE ターボ等化器の
BER 特性に関する検討
阿部 理生*,岩波 保則名古屋工業大学
A study on the BER characteristics of RSC coded MIMO MLSE turbo equalizer
Rio Abe, Yasunori Iwanami (Nagoya Institute of Technology)
1.
まえがき
無線データ通信の高速化・大容量化の方法として、複数の
アンテナを用いる MIMO 通信方式が挙げられる。しかし空間
多重によるアンテナ間干渉(IAI, Inter-Antenna-Interference)と
マルチパスフェージングによる符号間干渉(ISI, Inter-Symbol
Interference)の影響が大きくなる。そこで本稿では、これらの
干渉を除去する方法として、Viterbi Algorithm(VA)を用いた最
尤系列推定(MLSE, Maximum Likelihood Sequence Estimation)
等化器[1]を用い、さらに比較的構成が簡単な RSC(Recursive
Systematic Convolutional)符号器を連接させることによって
BER 特性の改善を図る。
2.
Input1
Input2
RSC
RSC
Encoding
Encoding
BPSK mod
BPSK mod
送信機側
Interleaver
Interleaver
MLSE
-
- De-Interleaver
De-Interleaver
Equalizer
-
-
SOVA
RSC
Decoding
Decoding
Fig.1 Transmitter and receiver structures of MIMO-RSC-MLSE
MLSE 等化器
Table.1 Simulation condition
L
rt   hi xˆ t i 1
2
(1)
i 1
Sl
pm

pmtS  bmtSl
t 1
(2)
これを繰り返し行い、終端からサバイバルパスを辿ることに
よって送信信号を推定する。
アンテナ数
2×2、4×4
等化方式
MLSE 等化[1]、SC/MMSE 等化[2]
誤り訂正符号化
RSC[1,5/7]符号
情報ビット数
変調方式
1024
BPSK 変調、QPSK 変調
MLSE 等化器
SOVA 復号器
通信路
準静的レイリーフェージング通信路
遅延パス数
iteration 回数
インタリーバ
4(等平均電力)
3 回(ターボフィードバック回数)
S-ランダムインタリーバ
1.00E+00
2x2-MLSE-BPSK(uncoded)
4x4-MLSE-BPSK(uncoded)
1.00E-01
3.
Output1
Output2
受信器側
Fig.1 に送受信機構成のブロック図を示す。マルチパス遅延
通信路を通った受信信号に対し、ISI の規則性を利用すること
により、ISI の復号トレリス線図を描くことができ、VA を利
用して、送信信号系列が推定できる[1]。時刻 t の各ブランチ
のブランチメトリックは式(1)で求まり、時刻 t  1 の各パスメ
トリックは式(2)で求める。時刻 t  1 における各状態に入る最
小のパスメトリックをサバイバルパスとして記憶する。
l
bmtS
Interleaver
Interleaver
2x2-SC/MMSE-RSC-QPSK
シミュレーション結果およびまとめ
2x2-MLSE-RSC-QPSK
4x4-SC/MMSE-RSC-QPSK
1.00E-02
4x4-MLSE-RSC-QPSK
BER
計算機シミュレーションによる MLSE 等化器の評価を行っ
た。シミュレーション条件を Table.1 に示す。またシミュレー
ション結果を Fig.2 に示す。同一の伝送速度(bps/Hz)で比較す
るために、Uncoded の BPSK 変調と RSC-coded の QPSK 変調
を 比 較 し た 。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 よ り 、 BER 特 性 は
MLSE-RSC coded、SC/MMSE-RSC coded、Uncoded-MLSE の
順に良いことがわかる。これより RSC 符号化 MLSE ターボ等
化器を用いることで、BER 特性を大きく改善することが出来
ると確認できた。また、MLSE 等化器は、SC/MMSE 等化器[2]
よりも BER 特性を改善でき、アンテナ数を 2×2→4×4 と増
やすことによっても、優れた BER 特性を得ることが出来ると
確認できた。しかし MLSE 等化器は、通信路の遅延パス数と
送信アンテナ数の増加により、トレリス線図の状態数が指数
関数的に増大して計算量が増加する。今後の課題として、こ
の計算量の改善と BER 特性の劣化のトレードオフを考察し
て行きたい。
1.00E-03
1.00E-04
1.00E-05
0
2
4
6
8
10
12
14
Average Eb/No [dB] per receive antenna
16
18
Fig.2 BER characteristics of MIMO-RSC-MLSE turbo equalizer
文 献
[1] 大城、岩波、“周波数選択性 MIMO 通信路における M アルゴリズ
ム MLSE ターボ等化器の検討”、信学技報、RSC2013-307, pp.7~12,
2014 年 3 月.
[2] 座光寺、村田、荒木、信学技報、WBS2004-12, pp.61-65, 2004-06.
平成 26 年度 電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会(2014 年 9 月 8 日~ 9 日 於中京大学 名古屋キャンパス 1 号館)