小島 研究室 Transmitter 1. 従来方式と問題点 Information data Convolutional encoder P/S P/S BPSK modulator ヘリコプター衛星通信では,ブレードによる信号の周 期的遮断が問題となります.従来は,送信側において畳 Periodic blockage 込み符号化,時間ダイバーシチ処理により遮断耐性を持 Channel AWGN たせ,受信側にて信号を等利得合成していました(図1). 一般にダイバーシチ合成では,等利得合成より最大比 合成の方がビット誤り率 (BER) 特性は良好ですが,そ Coherent detector S/P Viterbi decoder S/P Demodulated data Receiver の実現には遮断情報の推定が必要となります.しかし, 図1 搬送波対雑音電力比が低いため,受信信号から遮断推定 従来方式の送受信構成 を行うことは困難となります. 小島研究室では,擬似BERを用いて遮断推定を行い, 最大比合成を可能にする方式を提案しました. ①再符号化 Coherent detector S/P Viterbi decoder S/P ②擬似BER計算 Hard decision 2. 提案方式 Pseudo BER calculator Threshold Convolutional encoder Blockage estimator 提案方式の構成を図2に示します. 次の手順で遮断推定を行い,最大比合成を実現します. P/S P/S Viterbi decoder S/P S/P ③最大比合成 ① 再符号化 図2 提案方式の受信機構成 受信信号を復号し,送信時と同様の方法で再度符号 化することで,擬似的に送信信号を複製します. 10 0 ② 擬似BER計算 受信信号と①での再符号化信号を比較し,擬似BERを ③ 最大比合成 ②での遮断情報により受信信号を重みづけすること Pseudo BER Pseudo BER 計算,閾値を用いて遮断の有無を判定します. 約0.5に収束 10-1 BPSKの理論値に漸近 𝑃 = 10 により,最大比合成を実現します. -2 1 erfc 𝐸 4𝑁0 In blockage Out of blockage Theoretical BER (AWGN) 10 3. シミュレーション結果と考察 -3 0 図3 2 4 6 8 10 擬似BER特性 (遮断率32.1%) Eb/N0 [dB] 提案方式にて擬似BERを計算すると,遮断中では約0.5 に収束し,遮断外ではBPSKの理論値に漸近します(図3). が推定可能であることがわかります. 擬似BERの値が0.25以上となる部分を遮断であると推 定し,閾値を0.25としてBER特性を取得しました(図4). Bit Error Rate この擬似BERの特性の違いを用いることで,遮断の有無 Threshold value = 0. 5 提案方式では従来と比べ特性が約2.3dB改善し,遮断位 置が既知の理想的な最大比合成での特性に近づいていま 2.3dB す.この結果から,擬似BERを用いた遮断推定は正確で あり,BER特性を大幅に改善することが確認できました. 図4 BER特性 (遮断率32.1%) 12
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