三浦の『教育あれこれ』

三浦の『教育あれこれ』
職員向け通信
平成 28 年 2 月 22 日
知立市立猿渡小学校
校長 三浦 啓作
去る 19 日、平成 26~29
年度まで文部科学省の研
究開発校を委嘱されてい
る武蔵村山市立第八小学
校(東京都)の中間発表
会を参観してきました。
研究している内容は、
新教科「徳育科」です。
昨年(2015 年)8 月、
中教審教育課程特別部会
が示した「論点整理」は、
「考え、議論する道徳」
への「質的転換」を強調しました。従来の授業は読み物教材の登場人物の心情理解に偏るこ
とが多く、
「あなたならどう考え、行動・実践するか」を子どもたちに正面から問うことをあ
まりしてこなかったと指摘しており、ここから脱却し「問題解決型の学習や体験的な学習な
どを通じて、自分ならどのように行動・実践するかを考えさせ、自分とは異なる意見と向か
い合い議論する中で、道徳的価値について多面的・多角的に学び、実践へと 結び付け、更に
習慣化していく指導へと転換することこそ道徳の特別教科化の大きな目的である」と述べて
います。
第八小学校は、これを具現化すべく、中教審専門部会、道徳教育関係会議等の委員を歴任
してきた押谷由夫氏、国立教育政策研究所総括研究官の西野真由美氏、武蔵野大学教授の貝
塚茂樹氏、岐阜大学大学院教育学研究科准教授の柳沼良太氏を講師に迎え、精力的な研究を
行っていました。
研究主題
「礼節を大切にし、自分に厳しく人に優しく、主体的に集団と社会
に働き掛ける児童の育成
~新教科「徳育科」の創設を通して~ 」
公開授業は、6 年生の様子を見てきました。
『江
戸しぐさ』の資料を使い、礼儀を主題とした授業
で、左の写真は江戸しぐさの中の「傘傾(かし)
げ」を動作化し体験している場面です。
学習過程の前半(導入・展開1)は、資料から
江戸の人々が大切にしてきた礼法の価値に気付き、
これをロールプレイで体験させ、感じたことを発
表するという、比較的よくある流れ(ここまでで
30 分)でしたが、興味深いのは後半の展開です。
導入で「気付き」、展開 1 で「考えた」ことを、展開 2 で「実践につなげる」として、「自分が
大切にしたいと考えるしぐさにはどのようなものが有るか」を考えさせワークシートに書かせま
す。さらにまとめの時間に「深め広げる」として、皆が考えた「八小しぐさ(第八小学校しぐさ)」
を学校全体に広げるために、次時の学級活動でその取り組みについて話し合うことが予告されま
した。今回は教師によるやや強引な展開かとも感じましたが、児童の主体的な動きを導くことさ
えできれば、本校の総合単元的な道徳の授業に通じる、なかなか面白い試みだと思いました。
三浦の『教育あれこれ』
職員向け通信
平成 28 年 2 月 12 日
知立市立猿渡小学校
校長 三浦 啓作
来週 15 日(月)から、児童会主催の「感謝の気持ちを表す活動」が始まります。
これに合わせて、15 日の全校朝会で以下のような話をする予定です。低学年には難
しいのを承知でお話をしようと思います。事前にこの通信でお知らせしておきます
ので、必要に応じて、集会後に担任の先生からの補説をお願いできれば幸いです。
人は人と関わって人間になる
【板書計画は、写真
を参照してください】
今日は「人」という漢
字のお話をします。「人」というのは、「人(ヒト)」=「人間(にんげん)」のこと
ですが、ここでは、この漢字二つの違いは何かを考えてみましょう。
まず、
「人(ヒト)」・・・これは、語源的には、人間が一人で立っている様子から出
来た文字です。もし、人の反対の言葉を探すとしたら、何を思い浮かべるでしょう
か。
「神」
「獣」
「自然」あたりでしょうか。
「とても人の仕業とは思えない⇔神業(人
にはできないようなすごい仕事)」、
「理性⇔野性」、
「人工⇔自然」と言ったりします
ね。
次に「人間(にんげん)」、この意味は、
「人間」の反対にある言葉を考えてみると
