大津市滞納整理の現状把握・将来の方向について

平成 25 年度政策実務系研修(JAMP 共同実施研修)レポート優秀作
市町村税徴収事務
「大津市滞納整理の現状把握・将来の方向について」
滋賀県大津市総務部納税課
板垣
渚
大津市では、
「新たな滞納者をつくらない」を今年度のスローガンに設定し、滞納
整理を行っています。新たな滞納者をつくらないとは、現年滞納者を増やさず、過
年度の滞納者・滞納金額の圧縮に努めようとするものです。
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現状分析
・大津市の徴収体制
大津市税の徴収状況について、平成 24 年度の徴収率は、現年 98.6%、滞納繰越分
21.8%となっています。差押は約 1,400 件実施していました。
徴収体制は、市民それぞれに設定された住民登録コードをもとに担当を割り振っ
ており、滞納額での区別はなく、いわばランダムに担当割が設定されています。100
万円以上の高額滞納案件については、年に数回上司と面談し、現在の折衝状況・今
後の滞納整理方法について、対策を講じています。
徴収の基本的な流れは、文書催告から滞納処分に着手するというもので、差押の
対象は預金・給与・不動産・生命保険・年金が中心となっています。長期間納付・
連絡のない悪質な滞納者に対しては、捜索を行い、動産を差押え、インターネット
公売に出しています。捜索に関しては滋賀県を中心に、県内他市町村と連携し、合
同捜索チームを結成し、24 年度では3件の合同捜索を実施しました。
・大津市の強み
-若手職員の充実、滞納整理に特化、収納システムの整備
1つ目に大津市納税課では、近年にかけて徴収職員の若返りが進んでいます。20
代職員が全体の半数以上を占め、やる気に満ち溢れ、失敗を糧に日常業務に遂行す
る職場気質があります。2つ目に、徴収組織では、各担当が、納税折衝・財産調査・
滞納処分を専門としており、課税実務や不動産公売等は別部門担当であるため、一
連の流れに沿って滞納整理に特化していることです。3つ目として、収納システム
では、昨年度からコンビニ収納制度が開始され、納税者がより簡単に納税できるよ
うな利便性の高い環境を整備できるようになりました。以上のような3点が大津市
の強みとして挙げられます。
・大津市の弱み
-経験不足、担当滞納案件の膨大さ、市域としての徴収効率、高額・現年滞納者へ
の対応
1つ目は、滞納整理を行っていく上で、若手職員や滞納整理業務の経験が
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浅い職員が比較的多いことから、このケースではどうする?といった対応が未熟な
実情があります。それはもちろん経験不足から生じています。差押を行う上でも、
預金・不動産の差押に関しては、数多くできているのですが、給与・各種保険・年
金その他の差押に関しては、まだまだ数少ないのが現状です。2つ目に、担当一人
あたりが抱える案件が 1,500 件以上あり、全体への対応が出来ているか疑問です。
3つ目に、大津市は琵琶湖に面して位置しているため、東西南北にかなり広範囲な
市域となり、地域担当割りでないため、担当が、現地折衝を行うには効率面で不利
な状況となっています。4つ目は、高額滞納者・現年滞納者へのアプローチ面が弱
い点にあります。高額滞納者に対しては、長年の折衝状況から見て、半ば前任者の
滞納整理路線をそのまま引き継いでしまっているような事が多々あります。それで
は、現状維持でしかないため、高額案件の解決が難しい状況に陥ってしまっている
のが実状です。また、各担当が過年度滞納整理に重点を置きがちなため、現年滞納
者には現在では手が届いていないという状況です。以上のような4点が大津市の弱
みとして存在しています。
・23 年度との比較
-改善された点
1つは、統一基準の採用にあります。主に時効判定にありますが、23 年度までは、
各担当毎に、時効の取り扱いが統一されておらず苦慮していましたが、24 年度から
は、各期別毎に時効判定を行うことに統一する形になりました。また書面での分納
誓約が結べないような少額分納者に対しては債務確認書の記入を求める取り扱いに
なり、今までにない時効対策の統一基準が採用されました。
もう1つは、執行停止の基準の明確化と、その強化にあります。23 年度までは、
なるべく執行停止にはつなげないという考えが各担当間で存在していましたが、徴
収率を上げるためには、財産がなく、今後資力の回復が見込めない滞納者には、積
極的に停止へとつなげる認識が各担当には芽生えています。また各市町村へ執行停
止基準の照会を行い、大津市の執行停止基準を明確にするという方向性に現在あり
ます。以上の2点が 23 年度との比較で改善された点であるかと思います。
-改悪になった点
23 年度との比較では、収納率が下がっている点にあるかと思います。滞納繰越分
に関しては 23 年度が 23.2%だったのに対し 24 年度は 21.8%になっています。その
原因としては、23 年度は各担当毎の差押件数を月間で公表しており、担当間で競争
風土があったのですが、24 年度はそのしくみがなくなっています。もちろんその点
以外にも原因は考えられると思いますが、差押件数だけでみると、23 年度は 2,000
件以上の差押を行っていたのに対して、24 年度は約 1,400 件にとどまってしまいま
した。徴収率と差押件数が比例するという前提から考えれば、徴収率が下がったの
は、当然の事であると思います。
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現状の解決
-徴収率の向上
23 年度と 24 年度の比較から、滞納処分の件数を増加させることが近道であると考
えます。もちろん、今まで通りの滞納処分の繰り返しでは、徴収率も頭打ちになっ
ているという事が、他市町村との交流で把握できたことなので、今後は、積極的に
賃料差押や請負契約差押など新しい分野の差押に挑んでいく必要があると思います。
-徴収システムの構築
現状の住民登録順のコード担当制度では、ある程度の滞納者分別があるにしても、
性別・年齢・滞納金額・居住地域もバラバラな状態であるため、最善の効率を得て
いるとは言い難いです。そのハード面の対策として、今年度途中には、滞納整理新
システムを導入する予定であり、このシステム導入により、地域担当割が導入され
るため、その担当地域への一斉滞納処分が可能になるといった明確で効率の良い実
務を行う事ができ、課題解決への前進に至ると思っています。
-職員の経験不足のカバー
24 年度から若手職員の成長が著しく、より組織として成熟しているのが今年度で
あり、昨年1年を通じて、各担当の経験値も上がっており、自信を持って実務に取
り組んでいる事が明確です。また今後は、今回私が参加させてもらっているような
全国規模の研修に積極的に参加し、各市町村との交流をしていく中で、刺激を受け、
日々の実務にフィードバックできる機会の増加が必要となってくると考えています。
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今年度テーマへのアプローチ
以上のような大津市の現状と課題を踏まえ、今年度のテーマである「新たな滞納
者をつくらない」に向き合っていくには、過年度から現年中心の滞納整理にシフト
チェンジしていく事が必要です。
大津市の現状を把握した上で、
「新たな滞納者をつくらない」に向けて各担当職員
が共通理解を持ち、今後の実務に取り組んでいく事が必要であると考えました。
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