粘性土の工学的特性に及ぼす酸性化の影響評価

環境都市工学科
粘性土の工学的特性に及ぼす酸性化の影響評価
地盤中に存在する黄鉄鉱の酸化によって,土の構造がどのように変化し,
それが粘性土地盤の工学的特性にどう影響するのかを解明します.
■ 酸性化した粘性土地盤
北陸地方には,酸性化した地盤が多く散在し,そ
の中でも石川県内に堆積する地盤は,土中に黄鉄鉱
(パイライト)と呼ばれる鉱物が多く含まれていま
す.黄鉄鉱を含む土は,土中において還元状態にあ
る場合は,中性を示しますが,掘削などによって土
が一旦大気にさらされると,その直後から黄鉄鉱と
酸素が反応し始め,徐々に酸性化が進行します.そ
の結果,地盤は強い酸性を有するようになります.
近年,石川県内において,酸性化した粘性土地盤か
らなるのり面が崩壊した事例がいくつか報告されて
います.今後,円滑な地域開発もしくは地盤防災の
ためには,のり面の設計に粘性土の変形・強度に及
ぼす酸性化の影響を盛り込む必要があります.
○顕微鏡観察
実験に用いた供試体を顕微鏡で可視化することに
よって,酸性化が進行する過程において、土の構造
がどのように変化したのかをミクロな視点から考察
します.
○リングせん断試験
酸性化が粘性土の残留時におけるせん断強度やせ
ん断抵抗角にどのような影響を及ぼすのかを把握す
る目的で,写真−2に示すようなリングせん断試験
装置を用いて,せん断試験を実施します.
■ 一連の室内実験
○三軸圧縮試験
酸性化が進行する過程において、粘性土の変形・
強度・ダイレイタンシー特性がどのように変化する
のかを把握する目的で,写真−1に示すような三軸
試験装置を用いて,等方圧密非排水・排水三軸圧縮
試験を実施します.
写真−2 リングせん断試験装置
重松宏明(しげまつ ひろあき)
[email protected]
076-288-8168
【生年月】1966 年 6 月
【職名】講師
【学位】博士(工学)
【学位論文名】年代効果を受けた自然堆積土の微視的構造
と力学挙動の解明
【学歴・職歴】名城大学理工学部土木工学科卒業(1990 年
3 月),
(株)サンユテクノス橋梁・土木部入社(1990 年 10
月),岐阜大学工学部技官(1993 年 4 月),岐阜大学大学院
工学研究科博士前期課程(社会人特別選抜)修了(1996 年
3 月),石川工業高等専門学校講師(2002 年 4 月)
【専門分野】土質力学,地盤工学
【研究課題】自然堆積土の微視的構造に基づく力学モデル
の構築
写真−1 三軸試験装置
【キーワード】せん断,粘性土,微視的構造,年代効果,
セメンテーション,応力履歴