日本株「ストック・ピック」 NO.42

マンスリー・レポート
日本株「ストック・ピック」
NO.42
2015 年 11 月号
目 次
今月のポイント
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.1
「バリュエーションに着目した選別物色」
ストック・ピック銘柄
新規紹介
◆東洋建設(1890)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.2
新規紹介
◆セントラル硝子(4044)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P.6
新規紹介(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆日 立 製 作 所 (6501)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.9
新規紹介
◆ソニー(6758)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.13
新規紹介(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆トヨタ自動車(7203)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.17
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投資調査部
2015 年 11 月のマンスリー・レポート日本株
今月の
ポイント
「バリュエーションに着目した選別物色」
○先月30日の日銀金融政策決定会合、今月4日の日本郵政グループ3社の同時上場などの注目イ
ベントを終えた。中国の景気減速に対する警戒も和らぎつつあり、11月は年末株高に向けて順調な
出足と言えよう。第3次改造内閣をスタートさせた安倍首相は来夏の参院選を睨み「経済再生」を最
優先で取り組む姿勢を示している。今後、2015年度補正予算案などの経済対策、「一億総活躍社
会」実現に向けた施策などへの期待が高まろう。日銀による追加緩和の期待も相場の下支えに。
○15年4-9月期決算は下半期について慎重な見方が目立つ。このような状況下、バリュエーション
に注目した選別物色で臨みたい。本レポートでは、バリュエーション面で割安感のある日立(6501)と
トヨタ(7203)、事業構造改革による業績変化に注目のセ硝子(4044)とソニー(6758)、旺盛な建設需要
を抱える建設セクターから港湾建設大手・東洋建(1890)の5銘柄をピックアップした。
新規
東洋建設(1890)
■
海上土木工事の大型プロジェクトが業績をけん引
■
国内建築事業の採算改善で16/3 期は大幅増益を予想
■
株価は過去レンジ上限のPER15 倍程度に水準切り上げへ
新規
セントラル硝子(4044)
■
「ガラス事業」と「化成品事業」を両輪に発展
■
16/3期は一転営業増益へ、17/3期は2ケタ増益を予想
■
バリュエーションに割安感、株価は上昇トレンドをたどろう
新規
日立製作所(6501)
■
事業構造改革と「スマトラ」コスト削減施策を進める
■
16/3 期は中国景気減速で業績下ブレだが税前増益と予想
■
株価はPBR1 倍割れを底に反転、上昇の動きに
新規
JPX日経インデックス400採用
ソニー(6758)
■
スマホ向けイメージセンサーが業績のけん引役
■
16/3期、17/3期と大幅増益が続くと予想
■
株価は再度、年初来高値を目指す展開を予想
新規
(廣瀬 治)
トヨタ自動車(7203)
■
環境性能など先進技術で世界をリード
■
「TNGA」初採用、新型プリウス発売へ
■
バリュエーション面で割安感、年間配当利回りは3%台を予想
JPX日経インデックス400採用
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.695
東洋建設
連結
売上高
営業利益
売買単位
100 株
(1890)
経常利益
2015 年 11 月 5 日
東海東京調査センター
投資調査部 川又 信之
当期利益
一株当たり
利益 配当
株価
(11/2時点)
551.0円
PER(16/3期予想)
〃(17/3期予想)
15/3
1,484 (
3% )
59 ( 47% )
46 ( 37% )
33 ( 68% )
41.2
9.0
16/3予
1,640 ( 11% )
91 ( 54% )
84 ( 82% )
48 ( 44% )
50.9
9.0 PBR(15/3期実績)
17/3予
1,709 (
102 ( 12% )
95 ( 13% )
