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ピグマリオン・マネジメント(Pygmalion Management)
1.ピグマリオン効果
マネジメントの部下に対する期待の程度によって、部下の行動は変化する。すなわち、マネジメ
ントの部下に対する期待が大きければ大きいほど、部下の生産性は向上すると考えられる。逆に期
待が小さいと、部下の生産性も低くなる。
一人の期待が他人の行動に及ぼす影響力は、「ピグマリオン効果」(Pygmalion effect)という。
この言葉は元来、行動心理学の用語であったが、ビジネスの世界でも注目されるようになった。
先行研究は、以下の事実を明らかにしている。
○ マネジャーが部下に何を期待し、またどのように扱うかによって、部下の業績と昇進の可能性
はほとんど決まってしまう。
○ 優れたマネジャーは、
「優れた業績を達成できる」という期待感を部下に抱かせる能力を備えて
いる。
○ 無能なマネジャーは、このような期待感を植えつけることができず、その結果、部下の生産性
も向上しない。
○ 部下は、自分に期待されていると感じている範囲および水準でしか働かない。
マネジャーが「この部下は能力に劣る」と内心感じている場合、それを意図的な行動として示さ
なくとも、無意識のうちに部下に伝わる。概して、自分では何も意思表示していないと思っている
時こそ、内心の意図は部下に伝わりやすい。
2.ピグマリオン効果を左右する要因
1)現実的な業績目標の設定
部下に高い成果を期待し、業績目標を高く設定しても、その目標が現実感のないものであれば効
果はない。部下が、上司の期待は現実的で、実現可能なものであると考えれば、高い生産性を達成
するインセンティブになる。部下は、実現不可能な目標に向かうよう奨励されても、部下はやがて
目標達成の努力を放棄し、達成できるはずの水準よりも低い成果に甘んじることになる。
2)マネジャーの自信
部下に対して現実的で、しかも高い業績目標を設定できることが有能なマネジャーの条件である。
この条件を満たすマネジャーの特徴は、部下の才能を伸ばす能力において他人よりも優れていると
いう自信をもっていることである。マネジャーが部下を教育し、高い業績に向かわせる自信があれ
ば、部下に高い業績目標を設定できるとともに、その期待に応えてくれるという相互の信頼感によ
って目標達成への努力を引き出すことができる。
逆に、マネジャーが部下を目標達成に向かわせる能力に自信がないと、部下に多くを期待しない
ばかりか、部下を信頼して接することもない。
要すれば、優れたマネジャーは自己の業績と能力への確信があるため、部下に高い期待を寄せる
ことができ、部下もマネジャーの期待を現実的なものと受入れ、それに応えようと努力するのであ
る。
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