1 平成27年度 事業計画

平成27年度 事業計画
東京湾水先区水先人会
1.水先を取り巻く環境
平成 27 年度の事業計画を策定するに当たり、当会を取り巻く一般的な情勢に
ついて概観すれば次の通りである。
1)平成 27 年 3 月 6 日に、「水先法施行令の一部を改正する政令」が公布さ
れ、来る 8 月 1 日から施行されることになった。これにより、京浜港横
浜川崎区の横浜港における強制水先は、3 千 GT から 1 万 GT(危険物船
を除く)に緩和される。現在、
「横浜港における強制水先対象船舶の範囲
の見直しに係る航行安全対策協議会」において、種々の安全対策が検討
されており、3 月中旬には最終とりまとめが行われる予定である。
2)昨年 2 月、新しい水先人養成制度見直し後に養成を始めた、新規一級、
新規二級及び二級進級の水先修業生に対し、初めて水先人会による個別
教育が実施されたが、今後、水先人会の日常の業務の中で、充実した個
別教育を如何に定着させていくかが課題である。
3)平成 27 年度は、6 月に当会初の新規二級水先人(1 人)が入会予定であ
り、また、7 月には三級水先人から二級水先人に進級した水先人(7 人)
が二級水先人として実職を執ることが予定されている。平成 19 年に水先
制度が改正されてから、初めての二級水先人が誕生することになる。
4)水先人の後継者不足は、全国的に深刻さを増してきており、大手水先区
の内海水先区でも、現在の水先人応募状況が継続するとすれば、5年後
には年間数十隻程度、10 年後には年間数百隻程度の応召不可能な事態が
生ずるとのシミュレーション結果が出ている。中小水先区においては、
更に深刻で、既に他水先区への支援派遣が頻繁に起こりつつある。
当会にあっては、これまで、各等級ごとに一定数を継続採用してきた
こともあり、内海水先区のような極端な落ち込みはないものの、暫定
退職基準年齢に達する前に早期退職する傾向が見られ、団塊の世代が
74 歳の定年を迎える平成 33 年から 35 年にかけ、総員数が 160 人前後に
なると予想されることから、今後、関東以北の太平洋岸水先区における
中小水先区への派遣支援の中核水先区として、「心の準備」をしておく
必要がある。
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5)平成 26 年度は、ガントリークレーン接触事故、岸壁接触事故及びその他
の事故・トラブルが相次いで発生した年であった。最近は、日本海側及
び太平洋側を通過後、北海道東方沖で合体して異常に発達する低気圧に
吹き込む強風のパターンが多いが、これ等の事故には強風下の水先業務
中に生じたものが多い。
2.平成 27 年度の重点項目
上述した水先業界の置かれた現況に鑑み、今年度の重点目標を次の通りと
する。
1)第 1 に、水先制度の究極の目的である「船舶交通の安全を図り、併せて
船舶の運航効率の増進に資する」という原点に立ち返り、
「安全、且つ効
率的運航」を達成すること。
横浜港の強制水先の緩和に伴う「安全対策」が講じられたとしても、本
年 8 月以降、朝夕の船舶交通の輻輳時間帯においては、港外と港内とを
問わず、水先人の乗船する船舶と乗船しない船舶が混在する状況を排除
することは実務上難しい。従って、水先人の就業環境は、現状よりも一
層厳しくなることは確実であるが、そういう状況の中でも、慎重な水先
業務の遂行を果たさなければならない。
2)第 2 に、新水先人養成制度における水先人会の実務修習生に対する個別
教育を充実し、定着させること。
海技大水先教育センターの個別教育のシラバスは、教育現場の実務と合
致していないこともあり、平成 26 年度は、手探りで個別教育を実施せざ
るを得なかった。現在、
「水先人育成プロジェクトチーム」において、昨
年実績をレビューし、当会として、実務的で、しかも教育効果の上がる
個別教育方針が検討されており、その結果を定着させなければならない。
3)第 3 に、年間を通して強風が吹く最近の気象状況に鑑みて、風に強い水
先人になること。
地球温暖化の影響かも知れないが、最近は年間を通して強い風の吹く日
が多くなったと感じている水先人もいるであろう。強風に起因するガン
トリークレーンへの接触事故、係留施設への接触事故が後を絶たない状
況を改善するため、座学及び操船シミュレータ訓練を有効に組み合わせ、
強風による操船限界を知り、また、凪待ちの判断を的確にするため、技
術研修会を開催する。
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3.各事業
会則第4条に定める事業に関し、具体的に実施する内容
1)会員の品位保持に関する諸施策の実施
① 連合会の実施する研修の受講
② 会員の継続的かつ定期的健康管理の実施
③ 綱紀委員会の開催
④ 事故防止対策委員会の開催
⑤ ISO 管理委員会の定期的な開催及び ISO 品質管理システムの運用
2)合同事務所の設置及び運営に関する事務の実施
① 料金請求収受業務、会員の行なう水先の引受及び配乗等のオペレーショ
ン業務の効率的運用
② 財務諸表の公認会計士による監査及び情報公開基準に従った情報公開
③ 業務運営協議会の定期的開催
④ ユーザー対応窓口等を活用したユーザーの意見の吸い上げ及びユーザ
ー対応委員会の定期的開催
⑤ 総会、理事会、業務連絡会、常勤役員会、総務委員会、業務委員会、
財務委員会及び海務委員会の定期的開催
3)水先人の養成に関し必要な事務の実施
① 新入会員(一級水先人/二級水先人/三級水先人)に対する新人実務研
修の実施
② 水先修業生(一級水先修業生/二級水先修業生/三級水先修業生)に対
する水先区個別教育の実施
③ 教育訓練センターにおける教育訓練の計画策定及び実施
④ 会員に対する技術研修の実施
⑤ 操船シミュレータの活用による技術の維持及び増進
4)本会及び会員の業務に関し日本水先人会連合会及び官公署等との連絡協議
① 日本水先人会連合会の要請による理事その他の役員及び委員等の派遣
② 各外郭団体に対する理事その他の役員及び委員等の派遣
以
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上