第1章 第1節 計画策定にあたって 第2節 高齢者を取り巻く状況 第3節 計画の体系 序 論 第1節 計画策定にあたって 第1項 計画策定の背景 ◆総人口の減少と高齢化の進展 平成 20(2008)年を境に、わが国においては人口減少社会へ突入し、一方で、世界に類をみない 速度で高齢化が進んでいます。平成 27(2015)年に 65 歳以上の高齢者になるいわゆる「団塊の世 代(昭和 22 年~昭和 24 年生まれ)」が、平成 37(2025)年には 75 歳以上の後期高齢者となり、3 人 に 1 人が 65 歳以上、5 人に 1 人が 75 歳以上となります。厚生労働省によると、平成 37 年には 65 歳以上の高齢者の数が 3,657 万人となり、高齢化率も 30.3%に達すると見込まれています。 涌谷町においては、平成 26 年の高齢化率は 30.1%となっており、全国平均を上回る状況となって います。平成 37 年の高齢化率は 38.4%まで増加すると見込まれ、介護を要する高齢者の増加に伴 い、必要とされる支援も増加が見込まれます。また、高齢者を取り巻く環境も様々で、生活様態も多 様化しており、支援を必要とする高齢者へ適切な支援を提供できるよう、制度の構築が大きな課題 となっています。 第 6 期計画にあたる本計画では、平成 37(2025)年を見据え、中長期的な視点から、「地域包括ケ アシステムの充実」と「高齢者が安心して暮らすための介護サービスの充実」を基本目標として、そ の実現に向けて取組んでいきます。 ◆介護保険環境の変化 要介護・要支援認定率が高くなる 75 歳以上の人口が平成 37 年にかけて急速に増加し、その後も 増加し続けると見込まれています。一方で、介護保険料を負担する 40 歳以上の人口は平成 37 年ま ではわずかに増加し続けますが、平成 37 年以降は減少していくと推測されています。 介護保険制度を利用する高齢者が増加し、保険料負担者が減少していく社会の中でも、必要な 人に必要な支援を提供し続けられるように、元気なうちから健康支援を行い、認定者とならないよう な仕組みづくりの必要性がますます高まっています。 3 ◆介護保険法の改正 第 5 期計画では、高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築するために必 要となる、①認知症支援策の充実、②医療との連携、③高齢者の居住に係る施策との連携、④生 活支援サービスの充実といった重点的に取組むべき事項を、実情に応じて選択して位置づけるなど、 段階的に計画を充実強化させてきました。 第 6 期計画以後の計画は、2025 年に向け、第 5 期で開始した地域包括ケア実現のための方向性 を承継しつつ、在宅医療介護連携等の取組みを本格化していきます。その上で第 6 期計画では、持 続可能な介護保険制度構築のために、「地域包括ケアシステムの構築」と「費用負担の公平化」を 柱に、介護保険事業を運営していく必要があります。 介護保険制度の改正の主な内容について ①地域包括ケアシステムの構築 ②費用負担の公平化 高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるようにするため、 介護、医療、生活支援、介護予防を充実。 低所得者の保険料軽減を拡充。また、保険料上昇をできる限り 抑えるため、所得や資産のある人の利用者負担を見直す。 低所得者の保険料軽減を拡充 サービスの充実 ○地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実 ①在宅医療・介護連携の推進 ②認知症施策の推進 ③地域ケア会議の推進 ④生活支援サービスの充実・強化 ○低所得者の保険料の軽減割合を拡大 ・給付費の5割の公費に加えて別枠で公費を投入し、 低所得者の保険料の軽減割合を拡大 * 軽減例: 年金収入80万円以下5割軽減→5.5割軽減に拡大 * 軽減対象: 市町村民税非課税世帯(65歳以上の約3割) * 介護サービスの充実は、前回改正による24時間対応の 定期巡回サービスを含めた介護サービスの普及を推進 * 介護職員の処遇改善は、27年度介護報酬改定で検討 重点化・効率化 ①一定以上の所得のある利用者の自己負担を引上げ ・2割負担とする所得水準を、65歳以上高齢者の所得上位 20%とした場合、合計所得金額160万円(年金収入で、単 身280万円以上、夫婦359万円以上)。 