「東南アジアにおけるイスラームの位置」

「東南アジアにおけるイスラームの位置」
①研究の背景/上位目標
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東南アジア各国におけるイスラームの位置づけは、国教と定められている国からイスラームが少数派の国まで多様であり、また昨今では反世俗主
義や国境を越える人の動き、思想・イスラーム教育の変容といった動きも見られる。
しかし、開発研究の文脈ではこれまでイスラームが主要なテーマとして扱われることがほとんどなく、イスラームが国や地域の政策に与え得る大きく
かつ多様な影響についてはほとんど関心が向けられることがなかった。
このような状況に鑑み、近年の東南アジアにおけるイスラーム政党やイスラーム教育の変容、タイ・フィリピンなどの少数派イスラーム教徒の状況と
いった、多様な事象の現状とその影響を明らかにすることは、多様なイスラームを裨益者として取り込んだ協力方針を策定するなど、わが国が今後
の東南アジア各国への援助の方針を考える上においても、重要な示唆を与え得る。
⑤上位目標達成へのシナリオ
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研究分担者による論文を公開シンポジウムで発表し、その際の議論を
踏まえ、研究成果を英文書籍として出版する。
研究成果は、東南アジアに対する国別・地域別援助戦略の策定作業
などの過程で活用。
また、世論調査のデータセットについてはデータ整理の上、ウェブ上で
公開し、さらなる研究の材料として提供する予定。
②研究の目的
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④これまでの成果と課題
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H21年度にワークショップをシンガポールで開催し、海外研究者も含め
た関係者間でコンセプトを共有。
現在は、同ワークショップでの議論に基づいて各研究者が論文を執筆
中で、今年度中にワーキング・ペーパーとして発刊の予定。
4カ国で実施した世論調査のうち、3カ国について調査結果の統計分析
を実施中。政情の関係で調査が遅れているタイについても、調査結果
が近くまとまる予定。
グローバル化が進展する今日において、東南アジア地域のイスラーム
が当該国の政策や制度にどのような影響を与えるのかを明らかにし、
国・地域によって多様なイスラームの状況を踏まえた開発援助方針に
ついての示唆を得る。
③研究の方法
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東南アジア地域のイスラームを専門とする研究者の参加を得て、グ
ローバル化がイスラーム地域にどのような影響を与えているかを分析
し、国ごと・セクターごとにまとめる。
東南アジア4カ国において世論調査を実施し、宗教やグローバル化の
進展などの諸要素が、相互に関係しつつ政府への評価やイスラーム
主義に対する考え方などにどのような影響を及ぼしているのかを実証
的に明らかにする。