第10章演習解答

演習問題1 解答
10-1
ハミルトングラフには,すべての頂点をちょうど1度だけ通る閉路が
ある.この閉路を辿る向きに各辺に向きをつけるならば,任意の2
頂点の間に有向道が存在する.したがって,ハミルトングラフは向
きづけ可能である.
例
演習問題2 解答
10-2
Kn を構成する各頂点を v1, v2, …, vn とする.完全グラフであるから,
辺 vi vi+1 (i = 1, 2, …, n – 1),vn v1 が存在.たとえば,vi → vi+1 の向
きに向きづけしたとすると,閉じた有向道 v1 → v2 → v3 → … → vn
→ v1 が存在し,任意の2頂点の間に有向道が存在する.したがっ
て,その他の辺には任意に向きを付けることにより強連結グラフが
得られ,Kn は向きづけ可能である.
演習問題3(1) 解答
10-3
頂点数(n)が 1の場合は自明.
頂点数が 2 以上の場合について.
頂点数が 2 以上の推移的トーナメント T を任意に選び,T には入
次数が 0 の頂点がないと仮定する.T の頂点を1つ任意に選び,
これを v とする.仮定(入次数が0の頂点がない)より,uv が T の
弧であるような頂点 u が存在する.さらに,仮定より同様にして,tu
が T の弧であるような頂点 t が存在する.頂点は有限個であるか
ら,このようにして頂点を辿っていくと,いずれ,v に戻る.つまり,v
から弧を順方向に辿って u に至る有向道が存在する.推移的であ
るから弧 vu が存在することになる.しかし,弧 uv が存在しており,
トーナメントの定義に矛盾する.
t
u
v
演習問題3(2) 解答
10-4
頂点数 n に関する数学的帰納法で証明する.
Basic step : n ≤ 2 の場合,推移的トーナメントは以下の有向グラフ
と同形である.それぞれ,入次数は 0 と 0, 1 であるから命題成立.
n = 1 の場合
n = 2 の場合
10-5
Inductive step:
頂点数が n – 1(ただし,n ≥ 3) の任意の推移的トーナメントで命
題が成立すると仮定.
T
頂点数が n の推移的トーナメント
T を任意に選ぶ.T には,入次数
が 0 の頂点が存在し(∵ (1)),こ
v0
れを v0 と命名する.
T’
T から v0 を除去したグラフを T’
とする.T’ は頂点数 n – 1 の推
移的トーナメントであるから,帰
0
1
2
n–3 n–2
入次数
納法の仮定より,全頂点の入次
数を小さい方から列挙すると,0,
1, …, n – 2 である.
T
T において,v0 は残りのすべて
の頂点と弧で結ばれている(v0
1
2
3
n–2 n–1
が弧の元)ので T の全頂点の入 0
入次数
次数は 0, 1, …, n – 1 である.
?
?
?
演習問題3(3) 解答
10-6
(1)の結果より,入次数 0 の頂点(v0)が存在する.頂点数が2以上
であるから, v0 以外の頂点が存在する.
vi ( i > 0)から v0 への有向道は存在しないので,強連結とは成りえ
ない.