52 (
55.1
10.0 ROE(15/3期実績)
4% )
8% )
10.8 倍
10.0 倍
1.51 倍
※一株当たり純資産 365.4 円
注)予想は東海東京調査センター(栗原 英明)
11.8 %
(単位:億円、%、円)
■ 海上土木工事の大型プロジェクトが業績をけん引
■ 国内建築事業の採算改善で 16/3 期は大幅増益を予想
■ 株価は過去レンジ上限の PER15 倍程度に水準切り上げへ
■ 海上土木工事の大型プロジェクトが業績をけん引
港湾建設会社(マリコン)*大手の一角。十勝港、常陸那珂港などの港湾工
事や、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港など海上にある空港
の埋め立てや基礎工事など、海上土木工事で多数の実績を有する。
*港湾建設会社:港などの岸壁の工事、海上に造られる空港などの埋め立てや浚渫など、文字通
り海の上で行われる工事を主に手がける建設会社。マリコン、マリン・コンストラクター(和製英
語)とも呼ばれる。東洋建設のほかには、五洋建設、東亜建設工業が大手。
国内の海上土木工事では、大型案件が多数見込まれている(図表 1)。東
日本大震災以降、石炭火力発電所の発電量が増加していることに伴う、灰
の処分場整備や、オリンピック関連の水上競技場や臨港道路など。これら
図表 1 国内の主な海上土木工事の大型案件(業界全体)
名称
石炭灰の海面処分場の整備
推定事業費
概要
約2,600億円
東日本大震災以降、石炭火力発電所による発電量の増加に伴い、
全国各地で海面埋立による石炭灰処分場の計画が推進
国際コンテナ戦略港湾
約2,500億円
(2010年から)
国際バルク戦略港湾
182億円
資源、エネルギー、穀物などの国際バルク貨物の安定供給を支え
(建設中の釧路 るべく、指定を受けた全国9港でのバルク戦略港湾の整備が進んで
港の事業費) いる。
オリンピック関連施設・インフラ整備
約1,790億円
コンテナ船舶の大型化への対応に伴う港湾施設整備
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、臨海部で海上
施設や関連インフラ整備が計画されている。
(出所)会社資料等、ヒアリングにより東海東京調査センター作成 推定事業費は会社資料数値(東洋建設推定)を使用
オリンピック関連事業費は海の森水上競技場、東京港臨港道路南北線・新客船埠頭の 3 事業の合計値
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
が、同社業績を押し上げることが期待される。
同社連結の事業別売上高は、国内土木事業が 55%、国内建築事業が
30%、海外建設が 14%(15/3 期、図表 2)。連結売上高の約 9 割を占める東
洋建設単体の売上高の 5 割が海上土木になっている。
図表 2 事業別 連結・単体売上高
不動産 1%
国内土木
海外建設
14%
1%
海上土木
建築
15/3期
連結売上高
1484億円
30%
不動産事業
33%
55%
15/3期
単体売上高
1345億円
50%
16%
国内建築
<連結>
陸上土木
<単体>
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
■ 国内建築事業の採算改善で 16/3 期は大幅増益を予想
図表 3 は東洋建設単体の事業別の売上総利益率。国内土木事業は
10%を超える同利益率を持続している。
加えて、国内建築事業の同利益率が急激に改善。全体の利益率向上を
けん引している。当調査センターは、16/3 期・17/3 期と、さらに同利益率の
向上を予想する。
東海東京調査センターでは、16/3 期通期の連結売上高を前期比 11%
図表 3 (単体)事業別売上総利益率の推移
14
%
12.4
12
10.1
10
国内土木
東洋建設(全)
8.0
8
6
7.0
海外
国内建築
4
2
0
(2)
13/3
14/3
15/3
16/3予
17/3予
出所:会社資料より東海東京調査センター 予想は東海東京調査センター
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
増の 1640 億円、経常利益を同 82%増の 84 億円と予想。会社計画の経
常利益 54 億円(前期比 17%増)に対し上ブレとみる(図表 4)。
17/3 期も、売上総利益率の向上を見込み、経常利益は前期比 13%増の
95 億円と予想する。
図表 4 売上高と経常利益
億円
1800
140
売上高(左軸)
1600
120
億円
予想
1400
1200
95
84
100
80
1000
800
経常利益(右軸)
600
