石井研究室 - 宇都宮大学 地域共生研究開発センター

ライフ
サイエンス
●ナノテクノロジー・材料
首都圏北部4大学研究室紹介
宇都宮大学大学院工学研究科
情報通信
石井研究室
URL:http:// www.ee.utsunomiya-u.ac.jp/~ishii/
■研究テーマ
■キーワード
図2 GFS装置の例(粒子作製用)
性光触媒酸化チタン薄膜、磁気光学薄膜、透明導電
■産業界の相談に対応できる技術分野
薄膜作製技術、廉価な真空コーティング、酸化物薄膜作製、磁性薄膜作製
微粒子作製、
ナノ粒子応用、材料物性の評価と解析、高品質結晶性薄膜の 石井 清教授
応用、光触媒薄膜の応用、
バイオ用ナノ粒子の利用 など
佐久間洋志助教
■主な設備
特徴と強み
膜などの作製、微粒子関係では、粒径制御技術の確
理想的な薄膜・微粒子構造を実現するガス
立、医療応用磁性粒子の作製、
ナノ磁性粒子集合体
フロースパッタ法(GFS法)
の物性研究、
などです。
エネルギー
ガスフロースパッタ装置など成膜装置、
構造解析装置
(XRD,TEM等)
、
物性評価装置
(VSM等)
̶本学発の技術で、
フランホーファーIST
連 絡 先
宇都宮大学大学院工学研究科 石井 清
TEL:028-689-6090 FAX:028-689-6090
e-mail:[email protected]
(独)や各国で実用化装置が開発されてい
◆◆
◆◆◆
GFS法の原理を図1に示します。
パイプや対向平板
GFS法のメリットを活かして、新たな物性を発現さ
せ、
新規デバイスの実現を目指します。
原子の積み替えによるナノテクノロノジー
そして、
各種薄膜と微粒子に対して、
高機能性や新規
り原子が飛び出す)
、
その中で生成したターゲット原子
例えば、
マグネタイト
(Fe3O4)
は完全なスピン分極が予
̶ガスフロースパッタ法を基礎とした、
な特性を付加することにより、
材料の立場から、
エレクト
をアルゴン
(Ar)
ガスにより基板上へ移送・堆積させま
想されるハーフメタルの一種で、
磁気センサーやメモリ
高品質結晶性薄膜の作製とその応用、
ロニクス分野にイノベーションを起こすことを目指してい
す。
スパッタ法の一種ですが、
チャンバー内の圧力を
等のスピンエレクトロニクスへの応用が期待されていま
ナノ粒子の作製とその応用、
ます。
100 Pa程度に設定するため、
CVD的なソフトなプロセ
すが、GFS法を用いると良質な薄膜が得られます。
ま
スが実現します。
そのため、
基板や膜へのダメージが少
た、
磁性微粒子の集合体は、
磁気特性と電気伝導にお
◆
ない高品質の膜を得ることができます。
また、
反応ガス
いて特異な振る舞いを示します。
デバイスへの応用が
宇 都 宮 大 学で考 案されたガスフロースパッタ法
を基板前面に供給することにより
“金属モード”
の安定
期待できます。等々、新たな物性の発現とその応用を
(GFS法)
を用いると、
金属をはじめとして様々な薄膜を
で高速な反応スパッタが行えるという、
他の方法にはな
目指しています。
どのような基板上にも容易に作製できます。
特に、
他の
い大きな特長があります。
そのため、
酸化度を自由に制
成膜技術では困難な、
結晶性の良い酸化物薄膜や窒
御した酸化物薄膜が作製できます。
○産学連携について
化物薄膜を高速で成膜できます。
この方法では高価な
さらに、
条件によってはスパッタ粒子が基板に到達す
薄膜・微粒子はいろいろなところで応用されており、
高真空ポンプを使用しなくとも良いため、
純度に対する
るまでにナノ粒子に凝縮・成長します。
すなわち、
「原子
石井研究室の持つ薄膜・微粒子作製技術は、
デバイ
要求が厳しくない場合には廉価な装置を用いることも
堆積から粒子堆積まで」
可能であり、
非常にユニークな
スのみならず、
表面処理、
医療・医薬品、
化粧品等など
できます。
さらには、
数ナノメートルからサブミクロンの微
方法と言えます。
特に、
数ナノメートル以下の粒子
(クラ
様々な分野で利用できると思います。
分野は問いませ
スターとも呼ばれる)
は基板上で容易に焼結し、
薄膜と
ん。
共同研究や社会人学生の受入れなどにより、
連携
して成長します。
その技術を
「クラスター堆積」
と呼び、
活動を続けていきたいと考えています。
クラスター堆積の応用̶
様々なナノ構造の形成が期待できます。
野の各種薄膜と微粒子を作製するために、
GFS技術を
現在の具体的研究テーマは、次のようなものです。薄
4u Vol.1
埼玉大学
私たちの研究室では、主として、
エレクトロニクス分
群馬大学
ノテク技術です。
図1 GFS法の原理
(パイプや対向平板の中で放電させ、生成した原子蒸気をArガス
により基板上へ移送・堆積させる)
宇都宮大学
粒子の作製にも利用できるという非常にユニークなナ
茨城大学
の中で放電させ
(電極がターゲットと呼ばれ、
放電によ
フロンティア
利用することを考え、
その技術の改良を進めています。
社会基盤
研究概要
製造︵ものづくり︶
技術
今後の展開
ます̶
105
膜関係では、
ハードディスク用Co-Pt、
Fe-Pt薄膜、
高活
ナノテクノロジー・
材料
電子材料、薄膜、微粒子、
ナノ粒子、成膜技術、
ガスフロースパッタ法、
磁性、
スピンエレクトロニクス
環
境
図3 GFS法により得られた薄膜と微粒子の例
(a)ハードディスク用Co-Ptナノピラー断面TEM写真(径が10nm
程度のCo-Ptナノピラーを磁気的に孤立させながら基板上に敷き
詰めることができている)
(b)粒径が揃ったFeナノ粒子のTEM写真
(TEM:電子顕微鏡)
●ガスフロースパッタ法による薄膜作製と応用
●クラスター堆積技術の確立と新物質の合成
●磁性ナノ粒子の作製とその応用
4u Vol.1
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