当院における病理外来の現状

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当院における病理外来の現状
◎松澤 こず恵 1)、土屋 眞一 1)、沢田 晋 1)、田中 穂積 2)
社会医療法人 飯田病院 病理診断科 1)、社会医療法人 飯田病院 外科 2)
1.はじめに
従来,病理学的検査は臨床検査の 1 部門とされてきたが,
2.当院の現状
病理診断は確定診断であり,患者さんの予後や治療方針の
当院では平成 25 年 7 月の常勤病理医の着任により,病理部
一助を担う非常に重要な役割を担っていることから,平成
門は検査科から独立し”病理診断科”となり同年 9 月より県
20 年に厚生労働省の通達により,内科・外科などと同じ標
下で初めて「病理外来」を開設した.消化器(胃,大腸,
榜科として”病理診断科”が認可された.これと並行するよ
肝臓)癌症例・肺癌症例,乳癌症例を中心に外来を行って
うに,近年,病気と闘う患者さんから聞かれるようになっ
いる.患者さんの多くが外来に臨む際に「本当に癌がとり
てきたのが,「病理診断の結果,この治療法を選択したの
切れているのだろうか?」「転移,再発の危険性はないの
だから診断の責任者の意見を聞きたい」「癌と診断された
だろうか」「術後の治療は現状の状態で良いのだろうか」
けれど納得がいかない,病理の専門家としてもう一度チェ
などの不安を抱えていることが多かったが,外来で,実際
ックしてもらえないか」という,病理診断をした医師の話
に病理医から説明を受けることにより,「自分の病気の事
を聞きたいという患者さんからの要望である.こうした声
がよく分かり良かった」「不安だったことが解決し安心し
にこたえて,病理診断のプロの立場から直接患者さんに説
た」という感想を述べている.
明しようと始めたのが「病理外来」である.従来,病理医
当院の病理外来の現状を症例を提示し報告するとともに,
は患者さんの前に姿を現すことは殆どなかったが,”病理診
検査技師の関わり,今後の課題についてを発表したい.
断科”が標榜診療科になったことで患者さんが病理医と直接
面談できるようになり,大学病院やがん専門病院を中心に,
連絡先:飯田市大通り 1-15 Tel0265-22-5150
「病理外来」が開設されるようになった.
飯田病院病理診断科 松澤 こず恵