33
33
400
40
21
12
200
60
46
20
0
0
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
17/3
出所:会社資料より東海東京調査センター 予想は東海東京調査センター
■ 株価は過去レンジ上限の PER15 倍程度に水準切り上げへ
株価は、7月以降、13週移動平均線を下支えに上昇を続け、足元では、
15年2月の年初来高値610円に接近した(図表5)。
同社の業績が再び増勢に転じた13/3期以降の株価は、PER10倍から15
図表 5 株価(週足)と予想 PER
600
円 東洋建設(週足)
610(15/2/9)
(15/10/30)
572
13週
移動平均線
500
400
426(15/7/9)
300
200
公募1000万株、第三者割当430万株の
増資発表により株価下落(15年2月24日)
220(13/6/27)
100
予想PER
倍
20
15
10
5
13/4/1
13/9/30
14/3/31
14/9/29
15/3/30
15/9/28
出所:QUICK より東海東京調査センター作成 予想 PER は 15 年 3 月までは各期末実績一株当たり
利益(EPS)を遡及適用 15 年 4 月以降は東海東京調査センター予想 EPS を使用
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
倍の範囲を中心に推移していた。足元の16/3期予想PERは11倍程度とな
っているが、業績の好調を考えると、今後はこのレンジの上限、PER15倍を
株価は目指すと考える。東海東京調査センターのアナリストは、株価は
17/3期予想PER15倍の825円程度を目指すと試算(10月27日レポート)。
中期的に、株価は上昇トレンドを持続しよう(図表6)。
図表 6 株価(月足)と EPS(一株当たり利益)の推移
700
600
500
円
東洋建設(月足)
(15/2)
610
(12/2)
470
400
300
200
204(12/10)
100
41.2
EPS
55.1
50.9
円
60
40
予想
20
0
12/3
13/3
14/3
(出所)QUICK より東海東京調査センター作成
15/3
予想は東海東京調査センター
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5/22
16/3
17/3
ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.696
セントラル硝子
連結
売上高
営業利益
一株当たり
利益 配当
純利益
15/3
1,990 (
4% )
115 ( 14% )
143 (
22% )
16/3予
2,365 ( 19% )
135 ( 17% )
145 (
1% )
17/3予
2,449 (
159 ( 18% )
169 (
17% )
4% )
売買単位
1000 株
(4044)
経常利益
2015 年 11 月 5 日
東海東京調査センター
投資調査部 廣瀬 治
株価
(11/2時点)
574.0円
49.7
105 (
2% )
51.2
10.0 PBR(15/3期実績)
122 ( 16% )
59.5
11.0 ROE(15/3期実績)
9.0
11.2 倍
9.6 倍
PER(16/3期予想)
〃(17/3期予想)
103 ( 108% )
※一株当たり純資産
注)予想は東海東京調査センター(中原 周一)
0.78 倍
737.8
円
7.2 %
(単位:億円、%、円)
■ 「ガラス事業」と「化成品事業」を両輪に発展
■ 16/3 期は一転営業増益へ、17/3 期は 2 ケタ増益を予想
■ バリュエーションに割安感、株価は上昇トレンドをたどろう
詳細は企業調査部・企業レポート(2015 年 9 月 28 日、11 月 2 日)を参照して下さい
■ 「ガラス事業」と「化成品事業」を両輪に発展
同社は、ガラス製品の原料となるソーダ灰をはじめとする基礎工業製
品をベースに、「ガラス領域」と「化学領域」に事業の枝葉を広げている。
「ガラス事業」は、建設・住宅用ガラスからスタートして、自動車用ガラ
スへと拡大展開。自動車用ガラスでは、世界企業である仏・サンゴバン
社と業務提携してグローバル展開を推進。近年では、情報・電子産業
用分野の展開拡充。ガラスと化学の融合による付加価値製品(コーティン
グガラス、電子産業用ガラス、等)の開発に定評がある。
「化成品事業」は肥料製品の生産過程で培ったフッ素に着目して、そ
の有効利用を図ったことが事業拡大のはじまり。医農薬分野では医薬
品原薬や各種含フッ素中間体、電子材料分野では半導体製造装置用
クリーニングガス、リチウムイオン電池(LiB)用電解液などを製造している。
図表1 ガラス事業と化成品事業の売上高推移
億円
3000
化成品事業
2500
ガラス事業
(予 想)
2000
1500
1000
500
0
11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期
出所:会社資料より東海東京調査センター作成、予想は東海東京調査センター
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ 16/3 期は一転営業増益へ、17/3 期は 2 ケタ増益を予想
同社は、15/3 期を初年度とする中期経営計画を推進中。「環境・エネ
ルギー、ライフサイエンス、快適な生活」をキーワードとした成長事業へ
の積極的な投資による収益拡大、などに取り組んでいる。
< 成長事業 >
■環境・エネルギー:エコガラス、LiB 電池用電解液、環境配慮型肥料、等
■ライフサイエンス:農薬原体・農薬中間体、等
■快適な生活:電子材料向けフッ素関連製品、電子材料向けガラス、等
これら 3 分野の売上高を 14/3 期の 600 億円から 19/3 期に 1,600 億円に
引き上げる計画である。
ほか、基幹事業における構造改革の推進(板ガラス設備の統廃合、ソーダ灰
関連製品の生産撤退、等)、積極的な海外展開とグループ経営の基盤強化
などで、19/3 期に『売上高 3,000 億円(15/3 期 1,990 億円)、営業利益 200
億円(同 115 億円)』等の目標達成を目指している。
当調査センターは、16/3 期について、売上高を前期比 19%増の
2,365 億円、営業利益を同 17%増の 135 億円と、会社計画(同 18%増収、
同 5%営業減益)から一転増益を予想する。
売上高では米ガラス大手ガーディアンの自動車用ガラス子会社 2 社の
買収効果など、利益面では経営全般にわたる業務の効率化・合理化施
策の効果などが寄与する見込み。ガラス事業は黒字転換を予想する(図
表 2)。なお、10 月 30 日発表の 15 年 4―9 月期は営業利益が前年同期
比 53%増の 67 億円と、会社計画 54 億円を上回った。半導体ガスや電
解液などファインケミカルを中心とした化成品事業の好調が寄与した。
続く 17/3 期は前期比 4%増収、同 18%営業増益を見込む。
図表 2 事業別営業利益(消去・全社を除く)の推移
億円
200
150
化成品事業
(予 想)
ガラス事業
100
50
0
ガラス事業が
黒字転換へ
‐50
11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期
出所:会社資料をもとに東海東京調査センター作成。予想は東海東京調査センター
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ バリュエーションに割安感、株価は上昇トレンドをたどろう
株価は、10月30日の15年4-9月期決算発表で16/3通期業績見通し
を変更しなかったことが嫌気され下落した(図表3)。だが、当調査センタ
ーでは、同社の着実な利益成長を予想、バリュエーションにも割安感が
あり、株価が再び上昇トレンドをたどるとみる(図表4)。16/3期予想PERは
11.2倍と東証一部予想PER16倍を下回り、15/3期実績PBR(株価純資産
倍率)は0.78倍である。当調査センターでは、株価は予想PER約15倍(当
調査センター・アナリストのレポート作成時点における東証1部平均PERの水準)に相当
する770円を目指す展開を予想する。
図表 3 株価チャート(週足)と出来高の推移
円
セ硝子
(週足)
600
500
(14/9/11)
412
(13/5/22)
373
400
300
327
(14/10/17)
278
(13/6/7)
200
13/1/4
(15/10/26)
615
(15/3/25)
577
445
(15/9/8)
52週移動平均線
千株
10000
8000
6000
4000
2000
0
出来高
13/7/1
13/12/30
14/6/30
14/12/29
15/6/29
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
図表 4 株価チャート(月足)と営業利益の推移
700
(15/10)
615
円
600
500
セ硝子
(月足)
(10/4)
498 (11/1)
441
445
(15/9)
400
億円
300
159
135
200
100
61
207
(12/10)
75
101
150
115
100
58
営業利益
0
50
‐100
0
