年頭所感 - のと共栄信用金庫

- 理事長からのメッセージ
理事長からのメッセージ -
年 頭 所 感
あけましておめでとうございます。
新年を迎えるにあたり、所信の一端を申し述べ年頭のご挨拶といたします。
円安と株高の進行に加え、消費税増税前の駆け込み需要を背景とした個人消費の持ち直しに
より、企業マインドに明るさを取り戻しつつあるなかスタートした平成 26 年は、まさにアベ
ノミクスの真価が問われる一年となりました。4 月の消費税増税以降は、その反動からの回復
の遅れと円安による負の側面の顕在化、
更には夏場の天候不順による個人消費の落込みにより、
我が国経済は総じて足踏み状態が続く結果となりました。景気判断では緩やかな回復基調にあ
るとしつつも、11 月に公表された 7 月~9 月期の GDP 速報値が大方の予測を裏切り 2 四半期
連続のマイナス成長となるなど、増税の影響が想定以上に大きかったことが明らかとなりまし
た。これに先立つ 10 月末には、日本銀行が消費税再増税への道筋を確かなものとするために
追加の金融緩和を決定したものの、安倍総理は消費税率の再引き上げを延期し、その後衆議院
を解散し、総選挙を断行したことはご承知のとおりです。こうした経済環境のなか、輸出産業
を中心とする大企業が業績を大きく改善させる一方で、当金庫の主要取引先である中小企業や
小規模事業者の経営状況は、円安によるコスト増の悪影響が一段と深刻化するなど、アベノミ
クスの恩恵が波及するまでには至らず、むしろ円安を起因とする企業倒産が過去最多を記録す
るなど、規模や業種間の格差が一段と拡大することとなりました。
地域の景況感が改善しないなか当金庫では、これまで以上に金融円滑化機能の発揮に努めた
ほか、自治体や商工団体などの地域関係機関や外部専門機関との連携強化に加え、ABLを活
用した新しい融資スキームの取組みなど、地域活性化に向けた新たな芽を育んできました。特
に七尾商工会議所等との連携による「ななお創業応援カルテット」では 20 先の創業を実現す
るなど、行政機関をはじめ他地域やマスコミからも熱い視線を集めるまでに至っております。
また財務基盤の強化においては、9 月期仮決算での 2 期振りの増益回復をはじめ、通期にお
いても、預貸金量や事業性先数などの業容の拡大に加え、信用コストの改善見込みにより 3 期
連続の最終増益が予測されるなど、一定の成果を収めることができました。
一方昨年は、当金庫にとりまして克服すべき課題が浮き彫りになった年でもありました。
1 つには、不祥事件の未然防止態勢の強化であります。昨年 6 月、当金庫においてお客様の
ご預金を一時的に着服、流用するという不祥事件が発覚いたしました。社会的・公共的使命を
担う金融機関においては決してあってはならないことであり、かかる事態を招いたことを役職
員一同深く反省するとともに、事件の発端となった集金体制の改革をはじめ、内部管理態勢の
充実・強化など不祥事件の未然防止の徹底に間断なく取組むことを誓ったところであります。
2 点目は、超低金利の長期化と競争の激化を背景としたコア業務純益減少への対応でありま
す。これまで取り組んできた事業性先数の更なる増強に向け、金融円滑化機能に一層磨きをか
けるとともに、
「ななお創業応援カルテット」を先例とした、地域活性化に繋がる多様なビジネ
スモデルの構築が早急に求められております。
- 理事長からのメッセージ
理事長からのメッセージ -
最後に、人口減少と高齢化への対応であります。昨年 5 月、日本創生会議の人口減少問題検
討分科会が人口減少によって将来、全国の市町村の半数が消滅する可能性があるとの試算を公
表しました。石川県においても 19 市町のうち 9 つの自治体が消滅の危機にあり、特に能登地
区においてはほとんどの自治体でその可能性が高いと試算されております。当金庫が地域の人
口減少問題に焦点をあて、
多子家族応援定期預金
「子宝 1000」
などの取組みを開始して 10 年、
これまでの地域あげての取組みにも拘らずいっこうに明るさが見えてこないことに危機感を憶
えずにはおれません。こうした試算を受け政府は、昨年 6 月に公表した新成長戦略において「地
方創生」を柱に位置付け、地方を重視する姿勢を明確にしました。先日にはその具体策として
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が示されたところです。
このようななかスタートする平成 27 年は、そのメインテーマを
あ し た
未来への挑戦
への挑戦
~ 永続性ある経営基盤の確立を目指して ~
と定め、次の計画理念を掲げることといたしました。
1.人口減少と高齢化の進展による地域経済の縮小など、地域が抱える課題の克服に向け、協同組織金
融機関、地域密着型金融機関としての特性を最大限発揮する。
2.人口減少が進行することを前提に、自らの体力と行動力を強化するとともに、新しいビジネスモデ
ルの構築を図り、永続性ある経営基盤の確立を目指す。
3.地域金融市場での競争を勝ち抜くため、信用金庫としての独自性の発揮により他業態との差別化を
図り、地域での存在感を高める。
4.地方競争時代を勝ち抜くため、業界中央機関や地方公共団体、商工団体などの地域関係機関および
外部専門機関などとの連携を強化するとともに、
「まち・ひと・しごと創生総合戦略」との相乗効
果の発揮に努める。
5.女性の活躍促進をはじめ、個々の課題解決能力の向上を図ることにより金庫全体の人材力・組織力
の底上げを図る。また、職員が常に自信と誇りを持って働くことができる職場づくりに努める。
本年、当金庫は創立 100 周年を迎えます。いうまでもなく当金庫は、大正 4 年の創業以来、
豊かで持続可能な地域社会の実現に努めてきましたが、こうした役割は時代がいかに変わろう
とも不変であり、
当金庫が生き残る唯一の道であると確信いたしております。
折しも3 月には、
北陸新幹線金沢開業や能越自動車道七尾 IC 開通、更には NHK 連続テレビ小説「まれ」の放
映開始など、当地にとってはまさに千載一遇の好機を迎えることとなります。こうした追い風
を的確に捉え、地域が抱えるさまざまな課題を克服するために、当金庫の持つ役割は益々重要
なものとなります。私たちはこの 100 周年という節目の年を、明るい未来を切り拓くために、
さまざまな困難に真正面から『むきあう』年とすることを決意しなければなりません。
役職員の皆様には、本趣旨を十分に理解され、心ひとつに取り組まれることを希望し、併せ
て本年が役職員とご家族の皆様にとりまして、幸福で最良の年となりますよう心から祈念申し
上げ、年頭のご挨拶といたします。
平成27 年1月 5 日
理事長
大林重治