紬織物分野 平成26年度経常研究 結城紬のフォーマル化 担当部所 : 栃木県産業技術センター 紬織物技術支援センター 背景 • 結城紬はユネスコの無形文化遺産の代表一覧表に記載されるなど、現在世間の耳目を集めている が、着物離れや厳しい経済状況の中で,着物素材としての需要が減少している。 • 結城紬は高価な着物ではあるが、街着でありフォーマル着として用いられていないため、着ていく場 所が限られるなど着用機会が少なく、購入をためらう原因のひとつとなっている。 • 本研究は、結城紬の需要増を図るためにフォーマルな場またはそれに準じるような場で着用可能な 結城紬を製作し、関係業界の活性化を図ることを目的として行った。 研究目標と結果 研究目標 ●フォーマルの場(結婚式など)でも着ることができる後染技法を取り入れた結城紬の留袖着物を製作し、 結城紬が礼装用着尺として対応できることを示す。 実施内容 ① 結城紬白生地の製織 ② 手紬糸と白生地の白色度 白生地の製織に際しては、他の製 織中の反物の毛羽飛び込みやよご れなどに注意する必要があることか ら、作業要領を作成し、結城紬に使 われる地機により製織を行った。 その結果、色糸毛羽の飛び込みな どがほとんど見られない白生地とす ることができた。 白色度は物の白 さを示す指標で100 に近い程白いことを 表している。 今回の糸、生地等 の白色度の関係は 次のとおりである。 ※ 黒:0<白色度<100:白 手紬糸 手紬糸 漂白前 < 袋真綿 < 白生地 < 漂白後 ③ 後染加工と色留袖の製作 色留袖は友人の結婚式やパーティーなどで着用でき る着物とされ、比較的幅広い年代層に着用されることか ら、今回の試作では20∼40歳代向きの地色とするとと もに多くの場面に対応できる古典柄による手描友禅とし た。 また、手紬糸を使った結城紬の白生地では細い線状 が表しにくいため、こうした表現の比較的少ない柄を選 定した。 ○ 後染加工 東京手描友禅染め (国指定伝統的工芸品) ○ 色柄 20∼40代向きの色合い 古典柄 (白緑地華紋唐草文様) 色留袖 ▶ まとめ ●結城紬の白生地に後染加工を施すことにより、結婚式などのフォーマルの場で着用することができる 色留袖の着物を試作した。 御来場の皆様へ 問い合わせ先:栃木県産業技術センター 紬織物技術支援センター TEL 0285(49)0009 結城紬の試作品は、紬織物技術支援センター及び県庁15階伝統工芸コーナー等でご覧いただけます。 後継者育成事業の中で製作された結城紬着尺や小物製品の一部は紬織物技術支援センターで購入できます。 Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture
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