11/3期
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期
16/3期予 17/3期予
出所:QUICK より東海東京調査センター作成、予想は東海東京調査センター
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.697
日立製作所
連結
売上収益
営業利益
(6501)
税前利益
当期利益
売買単位
1000 株
一株当たり
利益 配当
2015 年 11 月 5 日
東海東京調査センター
投資調査部 川又 信之
株価
(11/2時点)
688.7円
PER(16/3期予想)
〃(17/3期予想)
15/3
97,749 (
1% )
-(
-)
5,189 ( -24% ) 2,174 ( -48% )
45.0
12.0
16/3予
99,000 (
1% )
-(
-)
5,700 (
10% ) 3,005 ( 38% )
62.3
12.0 PBR(15/3期実績)
17/3予 100,203 (
1% )
-(
-)
6,283 (
10% ) 3,323 ( 11% )
68.8
12.0 ROE(15/3期実績)
11.1 倍
10.0 倍
1.13 倍
※一株当たり純資産 609.4 円
注)予想は東海東京調査センター(石野 雅彦) 16/3期より国際会計基準(IFRS)移行のため、15/3期は会社公表の参考値
当期利益は「親会社の所有者に帰属する当期利益」を記載
7.8 %
(単位:億円、%、円)
■ 事業構造改革と「スマトラ」コスト削減施策を進める
■ 16/3 期は中国景気減速で業績下ブレだが税前増益と予想
■ 株価はPBR1 倍割れを底に反転、上昇の動きに
■ 事業構造改革と「スマトラ」コスト削減施策を進める
総合電機首位。海外事業の拡大、サービス事業の拡大を掲げ、事業構造
改革を推進している。電力、鉄道などエネルギー関連システムや都市開発
などの社会インフラ関連、車載(オートモーティブ)システム、さらにはビッグデ
ータやIoT(モノのインターネット)技術を核とした情報・通信システムの構築な
どに特化を進める。
また、コスト構造改革の「スマトラ(日立スマート・トランスフォーメーション・プロジェ
クト)」によるコスト削減施策も進める。これは、①コスト構造改革、②運転資
金の手持ち日数の改善、③事業基盤の整備、を中心に、12/3 期~16/3 期
図表 1 コスト構造改革で売上高諸経費比率が低減へ
100%
売上高諸経費比率
99%
(売上原価+販売費および一般管理費)÷売上収益
98%
97%
低減(収支改善)
96%
95%
94%
93%
92%
91%
90%
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3予 17/3予
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
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9/22
ストラテジーを読みやすく、明快に!
で累計 4,200 億円超(16/3 期初に 4,300 億円に修正)のコスト削減を目指す施
策。
同社はこの施策に基づき、売上原価の低減や販売費・一般管理費の低
減、棚卸資産の圧縮、売掛金・買掛金の回収・支払期間の最適化、などを
進めている(図表 1)。
15/3 期までに累計 3,200 億円のコスト削減を達成し、16/3 期はさらに
1,100 億円のコスト削減を目指している(図表 2)。
図表 2 コスト削減施策の効果
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
億円
4,300 累計
単年度コスト削減額
3,200 累計
2,200 累計
1,100 累計
350
750
1100
1000
1100
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
■ 16/3 期は中国景気減速で業績下ブレだが税前増益と予想
10 月 28 日に発表された 15 年 4-9 月期の売上収益は、前年同期比 6%
増の 4 兆 8,068 億円、税前利益は同 1.4%減の 2,546 億円、当期利益は同
6.2%減の 1,658 億円になった。前年同期比では増収減益ではあるが、売
上収益、税前利益、当期利益とも会社計画を上回った。なお、16/3 通期計
図表 3 売上収益と税前利益の推移
兆円
売上収益(左軸)
10.0
予想
9.5
9.0
8.5
8.0
赤字
7.5
税前利益(右軸)
7.0
10,000
9,000
億円
