特集「データヘルス計画」元年 寿命の差は日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味 ランが定められました。このうち戦略市場創造プランをテ し、2013年では男性9.02年、女性では12.40年ありま ーマとして「国民の健康寿命の延伸」が挙げられました。 した【図2】。疾病予防や健康増進により、平均寿命と健 予防サービスの充実等により、国民の医療・介護需要の増 康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の 大をできる限り抑えつつ、より質の高い医療・介護を提供 低下を防ぐと共に、社会保障費の負担軽減も期待できます。 することにより、国民の健康寿命が延伸する社会を目指す 「健康日本21(第二次) 」の基本的な方向として、5項目 べきとし、中短期の工程表では、2020年までに国民の健 が示され、目指すべき社会及び基本的な方向の相関関係は 康寿命を1歳以上延伸する目標を掲げています。 【図3】のように示されています。 「データヘルス計画」 【図2】健康寿命の延伸 男性 2010年 2013年 79.55 70.42 9.13年 80.12 71.19 9.02年 女性 2010年 2013年 ○2013年の健康寿命は 男性71.19年、女性74.21年 ○健康寿命は 男性0.78年、女性0.59年延伸 (対2010年) ○日常生活に制限のある期間は 男性0.11年、女性0.28年短縮 (対2010年) 86.30 73.62 平均寿命 12.68年 健康寿命 以上見てきたように 21 世紀に入ってから「健康日本 21」の提唱、 「特定健診」 「特定保健指導」の実施、そして「健 康日本21(第二次) 」の推進など、国民の健康増進の重要 性が高まる中、様々な取り組みが段階的に進められてきて います。一方で、健診情報の電子化や解析技術の進歩によ 86.61 74.21 A 「データヘルス計画」が目指すもの り、健康保険組合が所有する健診データの分析が可能とな 12.40年 資料 ○平均寿命:厚生労働省「2010年 完全生命表」 厚生労働省「2013年 完全生命表」 ○健康寿命:厚生労働省「2010年/2013年 簡易生命表」 厚生労働省「2010年/2013年 人口動態統計」 厚生労働省「2010年/2013年 国民生活基礎調査」 総務省「2010年/2013年 人口推計」 より算出 【図3】第2次健康日本21の概念図 すべての国民がともに支え合い、 健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現 ってきました。そこで上述の「日本再興戦略」の閣議決定 を受けて厚生労働省は全ての健康保険組合に対して、健診 データやレセプト(診療報酬明細)等のデータ分析に基づ く「データヘルス計画」の作成・公表、事業の実施、評価 等の取組みを義務付けました。 併せて「健康日本21(第二次) 」でも示された健康を支え、 守るための社会環境の整備という視点に立って、健康な職 場環境の整備や従業員における健康意識・生活環境の改善 に向けた取組みが、事業主との協働(コラボヘルス)の下、 ❶健康寿命の延伸・健康格差の縮小 推進されます。 「データヘルス計画」は、現時点において最も科学的な 生活の質の向上 社会環境の質の向上 方法に基づいて保健事業を展開するものであり、その効果 は、健康保険組合加入者の健康と医療費の適正化に留まら ❷生活習慣病 の発症予防・ 重症化予防 ❸社会生活機 ❸社会参加の 能 の 維 持・ 機会の増加 向上 ❺生活習慣病の改善(リスクファ クターの低減) ❹健康のための資源(保 険・医療・福祉等サー ビス)へのアクセスの 改善と公平性の確保 ❺社会環境の改善 ず企業の生産性の向上、更には日本の社会的・経済的な活 力の向上、即ち日本再興にも及ぶものとなり得ます。 B 当健康保険組合における 「データヘルス計画」 ∼重症化予防策「高血糖者管理」 と 「高血圧者管理」 ∼ 次期国民健康づくり運動による具体的取り組み D 「日本再興戦略」 ①高血糖者管理 当健康保険組合では、2008年度に特定健診・特定保健 指導が開始されたことを契機とし、健保加入者の皆様にと 2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」では、 って、最優先に取り組むべき健康課題について検討しまし 成長戦略を実行・実現するものとして3つのアクションプ た。 5
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