工学部の改組について 工学研究科長 小野田信春 巻頭の挨拶の中にも書かせていただきましたが、工 D 各学科には専門性を明示し、学生が進路選択す 学部は「安全・安心社会の創造のためのモノづくり、 る際のガイドラインとなるように複数のコース コトづくり、ヒトづくり」を基本コンセプトとして改 を設置する。 組を行い、新しく生まれ変わりました。今回の改組の 基本的な柱に据えたのは以下の 4 つです。 簡単に補足すると、ご承知の通り、 「原子力」と「繊 維」は福井大学の強み・特色であるだけでなく、福井 A 福 井大学工学部の強み・特色である「原子力安 県の地域性とも強く関係します。今回の改組では、こ 全工学」と「繊維・機能性材料工学」が学べる学 れらについて学べるような学部教育課程を新たに整備 部教育課程を新たに整備する。 しました。特に繊維については、約 30 年ぶりに「繊 B 社 会が求める「幅広い専門知識を持った専門技 維」の名が学部教育に復活することになります。 術者」に対応できるよう、複数専門分野を 1 学 工学部の学生は、特定の分野について高い専門性を 科に大くくり化し、複数専門分野を横断的に学 身に付けて卒業することが当然求められますが、実際 習した上で、さらに特定の分野の専門知識を修 に社会に出てからのことを考えると、専門分野の周辺 得した人材を養成する。 も含めた幅広い専門知識も同時に必要です。そこで、 C 既存の 8 学科を大くくり化するにあたり、基本 コンセプト「安全・安心社会の創造」に対応して、 今回の改組では、学科をまとめて大くくり化し、学年 の低い段階では複数分野を横断的に学習し、学年が進 「機械・システム工学科」 「電気電子情報工学科」 んでから分野を絞って専門性を高める、という教育課 「建築・都市環境工学科」 「物質・生命化学科」 「応 程に組み替えました。大くくり化するときの考え方が 用物理学科」の 5 学科構成とする。その趣旨は C にまとめてありますが、結果的に「機械系」 「電気系」 次のとおり。 ①原子力安全を含む安全・安心社会のためのモ 「建築系」 「化学系」 「物理系」という、工学の主要分野 に即したくくりになっています。 ノづくり(機械・システム工学科) 大 く く り 化 し た 学 科 で、 学 年 が 進 行 し て か ら の ②安全・安心な電気・情報化社会のためのコト 専門性を明示するために設けたのが各学科の「コー づくり(電気電子情報工学科) ③安 全・安心なインフラとまちづくり(建築・ 都市環境工学科) ④安全・安心で持続可能社会創造のための化学・ バイオ(物質・生命化学科) ⑤全分野の基盤となる物理学とその応用(応用 物理学科) 22 工学部の改組について ス」で、学部全体では 11 のコースが設定してありま す。各学科では、3 年次から正式にコース配属する 教育課程となっています。これは、いわゆる Late Specialization という考え方に基づいたものです。 以上が今回の改組の概要で、その全体をまとめたも のを図で示します。 特 集 工学部の改組について 23
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