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3
出所:会社資料より東海東京調査センター 14/3・15/3 期は国際会計基準(IFRS、会社公表の
参考値)、予想は東海東京調査センター
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10/22
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画は変更なし。
東海東京調査センターは、国内通信事業の停滞と、中国の景気減速によ
る建機、ATM (現金自動預け払い機) など中国関連事業の減速を主因に、
16/3 期の業績は会社計画の売上収益 9 兆 9,500 億円を下回り、前期比
1%増の 9 兆 9,000 億円程度に留まるとみる。
しかし、コスト削減の「スマトラ」施策の奏功により、税前利益は前期比
10%増の 5,700 億円(会社計画は 6,000 億円)と、会社計画を下ブレするものの、
前期比増益を確保すると予想する(図表 3)。
なお、10 月以降の会社の為替前提は 1 ドル 115 円、1 ユーロ 125 円。東
海東京調査センターは 1 ドル 125 円、1 ユーロ 135 円を前提としている。会
社は、1 円の円安による利益影響額(下半期)をドルは 15 億円、ユーロは 5
億円と試算している。
■ 株価はPBR1 倍割れを底に反転、上昇の動きに
株価は8月後半、中国景気の減速懸念から急落、9月29日には、安値
585.7円と、15/3期実績PBR [株価純資産倍率、株価÷一株当たり純資産(BP
S)]1倍の609.4円を割り込んだ(図表4)。その後は反発に転じ、10月23日に
15年4-9月期業績予想の上方修正を会社が発表したこと(10月28日に同決算
発表)もあり、13週移動平均線を上抜き、戻りを試す展開になっている。
同社の株価は、一株当たり利益(EPS)の黒字が定着した11/3期以降、
前期実績BPS(一株当たり純資産)を上回って推移していた(図表5)。
株価が一時BPSを割り込んだ(=15/3期実績PBRが1倍割れ)ことで、16/3
図表 4 株価(週足)と出来高
1000 円
950
900
850
800
750
700
650
600
550
500
日立(週足)
939.9(14/12/8)
(15/5/20)
858.0
(15/10/26)
744.2
13週移動平均線
出来高
百万株
585.7
300
(15/9/29)
200
100
0
14/3/24
14/8/11
14/12/29
15/5/18
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
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11/22
15/10/5
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期会社計画の未達リスクを踏まえても、株価に割安感があるとの見方が出
てきた。15年4-9月期決算の計画上ブレに加え、こうした見方の変化が同社
の株価を再び上昇に転じさせた要因とみられる。
今後は、下半期 (15年10月-16年3月)の業績動向をにらみつつ、チャート
上の節目となる15年5月の高値、858円程度を目指し水準を切り上げる動
きが期待されよう。
図表 5 株価(月足)と実績BPS、予想EPSの推移
1000 円
900
800
700
600
500
400
300
200
947.0(07/4)
日立(月足)
939.9(14/12)
858.0(15/5)
前期実績BPS
(一株当たり純資産)
15/3期
実績BPS
585.7 609.4円
(15/9)
円
227.0(09/12)
一株当たり利益(EPS)
100
50
0
予想
‐50
‐100
07/3 08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3
出所:QUICK より東海東京調査センター作成 14/3 期・15/3 期はIFRS基準(参考値、会社公表)、それ以前は米国会計基準
予想は東海東京調査センター
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12/22
ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.698
ソニー
連結
売上高
営業利益
15/3
82,158 (
16/3予
81,193 (
-1% ) 3,947 (
476% )
17/3予
82,580 (
2% ) 5,019 (
