第5回けいはんなのトップシーズを聴く会 講演サマリー 1. 「タウをターゲットとした抗アルツハイマー病薬の創出」 同志社大学生命医科学部医生命システム学科 助教 宮坂 知宏 氏 高齢者における認知症の罹患者数は増加の一途をたどり、その予備軍を含めると 800 万人をこえ ると試算されている。その大半はアルツハイマー病であり、その進行を阻止する disease-modifying drug(≈根本治療薬)の開発が急がれる。これまでの抗アルツハイマー病創薬は疾患メカニズムの上流 に想定されるアミロイドの蓄積をターゲットとしてきた。しかしその有効性は限定的であったことか ら、現在ではタウ病理の形成をターゲットとする創薬が期待されている。同志社大学では、とくにタ ウの病理を対象としたアルツハイマー病根本治療薬の開発を進めている。アカデミアにおける創薬の 現状と今後の展開について、我々の成果を中心に紹介させて頂く。 2.「音響放射力による波動応用デバイスの開発」 同志社大学理工学部電気工学科 准教授 小山 大介 氏 音響的に異なる媒質間に超音波が伝搬すると、その境界面には直流成分の力(音響放射力)が発生 する。我々のグループでは、この音響放射力を利用したアクチュエータ等の各種デバイスの開発を行 っている。本技術は機械式や空気圧式、磁気式などの他方式と比べ、機械的可動部がなく小型化可能 であり、安価に実現できる。本講演では特に、超音波浮上式アクチュエータ、非接触物体搬送技術、 可変焦点レンズ等を紹介する。 3.「テトラピロール類色素の合成とバイオ・エレクトロニクスへの応用」 同志社大学理工学部機能分子・生命化学科 教授 水谷 義 氏 ポルフィリン・フタロシアニンなどの π 共役系の広がったテトラピロール系分子は、光吸収や電導 性などの優れた性質をもつ機能性色素分子で、生化学、材料化学などでいろいろな研究が行われてい います。ユニークな光化学的特性を利用した蛍光センサーなどへの生化学的応用や、半導体性を利用 した太陽電池など電子材料への応用が期待されています。本講演ではポルフィリンの酸化反応によっ て誘導されるオキサポルフィリンの金属イオンの蛍光センサーとしての応用や、ポルフィリン類を有 機電子材料などに応用するための有機―無機複合化手法について紹介します。 以 上
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