森のようちえんに対する親の期待と不安

森のようちえんに対する親の期待と不安
山本
将太
(生涯スポーツ学科 野外スポーツコース)
指導教員 中野 友博
キーワード:森のようちえん,親,期待,不安
1.緒言
幼児期に豊かな自然体験をした子どもは,好
奇心や自己判断,自己主張が向上し,自己制御の
力がある.また,人間関係やコミュニケーション
能力に問題が少ないと述べている. 山本(2005)
本研究では,森のようちえん入園児の親の森
のようちえんに対する期待と子どもが森のよ
うちえんに通園して変わったこと,親の過去の
自然体験が森のようちえんに対する期待にど
う関係しているのか,森のようちえんに対する
不安について明らかにすることを目的とする.
2.研究方法
1)被験者
被験者は, 2014 年度の鳥取県智頭町の森の
ようちえん入園児 30 名の保護者にアンケート
調査を実施し,そのうちアンケート用紙が回収
できた 24 名を対象とした.
2)調査方法
森のようちえんに期待することについて,親
の過去の自然体験について,森のようちえんに
通園して子どもが大きくかわったとこ,森のよ
うちえんに対する不安についての調査用紙を
筆者が独自に作成しアンケートを実施した.
3.結果と考察
1) 森のようちえんに対する期待と子どもの
変化
森のようちえんに,最も期待していることは,
「心理・精神的な強さ」であった. 森のようち
えんに対して子どもの心身の発達,好奇心,自己
判断,自己主張が身に付くことを期待している
と考えた.また,子どもの変化で,最も多かった
回答は「心理的発達について」であった. 回答
内容は「家の手伝いをよくするようになった」,
「自分のことは自分でするようになった」など
であった.自然の中で,子どもの心は健やかに育
ち,自立心や好奇心などが発達したことから,心
理的発達についての回答が最も多かったと考
える.
2) 親の過去の自然体験
親の過去の自然体験に関する 9 項目につい
て 80%以上が,「何度もある」
「少しある」と
回答している.全国平均は,「何度もある」
「少し
ある」と回答した親が 50%以上だったことか
ら,森のようちえん入園児の親の過去の自然体
験は全国平均よりも高く,森のようちえんでの
子どもの自然体験に関して関心が強いのでは
ないかと考えられる.
親の過去の自然体験別に森のようちえんに
対する期待を比較するため,平均上位群,平均下
位群の 2 つに分け表 1 に示した.
表 1:平均上位群、平均下位群ごとに分類をした期待得点
平均上位群(n=10)
項目
自然に対する興味・関心
得点
%
平均下位群(n=14)
得点
%
91
25%
165
31%
114
32%
158
30%
健康・体力づくり
69
24%
108
21%
友人関係
86
19%
92
18%
心理・精神的な強さ
平均上位群では,森のようちえんに対して自
然体験をすることで子どもの自立心やコミュ
ニケーション能力といった心理的発達に関す
る心理・精神的強さに最も期待し,平均下位群
では,幼児期に自然体験が効果的なことや自然
に対する知識などが少なく,子どもに対して自
然に興味を持ってほしいという思いが強くあ
り,自然に対する興味・関心が最も期待が大き
かったと考える.
3) 森のようちえんに対する不安
森のようちえんに対して 75%の親が,不安が
あると回答した.最も多かった不安の内容は,
「怪我について」であった.外で元気よく遊べ
たりすることができるが,自然の中での活動で
あるため,野生の動物や植物,自然災害の予測が
できない危険が起こることが最も不安である
と考える.
4.まとめ
森のようちえんに期待していることは,心
理・精神的な強さであり,子どもの家庭での変
化は「家の手伝いをよくするようになった」,
「自分のことは自分でするようになった」など
の心理的発達についてであった.親の過去の自
然体験は全国平均よりも高く,また自然体験の
違いによって森のようちえんに対する親の期
待が変わってくると言える.また不安について
は,「大きな怪我や事故」,「動植物の被害」な
どの怪我についてが,最も不安であると考える.
引用・参考文献
・独立行政法人国立青少年教育振興機構(2014)
「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告
書平成 24 年度調査,pp221-222
・山本裕之・平野吉直・内田幸一(2005)幼
児期に豊富な自然体験活動をした児童に関す
る研究,国立オリンピック記念青少年総合セン
ター研究紀要,5,pp69-80