27% )
6% )
685 ( 159% )
売買単位
100 株
(6758)
税前利益
2015 年 11 月 5 日
東海東京調査センター
投資調査部 武井 宏彰
一株当たり
利益 配当
当期純利益
株価
(11/2時点)
3,433.0円
PER(16/3期予想)
PER(17/3期予想)
PBR(15/3期実績)
23.4
17.5
1.73
※一株当たり純資産 1982.5
54% )
-1,259 (
赤字 )
4,114 ( 936% )
1,846 (
黒転 )
146.5
20.0
5,022 (
2,472 (
34% )
196.0
20.0 ROE(15/3期実績)
397 (
22% )
赤字
0.0
注)予想はQUICKコンセンサス(アナリスト予想の平均)。配当は東洋経済予想の下限
-5.5 %
■ スマホ向けイメージセンサーが業績のけん引役
同社は戦後間もない 1946 年に、従業員約 20 名の小さな会社としてス
タートした。「人のやらないことをやる」というチャレンジ精神のもと、1979
年に「ウォークマン」、1984 年には世界初の「ポータブル CD プレーヤ
ー」を発売。また、1990 年代には PC ブランド「VAIO(バイオ)」、家庭用ゲ
ーム機「プレイステーション」(94 年)、人工知能を搭載した子犬型ペットロ
ボット「AIBO(アイボ)」(99 年)など数々の独創的な製品を打ち出してきた。
現在の同社の事業セグメントは主に 8 つ(図表 1、15/3 期)。営業利益を、
「金融」、「映画」、「音楽」、「イメージング・プロダクツ&ソリューション(デ
ジタルカメラや放送用機器など)」といった事業が安定的に稼いでいる。一方、
スマートフォンなどを扱う「モバイル・コミュニケーション」は 2176 億円の
赤字。また、液晶テレビなどを扱う「ホームエンタテインメント&サウンド」、
ゲーム機などを扱う「ゲーム&ネットワークサービス」、イメージセンサー
等を扱う「デバイス」の 3 事業は、15/3 期に営業黒字に転じた。
事業別営業利益(15/3 期)
億円
1,933
事業別営業利益
890
606
585
418
481
241
‐2,176
モバイル・
コミュニケーション
ホームエンタテインメント
&サウンド
ゲーム
&ネットワークサービス
イメージング・
プロダクツ
&ソリューション
映画
音楽
デバイス
金融
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
‐500
‐1,000
‐1,500
‐2,000
‐2,500
円
(単位:億円、%、円)
■ スマホ向けイメージセンサーが業績のけん引役
■ 16/3 期、17/3 期と大幅増益が続くと予想
■ 株価は再度、年初来高値を目指す展開を予想
図表 1
倍
倍
倍
(出所)会社資料より弊社作成。15年10月時点の業績見通しの表示に合わせて組替再表示をしたベース。連結消去前。
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13/22
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今後の同社の成長けん引役として期待されるのが、「イメージセ
ンサー」を中心とするデバイス事業。イメージセンサーとは、別名「電
子の目」と呼ばれ、レンズで集めた光(映像)を電気信号に替える半導体
のこと。その用途は主に、スマートフォン(以下スマホ)をはじめとした携帯
電話のカメラ、デジタル一眼レフカメラなどに使用される。
中でも同社は、2012 年に「積層型CMOS(相補性金属酸化膜半導体)
イメージセンサー」という次世代のイメージセンサーを開発した。同製
品は、従来品に比べてカメラの高画質化、高機能化、小型化の実現を
可能にし、昨今スマホのカメラが高機能化を求められる中、その高い技
術力で最新のスマホには欠かせない存在になりつつある。
■ 16/3 期、17/3 期と大幅増益が続くと予想
10/29に会社側が発表した15年4-9月期決算では、売上高が前年同期
比ほぼ横ばいの3兆7007億円に留まるも、営業利益が前年同期の157億
円の赤字から1849億円の黒字へと転換した。
事業別では、モバイル・コミュニケーション事業の営業利益が、前年同
期の1721億円の赤字から435億円の赤字へと大きく改善 (+1286億円) 。前
年同期に営業権の減損1760億円を計上していた影響が無くなったほか、
売上規模を追わない戦略を徹底し、スマホの販売台数減少の影響を高
付加価値モデルへのシフトによる製品ミックス改善等で補った。イメージン
グ・プロダクツ&ソリューションとホームエンタテインメント&サウンド事業に