ただし、月額上限があるため、見直し対象の全員の負担が 2倍になるわけではない。 ・医療保険の現役並み所得相当の人は、月額上限を37,200円 から44,400円に引上げ ②低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」 の要件に資産などを追加 ・預貯金等が単身1000万円超、夫婦2000万円超の場合は 対象外 ・世帯分離した場合でも、配偶者が課税されている場合は 対象外 ・給付額の決定に当たり、非課税年金(遺族年金、障害年金) を収入として勘案 重点化・効率化 ①全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が 取り組む地域支援事業に移行し、多様化 * 段階的に移行(~29年度) * 介護保険制度内でサービスの提供であり、財源構成も 変わらない。 * 見直しにより、既存の介護事業所による既存サービスに 加え、NPO、民間企業、住民ボランティア、協同組合等に よる多様なサービスの提供が可能。これにより、効果的・ 効率的な事業も実施可能。 ②特別養護老人ホームの新規入所者を、原則、要介護3以上 に限定(既入所者は除く) *不動産を勘案することは、引き続きの検討課題 ○ このほか、「2025年を見据えた介護保険事業計画の策定」、「サービス付高齢者向け住宅への住所地特例の適用」、「居宅介護支援 事業所の指定権限の市町村への移譲・小規模通所介護の地域密着型サービスへの移行」等を実施 4 第2項 計画の位置づけ 本計画は、介護保険法第 117 条第 1 項の規定に基づき、策定が義務付けられている「介護保険 事業計画」です。 本年度は、「地域福祉計画」「高齢者福祉計画(介護保険事業計画)」「障害福祉計画」の見直し年 度にあたるため、福祉分野共通の実態や課題を明らかにし、総合的見地から検討を行いました。 計画においては、総合計画を最上位計画と位置付け、健康と福祉のまちづくりを目指して、根拠 法及び国・県の指針に基づきながら策定検討を進めました。 涌谷町 第4次総合計画 健康と福祉のまちづくり「健康安心一番」プロジェクト 地 域 福 祉 計 画 社会福祉法 107条 子 ど も 子 育 て 支 援 事 業 計 画 子ども子育て支援法 第61条 障 害 者 プ ラ ン 高齢者福祉計画 障害者基本法 第11条 老人福祉法 第20条の8 障 害 福 祉 計 画 介護保険事業計画 障害者総合支援法 第88条 涌谷町保健活動計画 (町民医療福祉センター基本方針) 地域福祉活動計画(社会福祉協議会) 5 介護保険法第117条第1項 第3項 計画期間 本計画は平成 27(2015)年度を初年度とし、平成 29(2017)年度を目標年度とする 3 か年計画とし ます。 また、介護保険法に基づく「介護保険事業計画」は、老人福祉法に基づく「高齢者福祉計画」に内 包されるものとして計画期間を一致し、整合性を図ります。 第4項 策定体制 第 6 期介護保険事業計画は、町長から健康と福祉の丘運営委員会に諮問し、同委員会により協 議及び策定されました。 本町の高齢者の実態を把握し、計画策定の基礎資料とするため、日常生活圏域ニーズ調査(巻 末資料)を実施しました。 また、本計画は同時期に策定される、地域福祉計画、高齢者福祉計画、障害者福祉計画と整合 性を図り策定しました。 議 会 報告 町 長 答申 諮問 健康と福祉の丘運営委員会 第6期介護保険事業計画 計画案に反映 意見聴取 福祉計画策定懇話会 地域福祉計画 高齢者福祉計画 6 障害者福祉計画
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