平成 16 年度 事業計画 グループ 3 GCM サブグループ PD 阿部 学 所属

平成 16 年度 事業計画
グループ 3 GCM サブグループ PD 阿部 学
所属グループでの役割と計画
役割
グループ 3 GCM サブグループの平成 16 年度の事業計画のうち、気象研究所大気海洋結
合モデルを用いた数値シミュレーションにともなう、モデルの調整、シミュレーションの
実施、その結果の解析、データ管理を行う。さらに、シンプルモデルグループとの情報交
換を行い、シンプルモデルグループが導入を計画している素過程、およびフィードバック
機構のシンプル化にむけたパラメータの検討、評価を行い、情報を提供する。また、必要
な場合は、数値シミュレーションを実施し、それらの結果の解析を行うとともに、データ・
情報を提供する。太陽活動の変動が成層圏より下の気候システムに与える影響について調
べる実験を行うための情報収集、その計画の立案を行う。
計画
昨年度に引き続き、第三紀から第四紀にいたる寒冷化の要因解明を目的とした数値実シ
ミュレーションを継続的に実行する。ターゲットとする以下の要因を調べるシミュレーシ
ョンを順に実施していく。
1) ヒマラヤ―チベット山塊の上昇
2) パナマ地峡の形成
3) ミランコビッチフォーシング
今年度中にすべての実験を実行できるようにモデルの調整、境界値、外部強制値の情報
集と作成を行う。全実験において少なくとも 250 年以上の積分を計画しており、各要因に
おける気候の状態の変化、その気候システム内のエネルギー収支の変化について調べる。
さらに、素過程・数年から数十年スケールのフィードバック機構におけるそれらの要因の
影響を調べる。また、海洋の熱塩循環についても解析を行い、数千年スケールの長周期変
動における要因の影響を推定する。
海洋の数千年積分が実行可能となるように GCM の調整、
改良の必要性を検討する。
GCM で用いられる雲、降水過程について、情報の収集、整理を行い、シンプルモデルグ
ループへの情報提供を行うとともに、これまでの GCM 実験の結果における雲、降水の再現
性、関連するフィードバック機構について、比較検討を行い、情報提供をおこなう。
太陽活動 11 年周期のような太陽活動の変動が引き起こす気候システムへの影響について、
これまでの研究結果をレヴューし、関係者からの情報収集を行い、数値実験の計画を立て
る。
上記の実験結果、解析結果を関連する学会、会議において積極的に発表し、関連する学
術雑誌へ論文を投稿する。
横断研究プログラムの計画
「GCMシミュレーションの妥当性評価と植生・太陽活動の影響評価実験」
上記タイトルの計画において、来年度は以下を予定している。
1)
GCM サブグループのシミュレーション結果の妥当性を調べるために、地質学的デー
タとの比較を行う。本年度は、比較に必要なデータの情報収集、取得を行う。また、関
連学会、会議へ積極的に参加する。
2)
現在の気象研究所大気海洋結合モデルでは、季節変化する植生分布を与え、二酸
化炭素濃度は一定値を与えてシミュレーションを行っている。GCM サブグループで行う
シミュレーションにおいて、気候の状態の変化が起こった場合は、植生分布にも変化が
起こり、さらに、炭素循環への影響もあり二酸化炭素濃度への影響があると考えられる。
このことから、GCM サブグループのシミュレーション結果の気候状態における植生分布
の再構成を行い、植生変化の気候変化と炭素循環への影響を評価するシミュレーション
を行いたい。さらに、その炭素循環の影響による二酸化炭素濃度の変化を考慮した GCM
を用いたシミュレーションを実施し、フィードバック効果の評価を行いたい。本年度は、
植生分布の再構成に関して、また、動的な植生分布を扱うモデルに関しての調査を行う。
3)
GCM は、水平解像度は約 2.8°×2.8°であり、現象のスケールによっては表現で
きないものもあり、現地観測・調査の結果との比較の際、粗い解像度によるシミュレー
ションの結果では、十分な比較検討ができない場合がある。その際、特定の領域を対象
として、より細かい解像度で数値シミュレーションを行えると有利である。現在、領域
気候モデルという特定領域を対象とした気候シミュレーションを行えるモデルが存在
し、オープンソースであることから簡単な手続きで利用が可能である。このモデルを導
入し、より細かい解像度で対象領域を絞り込んだシミュレーションを行えるようにする。
これは、GCM サブグループのシミュレーションの結果をグループ 1 の調査結果と比較す
る際に解像度の問題で比較が困難な場合や、GCM サブグループで調べようとしている要
因が、GCM では表現できないスケールの現象にどのような影響を与えるのかを調べる場
合、GCM 実験結果を用いて特定領域への影響をより細かい解像度で評価することを可能
にさせる。領域気候モデルは、ある程度のスペックを持った PC で動作が可能であるこ
とから、本年度はモデル専用の PC を購入し、現在、領域気候モデルを使った研究を行
おうとしている RA と協力してシステムを整えるとともに、他グループとの共同研究(横
断研究)の可能性について検討する。
4)
太陽活動の変動による非人為的な気候変動を調べる GCM 実験の計画立案のため、
関連研究者からの情報収集を行う。また、関連学会・会議へ積極的に参加する。
5)
4) に関連して、太陽活動の変動による気候システムへの影響について、より精
度よくシミュレーションするために、超高層のモデルや化学気候モデルと現 GCM の結合
に関する情報を収集するとともに、その可能性について検討する。
横断研究プログラムの予算案
項目
項目詳細
単価
個数
金額
国内旅費
東京(気象学会)(5 月)
55,000
1
55,000
国内旅費
福岡(気象学会)(10 月)
55,000
1
55,000
国内旅費
千葉(地球惑星合同大会)(5 月)
60,000
1
60,000
国内旅費
千葉(日本地質学会)(9 月)
60,000
1
60,000
国内旅費
京都
50,000
1
50,000
国内旅費
気象研(つくば)
30,000
2
60,000
国外旅費
ウルグアイ
250,000
1
250,000
国外旅費
USA
240,000
1
240,000
備品
RCM 用 PC
150,000
1
150,000
消耗品
プリンターインク
5,000
3
15,000
合計
(国際会議)(11 月)
研究打ち合わせ
(9 月)
サンフランシスコ
(12 月)
995,000