分かりやすいです。例えば「人間的」⇔「機械的」と使いますね。
「人間的」という
とき、「機械」にはない「心」が存在します。( 「心がある」とか「心がない」と使
います。 )
「こころ」は「思いやり」ですね。
「温かい行動」を「人間的」とか「血が通ってい
る」と言います。これに対し、「機械的」は「冷たい」の意です。
つまり「人間(にんげん)」
とは「人と人とのつながり」
を意識した言葉なのです。
これを「人間(ジンカン)」
と読みます。意味は「世間」
「世の中」
「社会」という意
味です。
これらが意味することは、
つまり「人間(にんげん)」
は、
「ヒト」としては一人で生まれてきますが、
「にんげん」というときには、
「人は
一人で生きているようで、実は人と人との間で、多くの人との関わりの中で生きて
いる存在なのだ」ということなのです。
このことを、かつて『3年 B 組金八先生』というテレビドラマの中では、武田鉄矢
さんの演じる金八先生が、
「人という字は、人と人とが支えあっている姿です」と言
ったのもうなずけますね。(裏面に続く)
今日から23日(火)まで、児童会が主催する「感謝の気持ちを表す活動」が行
われます。猿渡小学校のみなさんにも、
・交通指導員の納さん、・交通立ち番ボランティアの神谷さん、
・給食配膳員の南澤さん、山田さん、清水さん
・菊の世話をしてくださっている大藪さん、鵜飼さん
・代表の竹田さんをはじめとする読み聞かせボランティアのみなさん
・学校図書推進員の服部さん
・長坂さんをはじめとする囲碁クラブ指導員の方
・校内安全巡視員の大南さん、中石さん
・正面玄関の花の世話をしてくださっている鵜飼さん
・下校見守りボランティアの神谷さん、松波さん、岡田さん、大南さん
などなど、といった方々が、関わってくださっています。
これこそ、「人と人とのつながり」ですね。こういった方々の人間的な温かさ
や思いやりに、守られ助けられ支えられて、今のみなさんがあります。
「人は人との関わりの中で人間になるのです」
ですから、どうか心をこめてお礼のお手紙を書いてほしいと思います。
私からもよろしくお願いします。
三浦の『教育あれこれ』
皆さん、新年明けまして、
おめでとうございます。
職員向け通信
平成 28 年 1 月 7 日
知立市立猿渡小学校
校長 三浦 啓作
申年に「猿渡小」の由来
新しい年、西暦2016年、
平成28年になりました。
そして今年の干支は「猿」。そう「申年」です。猿渡小の「猿」。まさに本校「猿
渡小」の年ですね。ぜひ今年、いい年にしたいものです。
ところで、猿渡小は、なぜ「猿渡小」という名がついたのでしょうか。今日は、
その由来について、少しお話をします。
まずは地名から。この猿渡小学校の住所は「上重原町」ですね。じつはその昔、
明治時代のはじめ(明治 6 年)には「碧海郡第 24 番小学重原学校」、その中ごろ(明
治 25 年)には「碧海郡上重原尋常小学校」という名前であった時代があるのです。
それが明治 41 年に「碧海郡猿渡尋常小学校」という名前にかわり、はじめて「猿
渡」の言葉が使われます。
「猿渡」といえば、学校のすぐ南を流れる「猿渡川」が由来であることは、想像に
難くないですね。
しかし、今日お話したいのは、「ではなぜ、猿渡川という名前がついたのか」と
うことです。
『池鯉鮒のむかし話』
その答えは、
(史実かどうかは定かでありませ
んが)
『池鯉鮒のむかし話』という本の中に「猿
渡川」と題して書かれていました。その全文は裏面に掲載しますが、味わい深いの
は、ここに出てくる親猿の賢い知恵です。
どういうお話かは、短い話ですので、ぜひご一読ください。猿が4匹出てきます。
親猿1匹と子猿3匹です。
「仲の悪い兄猿と弟猿2匹を、子猿たちだけにしては、け
んかをしてしまう」と考えた親猿の、なんと賢い川の渡し方でしょうか。
猿渡小の
児童と、そして私たちも、今年は
ひとつ、知恵を大いに出し合う年
にしてまいりましょう。
これにあやかって