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農家の皆さんが日常使用される農薬において、国はその登録にあたって、人に対する安全性評価につい
て、長期暴露評価によって、農薬摂取量が一日摂取許容量を超えなければ、食品安全上問題ないとして
きました。しかし、今の時代において、農薬のもっとも残留しやすい条件で使用した農産物を、一度に多量
に摂取した場合について、人の健康に対する急性影響を評価するという点から、短期暴露評価が導入さ
れることになりました。これに伴い、新たに急性参照用量の設定が始まっています。急性参照用量とは、
人がある物を24時間または、それより短い時間に摂取した場合に健康に悪影響を与えないとされる一日
当たりの農薬摂取量のことです。また、長期暴露評価とは、人がある物を毎日一生涯にわたって摂取して
も健康への悪影響がないと推定される一日当たりの農薬摂取量のことです。
この制度は、2010年から厚生労働省によって導入の準備が進められてきましたが、現在は食品安全委員
会において急性参照用量の設定が開始されており、今後現在登録されている農薬も含めて順次、急性参
照用量が設定されていくことになります。
平成27年2月・第203号(毎月発行)
この、食品安全委員会の設定を受けて厚生労働省は、該当農薬について短期暴露評価を実施していき
ますが、その時人がある農産物を一度に多量に食べた場合に残留農薬の推定摂取量が急性参照用量を
超える場合は、その農薬については使用方法が変更されるとともに、残留基準値が見直されることになり
ます。こうなると、新たな残留基準値は、現行の残留基準値より小さく設定されることになるので、、その農
薬の登録の変更と、変更後の使用方法のお知らせがいきわたる前に、新たな残留基準が施行されると、
変更登録前の方法でその農薬が使用されたことが原因で、農産物に残留基準値超過が生じてしまう可能
性があります。こういった混乱を防ぐためにいろいろな対応方法が決められています。
●農林水産省の対応
・農薬使用方法の変更登録の早期実施
・変更される使用方法について、販売者、使用者等に対して十分知らせる
・使用制限となった変更部分がある事について購入者に確認した上で販売する事を告知する
●農薬製造者の対応
・自ら短期暴露評価を実施し、変更する必要がある場合は、急性参照用量の設定や、残留
基準値の改定を待つことなく、十分な時間的猶予をもって変更に登録を申請する。
・時間的猶予をもって変更登録の申請をする事が出来ない場合には、販売者、使用者に対し
て、変更後の使用方法を記載したチラシ等によって情報を提供、注意喚起を行う。
●都道府県の対応
・農薬使用者に対して、ラベルではなく変更後の使用方法で使用するように指導する。
・変更の登録を受ける前でも、都道府県の防除指針等に変更後の使用方法を反映させること。
また、他の団体などが作成する防除暦についても、適切な変更を行うよう指導すること。
登録変更になった農薬例
オルトラン粒剤:ミニトマト、はつかだいこんについては登録が削除されました。
オルトラン水和剤:かんきつ、トマト、ミニトマト、なす、かぶ、ブロッコリー、はつかだいこん、たかな、
とうもろこし、だいこんについては、登録が削除されました。
また、オルトランは使用方法が変更になった作物が多くありますので、使用の際にはお問い合せ下さい。
商品に変更案内のチラシも添付しております。
オンコル、オンダイアエース粒剤:登録が削除された作物が多いため、実のりでの販売は中止しました。
スペックス水和剤:ももの登録削除により、今年はチオノックフロアブルをもも用主要殺菌剤とします
ルビゲン水和剤:トマト、ももの登録が削除されました。
ジメトエート乳剤:登録が削除された作物が多いため、実のりでは売り切り終了といたします。
ガゼット、アドバンテージ、マブリック、デナポン剤については実のりでの販売がないため、お問い合わせ
対応いたします。