不等ピッチエンドミルの工具寿命に関する研究

機械分野
平成26年度経常研究
不等ピッチエンドミルの工具寿命に関する研究
担当部所
:
栃木県産業技術センター 県南技術支援センター
背景
一般的な等ピッチのエンドミルの工具寿命は、古くから
検討されているが、びびり振動対策として普及が進んで
きている不等ピッチエンドミルの工具寿命に関して、検討
した例は見受けられない。
そこで本研究において、不等ピッチエンドミルの加工条
件と工具寿命の関係性について検討した。
等ピッチエンドミルの底刃
(スクエア4枚刃)
不等ピッチエンドミルの底刃
(スクエア4枚刃)
研究目標と結果
研究目標
●不等ピッチエンドミルの工具寿命に大きく影響を及ぼす加工条件の因子を明らかにする。
実施内容
① 実験計画法を用いた加工条件の設定
【共通の加工条件】
被削材:S55C、直角肩削り
工具:直径6mm、4枚刃、超硬母材、ねじれ角43度、CrSiN系コーティング
工具突き出し量:30mm、径方向切込:0.2mm、ドライ加工、ダウンカット
② 加工実験による工具摩耗進行図
切削長50mまで逃げ面摩耗量を計測し、工具摩耗進行図を作成した。
等ピッチエンドミル
不等ピッチエンドミル
③ 回帰分析
工具摩耗進行図において、線形に摩耗が進行する定常摩耗域の単回帰直線の傾きを摩耗しやすさの指標(=特性値)として回帰分析を行った。
推定係数の大きい因子が、特性値へ大きく影響を与えるため、等ピッチエンドミルでは主軸回転数と軸方向切込が工具寿命に大きな影響を及ぼす
ことがわかり、不等ピッチエンドミルでは主軸回転数が最も工具寿命に大きな影響を及ぼし、軸方向切込はほぼ影響がないことがわかった。
水準平均と主効果(等ピッチエンドミル)
水準平均と主効果(不等ピッチエンドミル)
因子の特性値への影響
(等ピッチエンドミル)
因子の特性値への影響
(不等ピッチエンドミル)
まとめ
●加工条件の3因子(主軸回転数、1刃送り、軸方向切込)のうち、不等ピッチエンドミルにおいて最も大きく
工具寿命へ影響を及ぼす因子は主軸回転数であり、軸方向切込はほぼ影響がないことがわかった。
●加工条件が工具寿命へ与える影響を等ピッチエンドミルと比較した結果、主軸回転数による影響は不等
ピッチエンドミルの方が小さく、1刃送りによる影響は同程度に小さいことがわかった。
ご来場の皆様へ
問い合わせ先:栃木県産業技術センター 県南技術支援センター TEL 0283(22)0733
不等ピッチエンドミルの加工条件の見直し・最適化を図ることで、加工時間短縮・コスト削減が可能です。
自動車・航空機関連部品等の不等ピッチエンドミルを用いた様々な切削加工において応用が期待されます。
Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture