平成27年度 民間航空操縦士訓練学校 第一期生 入学試験問題(3) (総合・時事) 45分 模範解答 2015-04-12 CAP-NEXT 03 総合・時事(模範解答) 模範解答 (問1) 問1:下図はサイコロの展開図である。サイコロの目を書き加えなさい。 10 点 解答:背中合わせの数字の合計が 7 になっていれば正解 (問2) 問2:三角形 ABC について交点 G は重心である。三角形 ABC の面積は三角形 GBC の面積の何倍かを 理由を挙げて説明しなさい。 10 点 A E G D C B 解答:G は重心であるため頂点 B, C から G を通り、対辺に引いた線分 BD 及び CE はそれぞれの 線分について BG:GD =2:1 及び CG:GE =2:1 である。今、頂点 A から G を通り、対辺に引いた 線分を AF とすると、この線分も AG:GF=2:1 となる。三角形 ABC も三角形 GBC も底辺を BC とする三角形であり、面積比は高さの比と同じであるから、高さの比は(2+1):1=3:1 であり、よ って三角形 ABC の面積は三角形 GBC の 3 倍である。 Page(1/5) 2015-04-12 CAP-NEXT 03 総合・時事(模範解答) (問3) 問3:2 個の砂時計があり、砂時計①は 9 分計、②は 7 分計である。時間の測定は 2 個の砂時計を同時 にひっくり返して開始する。一方の砂時計は、砂が落ち切った状態なら使用を中断してよい。ま た、砂が落ち切る前にひっくり返してもよい。ただし、少なくとも 1 個の砂時計では砂が流れて いなければならず、測定終了時には両方の砂時計の砂が落ち切っていなければならない。この条 件を踏まえ、この 2 個の砂時計を用いて 20 分間を測定する手順を説明しなさい。 10 点 砂時計① 砂時計② 9 分計 7 分計 解答:砂時計①と②を同時にひっくり返し計測を開始する。②は 7 分後( t1 y で、即座にひっくり返す。計測開始から 9 分後( t1x 分後( t 2 y = 7 )に砂が落ち切るの = 9 )、つまり、②を再度ひっくり返してから 2 = 2 )に①の砂は落ち切るが、ここで再び②をひっくり返し①の使用は中断する。②の砂 が落ち切るまでは 2 分( t 3 y = 2 )である。結局、②の砂が落ち切るのは、計測開始から 11 分後 ( t1 y + t 2 y + t 3 y = 11 )であり、その後、①を用いて測定を継続する。①の砂は落ち切るまで 9 分( t 2 x = 9 )であるから、①の砂が落ち切った瞬間が 20 分である( t1 y + t 2 y + t3 y + t 2 x = 20 )。 初回を含み、砂時計①は 2 回、砂時計②は 3 回、ひっくり返す必要がある。 (問4) 問4:日本の航空界には「2030 年問題」と呼ばれる課題がある。この課題について以下の設問に答え なさい。 設問 A:2030 年問題とは何か、簡潔に説明しなさい。 5点 解答 A:30 年頃に機長クラスのパイロットが大量に退職する問題。国内航空会社はパイロットの年齢構 成が 40 代以上に偏っており、経験豊富なベテラン機長は 50 代が中心である。十数年後にはベ テラン機長が一斉に定年退職することになる。 備 考:あくまでも「機長」が足りなくなる問題である点をきちんと理解しているかがポイント Page(2/5) 2015-04-12 CAP-NEXT 03 総合・時事(模範解答) 設問 B:この課題に対し国(国土交通省)や航空会社はどのような対策を取ろうとしているか、報道さ 5点 れている範囲で知っていることを答えなさい。 解答 B:①乗員の 1 日当たりの乗務時間を長くし、乗務可能な便数を増やす制度の導入 ②加齢乗員(現在 60 歳~65 歳)2 名による運航 ③加齢乗員の年齢の引き上げ ④自衛隊からのパイロットの割愛 ⑤大学のパイロット養成コースへの奨学金制度 ⑥航空会社の自社養成の拡充 備 考:概ね報道されている内容であれば可 設問 C:この課題に対して、どのような施策が有効であるかについて、あなたの考えを述べなさい。 5点 解答 C:アイデア溢れる施策が述べられていれば可とする。 備 考:余りにも実現可能性の低いアイデア、明らかに有効ではない施策等を述べたものについては減 点とする (問5) 問5:エボラ出血熱の感染は落ち着きつつあると報道されている。