EA119 1 いつの間にか、日も短くなり、暖かい日と肌寒い日が入り交じる

EA119
いつの間にか、日も短くなり、暖かい日と肌寒い日が入り交じるようになりま
した。僕は喉風邪を引いてしまって、もう 1 週間以上不調です。皆さんも健康
管理には十分注意して下さいね。いよいよ TPP 問題が山場を迎えようとしてい
ます。賛否はともかく、関心を持って、この問題について考えるようにしてく
ださい。第三の開国などとお気楽なことをいっている人もいますが、第二の敗
戦となりかねないので。では本題です。
<今月の課題文>
The administration had said the government could not pay all its bills without the
new borrowing authority, and it warned that default would severely damage the
global economy and push the U.S. back into recession or worse. Even with the
legislation now in place, there are fears that the last-minute sparring could shake
rating agencies' confidence and harm the country's Triple-A credit rating.
<解説>
復習となる部分もありますが、まず XX administration は「〜政権」で、これは
皆さんできていたようです。pay one's bills は請求書に対して支払う、つまり「借
金を払う」という意味です。もちろんこの場合には「債務を返済する」くらい
で良いですね。borrowing authority はいかにも英語らしい表現で、borrow は借
金をするですが、authority は「借りる権限」ではだれが authorize するのかとい
うと議会という話になるわけですね。default は債務不履行ですがデフォルトで
もわかるんじゃないかな。recession or worse ですから景気後退なんですが、ち
ょっと議会に脅しをかけているような印象も受けます。the legislation in place
は「法案が通過した」くらいでいいかな。sparring は「an argument in which the
participants are trying to gain some advantage」。ですから「瀬戸際での交渉」
でもいいし、
「ぎりぎりまで続いた論争」でもいいですね。rating agency は格付
け機関。実際に、結果としてはトリプル A から格付けを下げたところもありま
した。
1
EA119
<A さん>
オバマ政権は、債務残高の上限を引き上げる新しい法律なしには、政府は国
債を完済できないだろうとの見方を示し、さらに、米国が債務不履行となれば
世界経済に大きな影響を及ぼし、米国経済が不景気に逆戻りあるいはそれより
悪くなるだろうと注意喚起した。関連法律が発効した今なお、今回の与党と野
党の瀬戸際交渉が格付け会社からの評価を下げ、米国債の格付けが「AAA」か
ら引き下げられる懸念がある。
*
最初のあたりはよく調べて訳したんだと思いますが、少し能弁になりすぎか
も知れません。
「債務不履行」は「陥る」の方がいいかな。前半が締まった感じ
なのに対して「不景気に逆戻りあるいはそれより悪くなる」は少しバランスが
悪くなっていると思います。関連法律は関連法でいいんじゃないかな。
「からの」
は「による」の方が締まるかな。よく頑張ったと思いますが。
2
EA119
<B さん>
オバマ政権は、連邦債務の上限引き上げを行わない限り、全ての債務を返済
できなくなると主張していた。さらに、デフォルト(債務不履行)という事態
にでもなれば、世界経済に大きな打撃を与え、米国経済は景気後退に逆戻りす
る、あるいはそれ以上に悪い状況になるだろうと警告していた。債務上限引き
上げ法案は成立したものの、期限間際まで続いた与野党の対立により、格付け
会社の米経済に対する信頼が揺らぎ、AAA から格下げとなる恐れがある。
*
「主張」はちょっと強いかなあ。
「〜によれば」くらいでもいいんですよ。あ
と「全ての債務を返済」の部分は「まったく返済できない」とも読めるので少
し工夫が必要かも。「景気後退」と「逆戻り」はどうも相性が悪いので「米国経
済の景気は再び後退し……」みたいな処理が必要かも。
「期限間際」は全然間違
いじゃないんですが、漢字が重なりすぎて読みにくいので「期限ぎりぎり」の
ように処理した方が良いと思います。
3
EA119
<C さん>
オバマ政権は、政府は新たな借入れ権限なしでは債務を返済し切れないと述
べていた。そして、債務不履行になれば世界経済に重大なダメージを与え、米
国は再び景気後退あるいは一層深刻な状況に陥る恐れがあると警告した。今回
成立した法律をもってしても、この土壇場の協議が格付け機関の信頼を揺るが
し、米国のAAAの信用格付けを引き下げるのではないかと懸念される。
* 最初の行は少し読みにくいと思います。
「返済しきれない」はニュースの表現
としては浮くかな。
「いっそう深刻な」は良いので「状況」よりは「事態」とす
るとベター。
「もってしても」もやはり報道的な表現としてはちょっと弱いかな。
「最終的に法律自体は成立したものの」くらい。誰が引き下げるのかが気にな
ります。
4
EA119
<D さん>
オバマ政権は、新たな借用権が無ければ借金を完済することは出来ず、デフ
ォルトになると世界経済に深刻な影響を与え、アメリカが再び不景気に追いや
られると警告していた。今や法律ができたとは言え、タイムリミット寸前の論
戦で、格付け機関の信用を揺るがし、トリプルAの格付けに影響が出るのでは、
という懸念がある。
* 借用権や借金はちょっとここでは合わないかな。recession は景気後退ですが
or worse まで訳しましょう。法律はどの法律かがこれだと分からないですね。
「論
戦で〜揺るがし」は既に起こったことだというのが分かりにくくなっています。
5
EA119
<試訳>
ブッシュ政権は、新たな権限を与えられない限り、政府が債務を完全に履行す
ることができなくなるとし、債務不履行となった場合、グローバル経済に深刻
な影響を与え、米国を景気後退、あるいはより深刻な事態に追い込むことにな
ると警告していた。結果として法案は通過したものの、ぎりぎりまで攻防が続
いたことで、格付け機関の信頼が揺らぎ、結果としてトリプル A の信用格付け
に悪影響を与えることもありうる。
6