東大京大の数学の分析 東京大学 難易度:(前年比較ではなく例年比較)標準 分量:(前年比較ではなく例年比較)標準 出題形式:論述式 第1問 出題分野 内容 難易度 図形と方程式 線分の長さに関する問題です。2 点間の距離の公 やや易 微分法 式を使うよりも図形的にとらえて計算を工夫した ほうがよいでしょう。その後は微分して増減表を かくだけの問題です。 第2問 確率 確率漸化式の問題です。実際に球を移動させてみ 標準 数列(漸化式) ることにより状況を把握することが大切です。部 屋 P,Q にいるのが偶数回目であることが分かれ ば,あとは漸化式を作るだけです。漸化式も難し いものではありません。 第3問 積分法 回転体の体積に関する問題です。楕円と放物線で やや易 囲まれた部分を x 軸,y軸に関して回転するだけ です。y軸回転も特に複雑になるものではありま せん。 第4問 整数 整数に関する問題です。 (1)は 2 つの連続する整 やや難 数が互いに素であることに気づけば何とかなると 思いますが, (2)は難易度が高い問題です。 第5問 行列 (1)は単なる計算問題, (2)は行列の n 乗に関す 標準 るもので,やや解法が浮かびにくいように思いま す。(3)は絶対値の性質を利用すればよいだけの 問題ですが,解法の暗記ばかりにたよっていると 足をすくわれるような問題です。 第6問 行列 内容は単なる計算問題ですが,計算が大変です。 やや難 さらに(2)では複雑な式が出てくるため,試験場 では難しく感じたのではないでしょうか。 差 が つ き や す い 問 毎年,各分野からまんべんなく出題されます。本年は行列から 2 題が 題、合格ライン、ポ 出題され,ⅢC からの出題が 4 題となりました。東大の頻出単元は, イント 「確率」「整数」「図形と式」「ベクトル」「数列」 「数学Ⅲ」「行列」 であることから,行列から 2 題も出題されたことを除けば,いつも通 りの頻出単元からの出題といえます。 レベル的にも,例年通りの問題レベルといえますが,昨年は「数列と 整数の融合問題」 「立体図形の求積」の 2 題が難しく, 「場合の数」も 問題文の理解が難しかったため,全体に得点しにくい出題だったのに 対し,本年は,第4問の「整数」に関する出題を除けば,他の問題は 比較的手がつけやすい問題が多かったと思われます。昨年のように, 例年は、かなり難度の高い問題が 2~3 題含まれますが今年は第4問 以外は手がつけやすく,6 割以上の得点もしやすかったのではないか と思います。第4問の(2)や第6問が難易度が高く差がつきます。 第1問~第3問を確実に得点し,第4問~第6問で部分点を 1 題~1.5 題分確保できれば十分合格圏といったところだと思います。 学 習 対 問題の特徴のキーワード:思考力。図形的な考察力。読解力。具体的に調べる。計 策 算力。 学習対策のキーワード:思考力、図形的な考察力、読解力、計算力を身につける練 習。具体的に調べることから解法を発見する練習。 東大の受験問題は,標準的な典型問題といえるものは少なく,単なる解法の暗記学 習では通用しない,思考力を要する問題が出題されます。 ・図形的な考察力 ・問題の意味を把握する力(読解力) ・具体的に調べることから解法を発見する力 ・計算力(処理能力) をしっかりと身につけるように普段からこころがける必要があります。 京都大学 難易度:(前年比較ではなく例年比較)標準 分量:(前年比較ではなく例年比較)やや少な い 出題形式:論述問題 第1問 第2問 出題分野 内容 難易度 (1)極限 (1)極限の典型問題です。 やや易 (2)積分法 (2)定積分の計算。部分積分と置換積分。 三角比 立体図形に関する論証問題です。一見難しく思え 標準 ますが,線分の長さを文字で与えて立式すれば, 単なる式変形で解決します。 第3問 対称式に関する問題です。和を置き換えすれば 3 標準 微分法 次関数の最大最小の問題に帰着されます。対称式 の解法を知っていれば易しい問題です。 第4問 (1)は背理法を利用する典型問題で,基本問題と やや難 除法 いえます。(2)は難しく,割り算によって次数下 げをすればよいのですが,方針がつかみにくい問 題といえます。 第5問 平面図形に関する論証。(1)は,円の中心に着目 やや難 平面幾何 すれば易しい問題です。(2)は,等角(定角)→ 円周角といった発想ができれば何とかなります が,なかなか気づきにくい問題です。 第6問 確率 確率漸化式の問題です。与えられた式の解読が難 やや難 数列(漸化式) しく,難度の高い問題です。実際にY 2 ,Y 3 など を計算してみて,問題の意味を把握する必要があ ります。 差 が つ き や す い 問 ここ数年,毎年のように出題されるのは, 題、合格ライン、ポ イント 「確率」「平面図形」「立体図形」「積分法」 であり,昨年に引き続き,本年も同様でした。平面図形や立体図形は 単元の選択がポイントになることも多いので注意しましょう。また, その他「数列」「整数」 「微分法(数Ⅲ)」なども頻出です。 昨年同様「甲」「乙」の区別がなくなり出題が 1 本化されました。例 年(特に乙問題)は,2 題ほどが難度の高い問題で,他の問題は標準 的な典型問題が多かったため,その見極めさえすれば,比較的得点し やすい出題でしたが,本年は全体に手のつけにくい問題が多かったよ うに思われます。 第4問(2) 、第5問(2)、第6問が難易度が高く差がつきます。第 1問,第 2 問,第 3 問,第 4 問(1),第 5 問(1)を解いて,第 4 問 (2),第 5 問(2),第 6 問から 0.5 題~1 題分の部分点を稼げば,十 分合格圏だと思います。 学 習 対 問題の特徴のキーワード:思考力。難しい問題と標準的な問題の難易度の差がはっ 策 きりしている場合が多い。計算量は多くない反面、証明問題など論理性を問う問題。 学習対策のキーワード:思考力をつけるため、東大京大レベルで、かつ学習効果の 高い良問に、じっくり取り組む。難しい問題と標準的な問題の難易度を見極める練 習。証明問題など論理性を問う問題の練習。 難度の高いものと,標準的なものを見極めて,標準的なものを確実に確保し,難し い問題で部分点を稼いで 6 割以上を目指すとよいと思います。 また,上記の出題頻度の高い単元には重点をおいて学習しましょう。 東大に比べれば,計算量は少ないので,解法が分かればそれほど答案作りは大変に はなりませんが,証明問題など論理性を重視する問題が多いので注意しましょう。
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