幾何学序論1 K.Ichihara 写像とは 写像の定義 写像の用語 写像の相等 幾何学序論1 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 市原一裕 2015 年 5 月 18 日(月)2 限 1/7 小テスト 1. 集合族 {Xλ }λ∈Λ に対し, ∩ 幾何学序論1 K.Ichihara Xλ の定義を λ∈Λ 書きなさい. 写像とは 写像の定義 写像の用語 写像の相等 [ ] 1 1 2. λ ∈ R に対して,Aλ := − , とする λ λ ∪ とき, Aλ を求めなさい. 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 λ∈R 3. 集合族 {Aλ }λ∈Λ と集合 B に対して,次を 証明しなさい. ( ) ∪ ∪ A∩ Bλ ⊃ (A ∩ Bλ ) λ∈Λ λ∈Λ 2/7 写像の定義 幾何学序論1 K.Ichihara 定義 2.1.1【写像(map)】 写像とは 集合 X から集合 Y への写像とは,X のある要素と Y のある要素との間の対応関係のこと. 写像の定義 写像の用語 写像の相等 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 注意 2.1.1 狭い意味では「ある要素からある要素を対応させる ルール(法則)」のこと.一般には明確なルールはな くても良い(対応関係さえはっきりしていれば) (ディ リクレの定義) 【写像の表し方】 f : X → Y で写像 f をあらわす. 写像 f が「X の要素 x を Y の要素 f (x) に写す」こと を x 7→ f (x) とあらわす. 3/7 写像の用語 幾何学序論1 K.Ichihara 定義 2.1.2【始域(source),終域(target)】 写像とは 写像の定義 写像の用語 写像 f : X → Y に対し,集合 X を f の始域,集合 Y を f の終域という. 写像の相等 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 定義 2.1.3【定義域(domain),値域(range)】 写像 f : X → Y に対して,f による対応関係があるよ うな x ∈ X の集合を f の定義域といい,x ∈ X に対し て f (x) の集合を f の値域という. 定義 2.1.4【関数(function)】 終域が数の集合(たとえば,R とか C とか)である写 像を関数という. 4/7 写像の相等 幾何学序論1 K.Ichihara 定義 2.1.5【写像の相等】 2つの写像 f : X → Y と g : X ′ → Y ′ に対して, ′ (1)X = X かつ Y = Y ′ 写像とは 写像の定義 写像の用語 写像の相等 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 (2)∀x ∈ X に対し f (x) = g(x) が成り立つとき,f と g は等しいという. 例 2.1.2 f (x) = x2 − 1 で定まる写像 f : R → R と, g(x) = x2 − 1 で定まる写像 g : N → R は等しくない! なぜなら,f と g は定義域が異なるから. 関数をあらわす式だけをみないこと. 式は関数ではない . 5/7 恒等写像,包含写像,制限写像 定義 2.1.6【恒等写像(identity map)】 集合 X の恒等写像 idX : X → X とは, ∀x ∈ X ,idX (x) = x で決まる写像のこと. つまり,なにも動かさない写像のこと. 幾何学序論1 K.Ichihara 写像とは 写像の定義 写像の用語 写像の相等 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 定義 2.1.6【包含写像(inclusion map)】 X ⊊ Y (つまり,X は Y の真部分集合)のとき, 包含写像 iX : X → Y とは, ∀x ∈ X ,iX (x) = x で決まる写像のこと. 定義 2.1.7【制限写像(restriction map)】 写像 f : X → Y と X の部分集合 A に対して, f の A への制限写像とは, A ∋ a 7→ f (a) で決まる写像 A → Y のこと. f |A であらわす. つまり,f |A : A → Y のとき,f |A (a) = f (a) となる. 6/7 練習問題 幾何学序論1 K.Ichihara 写像とは 写像の定義 練習問題 2.1.1 f (x) = 2x2 − 1 で定義される写像 f : R → R の始域,終域,定義 域,値域を書きなさい. 写像の用語 写像の相等 恒等写像,包含写像,制限 写像 練習問題 練習問題 2.1.2 f (x) = x で定義される f : {0, 1} → R と,g(x) = x2 で定義され る g : {0, 1} → R が等しいことを証明しなさい. 練習問題 2.1.3 包含写像 iQ : Q → R と,制限写像 id|Q : Q → R は,写像として 等しいことを証明しなさい. 7/7
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