このエボラ出血熱などの感染症につ いて、以下の設問に答えなさい。 設問 A:エボラ出血熱と日本でも話題になったデング熱の違いは何か、簡潔に説明しなさい。 5点 解答 A:エボラ出血熱はエボラウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症である。患者の血液、分 泌物、排泄物や唾液などの飛沫(接触)感染で流行し、空気感染はしないとされている。致死 率が非常に高く、感染者の 50~90%が死に至る。一方、デング熱もデングウイルスを病原体と する感染症だが、蚊によって媒介される。デング熱も空気感染はしない。まれに重篤化するこ ともあるが、感染に気づかないほど軽症で終わる場合も多いとされる。 備 考:違いについて、ひとつ以上例示されていれば正解とする 設問 B:つい最近、エボラ出血熱に関する興味深い報道があった。ある試薬が日本で開発され、感染地 5点 に早期に導入できれば有効だという。この試薬は何ができる試薬なのか述べよ。 解答 B:長崎大学と東芝の共同開発による、エボラ出血熱の感染の有無を迅速(判定の所用時間が従来 の 6 分の 1 程度まで短縮)に判定できる試薬である。ギニアで試薬テストを行い確認した。判 定時間短縮とともに、最高精度と評価される RT-PCR 法と同じ精度も得られたという。 備 考:つい最近、4 月 8 日に時事通信が配信している Page(3/5) 2015-04-12 CAP-NEXT 03 総合・時事(模範解答) 設問 C:世界的に流行する感染症対策として、航空業界はどのような対策が求められているか述べよ。 5点 解答 C:今回のエボラ出血熱に限らず、SARS ウイルスの流行や新型ウィルスエンザなど、国境を超え た感染症の流行は、国際的な人の移動の増大に伴い拡大するとの指摘は以前からなされている。 空港での検疫強化や、感染の可能性がある渡航者への対応方法など、日頃から危機管理能力を 高め、対策を練っておくことが必要である。 備 考:各種メディアにて報道されている内容を述べていれば正解とする (問6) 問6:最近の航空事故(事件)として特異なジャーマンウィングス(Germanwings)社の A320 機墜落 事故について、以下の設問に答えなさい。 設問 A:この事件について、報道されている範囲で知っている事を列挙しなさい。 5点 解答 A:ネットで調べる 備 考:報道の真偽については評価しない 設問 B:墜落原因については、正式な調査に基づく事故調査機関の発表を待つことが航空人としてのあ 5点 るべき姿ではあるが、報道されている範囲で取り沙汰されている墜落原因を述べなさい。 解答 B:副操縦士による故意 備 考:報道の真偽については評価しない 設問 C:設問 B で回答した墜落原因の背景に何があったかについて、報道されている範囲で知っている 5点 事を述べなさい。 解答 C:強度の鬱 備 考:報道の真偽については評価しない 設問 D:仮に設問 B で回答した墜落原因が真実だとした場合の航空界に与える影響について考察しなさ 5点 い。 解答 D:乗員の健康管理の見直し、操縦室における人の配置の問題など 備 考:報道の真偽については評価しない Page(4/5) 2015-04-12 CAP-NEXT 03 総合・時事(模範解答) (問7) 問7:安全と安心に関する考察について、以下の設問に答えなさい。 設問 A:安全と安心の違いについて、簡潔に答えなさい 5点 解答 A:安全とは状況(危険でないこと)、安心とは感情(感覚) 備 考:それなりの解答が書けていること 設問 B:一般的に安全・安心と収益性は相反すると考えられている。安全の確保は運航の前提であるが、 5点 企業としての航空会社は一定の利益が出なければ事業の継続ができない。このバランスについ て、あなたの考えを述べなさい。 解答 B:考察できていれば良い 備 考:ただし、次の設問への解答と組み合わせて評価すること 設問 C:前問において「一般的に安全・安心と収益性は相反すると考えられている」と述べたが、この 10 点 考え方に反論しなさい。 解答 C:安全・安心と収益性が相反しないことを示す論理が成り立っていれば良い 備 考:ただし、前問の解答と組み合わせて評価すること Page(5/5)
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