日本の代表的な染色法のひとつ「友禅染」。古都・金沢で発達した加賀

日本の代表的な染色法のひとつ「友禅染」。古都・金沢で発達した加賀
友禅は、多彩でありながら落ち着いた配色と華やかな筆致の「手描き友
禅」、伊勢型紙を使った繊細な文様を得意とする「型友禅」の2種類の
総称です。特に美しいぼかしの技術は、加賀友禅の醍醐味のひとつです。
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金沢の中心地で110年以上の歴史を持つ奥田染色の奥田勝将社長は、
この手描き友禅と、手捺染(てなっせん)と呼ばれる型友禅の両方の技
法を駆使し、和紙や木材などの建築材料にも加賀友禅の技法を取り入れ
るなど、新境地を切り拓いてきました。昨年、その功績から黄綬褒章を
受章した奥田氏は、「加賀友禅の力加減はそよ風に例えるとよくわかり
ます。型友禅とは言うものの、一つひとつ染めあげるのは人間です。機
械の起こす風がそよ風ほど心地よくないのと同じで、手染めには均一で
はない独特の質感が出るんです。手間のかかることをしたい、面白いと
思うことをしたいという気持ちは昔から変わりませんね」。
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シルク100%の「加賀友禅スカーフ」は、赤・青・黄の基本三彩に
緑・紫を加えた「加賀五彩」をポイントにしています。従来の加賀友禅
のイメージから思い切ってシンプルにすることで、手捺染の刷りぼかし
が際立ち、「色のうつろいを楽しんでほしい」という奥田社長の思いが
ダイレクトに伝わってくるデザインです。赤ちゃんをなでるようにやさ
しくそっとした刷毛運びで染められたあと、白山の伏流水の井戸水を惜
しみなく使って洗い上げたスカーフは極上の肌触りです。
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1 藩政時代の面影を色濃くとどめているとして「金沢市こまちなみ保存建造物」にも指定されている奥田家の長屋門。 2 2014年黄綬褒章を受
章した奥田勝将社長。 3 柿渋で張り合わせた伊勢型紙。 4 加賀五彩の藍(青)。 5 手作りの丸刷毛。 6 「赤ちゃんをなでるように」丹念
に一つずつ染めてゆく。 7 1反で12枚分のスカーフが取れる。 8・9 白山の伏流水を引いてきた井戸水は毎分3トン湧出。夏14℃、冬12℃に
保たれている。 10 脱水したあと専用乾燥室で30分乾燥させる。 11 金の箔押し箱はプレゼントに最適。 12 1辺88センチの大判、シルク
100%のスカーフ。加賀五彩のアクセントが各所にちりばめられているので、見せる部分を少しずつ変えてその日の気分で楽しめる。