冬の天気

冬の天気
昨年 夏の天気を書きましたので続いて冬の天気を。
20 日は大寒。一年のうち最も寒い日といわれており、また冬の折り返し点です。
さて昨年 12 月から1月上旬にかけ、各地で大雪が降りましたが、これも地球温暖化のひと
つの現象でしょう。
今冬は例年になく日本海を流れる対馬海流の水温が高く、湯気の立ち込めるお風呂のよう
に水蒸気が大量に蒸発、そこに冷たい大陸からの寒気が南下するので、暖気と寒気が激し
くぶつかり、上昇気流による大量の雪雲が発生し、日本海側に大量の雪を降らせました。
また滋賀県の名神・新幹線・そして名古屋にも大雪で交通機関はマヒ状態になりましが
この地方は北に高い山がなく、強い北西の風が吹くと若狭湾から琵琶湖を越えて雪雲が流
れ込むためです。
冬の天気といえば西高東低の気圧配置に代表されます。
これは西の中国大陸方面に高気圧があり、東の北海道や北東のオホーツク海方面に低気圧
が位置する冬の典型的な気圧配置で、日本海側で雪が降ります。
一般的に雨(雪)は低気圧や前線で降るものですが、西高東低の冬型の場合は高気圧が雪
を降らせるようなものです。これは先ほど述べた高気圧から吹き出す冷たい空気と、日本
海から蒸発する暖かい水蒸気の衝突による発達した積乱雲によるものです。
冬型の強弱は天気図に日本列島を南北に延びる等圧線が 5 本かかれば標準的な冬型で、そ
れ以上になると強い冬型になります。
PC や新聞の天気図で確認できますが、猛烈に発達した低気圧や台風の場合、限られたスペ
ースなので等圧線の数は省略される場合があります。
(通常気圧は4ヘクトパスカル毎に記入されていますが、神戸新聞は2ヘクトパスカルだ
ったと思います)
以上のように、もし日本海に暖流でなく寒流が流れていたら、もし日本海そのものがなけ
れば,おそらく雪は降らないでしょう。雪は寒いだけでは降らず、湿気が必要だからです。
ところで私たちの住む播州地方はほとんど雪が降りません。日本海で発生した雪雲は中国
山地にぶつかってほとんど雪を落とし、余った分は南下してたまにこちらまで運んできま
すが、日本海から距離もあり、よほど寒気が強く雪雲が大量発生した場合に限られます。
また雪には西高東低の冬型で日本海側や脊梁山脈で降る雪と、南岸低気圧で主に太平洋側
降る雪の2種類があります。
冬型で降る雪は上記の雪ですが、南岸低気圧の雪は日本の南岸を発達しながら進む低気圧
による雪で、水分の多い重たい雪です。関東で大騒ぎする雪はこの南岸低気圧の雪です。
東シナ海で発生した低気圧が日本列島に沿って発達しながら東進、八丈島あたりを通過す
ると大体関東地方は雪が降ります。ただし上空に冷たい空気の侵入が条件です。
播州地方では、南岸低気圧が四国沖を通過時はまだ低気圧が未発達で、北の寒気の呼び込
みも弱く、ほとんどが雨になります。
また南岸低気圧の場合冬型とは反対で、北に行くほど影響は薄れます。
これから春先にかけ南岸低気圧の発生が多くなり、東京に雪が降るか雨になるか、マスコ
ミが大騒ぎするでしょうね。
TV の気象情報で「上空 1500mにー6 度の寒気が南下」とよく放送されますが、この温度は
地上で条件がそろえば雪の降る目安の温度です。
単純計算で気温は 100mで 0.5~0.6 度下がるので、この場合の地上の気温は 2.~3 度にな
ります。
一般に地上付近が 3 度以上の場合は雨、3~1度でミゾレか雪、1度以下は雪になります。
天気図とお友達になりましょう
天気図は地形図とならんで登山者には欠かせないものです。
しかしどちらも苦手という人が多い様ですが、首を突っ込めば面白くなるもので、慣れて
くれば天気図を見てある程度自分で天気予報は出せるようになります。
降水確率まで TV で知ることができる昨今ですが、基本は天気図を読むことです。
マスコミの降水確率は地上のある地点での確率であり、山では多少違ってきます。
風が吹くと山では上昇気流により雲ができやすく、目的の山はどちらから風が吹くか、そ
れによって山の天気は変わってくるので、天気図で風の方向を知ることも大切です。
下界が晴れていても山に吹きつける風の状況でガスや雨が降ることが多々あります。
風といえば天気を左右する上空の風や寒気の流れが重要で,高層天気図の出番です。
北海道放送の HP に詳しく解説されていますが、
まずは地上天気図に慣れることが大切で、
新聞の天気図を毎日眺める習慣をつけ、前日と比較して天気の流れをつかみましょう。