平成27年度 民間航空操縦士訓練学校 第一期生 入学試験問題(2) (英語・国語) 60分 模範解答 2015-04-12 CAP-NEXT 02 英語・国語(模範解答) 模範解答 (問1) 設問 A:本報告書の冒頭、点線で囲まれた部分の上から4行を訳しなさい。 10 点 解答 A:本報告書の調査は、本件航空重大インシデントに関し、運輸安全委員会設置法及び国際民間航 空条約第 13 附属書に従い、運輸安全委員会により、航空事故等の防止に寄与することを目的 として行われたものである。責任を問うために行われたものではない。 備 考:正確に一致する必要はないが「防止(prevent)」の訳語は必須 設問 B:本報告書の冒頭、点線で囲まれた部分の上から 5~7 行目を訳しなさい。 5 点 解答 B:注:本報告書は日本語版調査報告書原本の翻訳である。日本語による文章が報告書の解釈に優 先するものとする。 備 考:正確に一致する必要はないが「優先(prevail)」の訳語は必須 設問 C:本件の発生日時、時刻を協定世界時で示しなさい。 5 点 解答 C:2012 年 10 月 31 日(水)02:18 設問 D:本件の発生場所を答えなさい。 5 点 解答 D:屋久島空港滑走路 32 備 考:種子島空港ではない 設問 E:JA849C に搭乗していた乗客は何名か答えなさい。 5 点 解答 E:34 名 設問 F:何が重大インシデントなのかについて、日本語で簡潔に述べなさい。 5 点 解答 F:屋久島空港滑走路 32 において、先に着陸した日本エアコミューター株式会社所属ボンバルデ ィア式 DHC-8-402 型 JA849C が滑走路から完全に離脱する前に、株式会社ノエビアアビエー ション所属ユーロコプター式 AS350B3 型 JA35BB が離陸したこと。 備 考:内容が正しく理解できていさえすればよい(社名や機体の型式などは省略可) Page(1/3) 2015-04-12 CAP-NEXT 02 英語・国語(模範解答) 設問 G:本件の原因について「JA35BB の機長が滑走路上に航空機はいないと思い込んだこと」が挙げ 5点 られているが、その「思い込んだ理由」を日本語で簡潔に述べなさい。 解答 G:エプロンで待機中に装備機器等の確認に気を取られた(his attention was overly directed to the equipment check during the apron holding)ことにより、管制交信(ATC communication)、通信 聴取(ATC monitoring)及び外部監視(outside watch)がおろそかになったため。 備 考:内容が正しく理解できていさえすればよい 設問 H:本インシデントに対し、どのような安全対策が講じられたかを日本語で述べなさい。 10 点 解答 H:①JA35BB の機長に対して、(1) 管制方式基準に規定された飛行場管制方式、(2) 航空法にお ける操縦士の義務、について教育指導を行い、また②同社所属の全操縦士に対して、本重大イ ンシデント事例について周知し討議を行わせ、JA35BB の機長と同一の教育指導を行った。 備 考:大きく 2 つの安全対策が講じられたことが判る解答であること(単に列挙された(1)と(2)だけ に着目していないこと) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (和訳) 航空重大インシデント調査報告書 本報告書の調査は、本件航空重大インシデントに関し、運輸安全委員会設置法及び国際民間航空条約 第 13 附属書に従い、運輸安全委員会により、航空事故等の防止に寄与することを目的として行われた ものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。 注: 本報告書は日本語版調査報告書原本の翻訳である。日本語による文章が報告書の翻訳に優先するもの とする。 <概要> 平成 24 年 10 月 31 日(水)11 時 18 分ごろ、株式会社ノエビアアビエーション所属ユーロコプター 式 AS350B3 型 JA35BB は、種子島空港へ向けて慣熟飛行を行うために、屋久島空港滑走路 32 に離陸 のため進入し、既に着陸し同滑走路を走行中であった日本エアコミューター株式会社所属ボンバルディ ア式 DHC-8-402 型 JA849C が滑走路から離脱する前に、同滑走路から離陸した。 JA35BB には機長 1 名が、JA849C には機長ほか乗務員 3 名、乗客 34 名の計 38 名が搭乗していたが、 両機とも負傷者及び機体の損傷はなかった。 <原因> 本重大インシデントは、着陸した JA849C が滑走路から離脱していないにもかかわらず、滑走路に進 入した JA35BB が離陸したことにより発生したものである。 JA35BB が離陸したことについては、JA35BB の機長が滑走路上に航空機はいないと思い込んだため、 Page(2/3) 2015-04-12 CAP-NEXT 02 英語・国語(模範解答) 周囲の安全確認を行わないまま滑走路に進入したことで、突然、滑走路上で JA849C と対面することと なり、冷静な判断ができなくなったことによるものと考えられる。 JA35BB の機長が滑走路上に航空機はいないと思い込んだことについては、エプロンで待機中に装備 機器等の確認に気を取られたことで、管制交信、通信聴取及び外部監視がおろそかになったことによる ものと考えられる。 <再発防止策> 株式会社ノエビアアビエーションは、JA35BB の機長に対して、次の教育指導を行った。 (1) 管制方式基準に規定された飛行場管制方式 (2) 航空法における操縦士の義務 また、同社所属の全操縦士に対して、本重大インシデント事例について周知し討議を行わせるととも に、JA35BB の機長と同一の教育指導を行った。 (参考) 問題の英文は、平成 25 年 12 月 20 日付、運輸安全委員会(JTSB)の「航空重大インシデント調査 報告書 AI2013-5」の抜粋であり JTSB のウェブサイト http://www.mlit.go.jp/jtsb/airrep.html から英文、 和文ともダウンロードできる。和訳は JTSB による公式な日本文を採用(一部加筆)した。 (問2) 問2: 【 小論文① 】前問の重大インシデントの原因について「思い込み(assumption)」が挙げられて いる。このような「思い込み」が招いた事故事例は非常に多い。この「思い込み」が生じる原因、 そして「思い込み」を排除する方法、 「思い込み」が避けられないと仮定した場合に取り得る対処 方法等を軸に「思い込み」について論ぜよ。 解 30 点 答:①思い込みが生じる原因/②思い込みを排除する方法/③思い込みが避けられないと仮定した 場合に取り得る対処方法、の 3 つの論点を含んでいること 備 考:論点が明確であって、論理的思考に基づき論じられていれば良とする (問3) 問3:【 小論文② 】あなたは、ある航空会社のエアライン・パイロットであるとしましょう。あなた は、所属している航空会社から何を求められていると思いますか? また、あなたは一人の航空人 として、社会から何を求められていると思いますか? 解 20 点 答:組織と社会の 2 つの視点から「利益」と「安全」について論じられていれば、どのような内容 であってもよい 備 考:論点が明確であって、論理的思考に基づき論じられていれば良とする Page(3/3)
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