おいても、ミラーレスデジカメ、高性能音楽ツール(ヘッドフォン)などの高付
加価値品へのシフトが貢献し増益に。ゲーム&ネットワークサービス事業
では、プレイステーション4(以下、PS4)の販売が好調で、PS4の年間販売
台数1650万台→1750万台に引き上げ、16/3期の同事業の営業利益計画
を600→800億円に引き上げた(図表2)。
一方、映画事業は、大型の劇場公開作品数が多かったことなどにより
全世界で広告宣伝費が増加し、赤字幅が拡大した。主力のデバイス事業
は、CMOSイメージセンサーの貢献により営業利益が前年同期比58%増
の630億円へ拡大したものの、イメージセンサーの生産設備に問題が発
生し一時的に生産量が減少する機会損失が発生した(生産設備の問題は既
に解消済み)。また、ポリマー電池について、新型スマホでの失注や技術問
題により、電池に関する固定資産400億円と同程度の減損リスクが出てい
ることを示唆した。
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14/22
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図表 2
上半期の事業別営業利益推移(連結消去前)
(左)14年4‐9月期
億円
1,000
500
(右)15年4‐9月期
433
261 266
178
67
463
237
914
871
471
375 630
398 0
‐45
‐500
‐435
‐341
‐397 ‐1,000
事業別営業利益
‐1,500
金融
デバイス
イメージング・
プロダクツ
&ソリューション
音楽
ゲーム
&ネットワークサービス
ホームエンタテインメント
&サウンド
その他
映画
‐1,721
モバイル・
コミュニケーション
‐2,000
(出所)会社資料より弊社作成。営業利益は連結消去前。
QUICKコンセンサスは、16/3期通期売上高を前期比1%減の8兆
1193億円、営業利益を同約5.8倍の3947億円と、会社計画 (売上高 7兆
9000億円、営業利益 3200億円)を上ブレると予想。続く17/3期も売上高を同
2%増の8兆2580億円、営業利益を同27%増の5019億円と大幅増益を
予想。
図表 3
売上高と営業利益の長期推移
兆円
10
売上高(右軸)
11,000
8
9,000
億円
7,000
6
5,019
4,752
5,000
3,947
4
3,000
2
1,000
0
‐1,000
営業利益(左軸)
‐3,000
‐2
98/3
99/3 2000/3 01/3
02/3
03/3
04/3
05/3
06/3
07/3
08/3
09/3
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3 16/3予 17/3予
(出所)Astra Manager、会社資料より弊社作成。予想はQUICKコンセンサス(アナリスト予想の平均)
ゲーム&ネットワークス事業で、PS4の販売好調が期待されるほか、
将来的には仮想空間でゲームをプレイできるバーチャルリアリティヘッド
セット「PlayStation VR」の発売も控えており、今後も成長が期待され
る。主力のデバイス事業は、CMOSイメージセンサーの生産設備問題
は既に解決されていることから、今後も同社の業績のけん引役となろう。
10月には東芝からスマホなどに使う画像用半導体設備等の一部をソニ
ーに譲渡することで基本合意しており、需要旺盛なCMOSイメージセン
サーの増産も期待される(図表4)。
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15/22
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図表 4
イメージセンサー生産能力
(枚/月)
100,000
イメージセンサ-生産能力
(ウェーハ換算)
90,000
87,000
80,000
68,000
70,000
60,000
60,000
50,000
50,000
40,000
30,000
25,000
20,000
10,000
0
10年12月
12年3月
14年11月
15年8月
16年9月
(会社計画)
(出所)会社資料より弊社作成。
■ 株価は再度、年初来高値を目指す展開を予想
10/29日の15年4-9月期決算発表で大幅増益が確認されたのにもか
かわらず、同社株はその後ほぼ横ばいの水準で推移している。これは
先に説明した、電池事業の減損リスクが新たに浮上したことなどによるも
のと考える。しかし、減損リスクが公表されたことで株価はすでに同リスク
を織り込んだと見られる。再度株価は同社の業績拡大を評価する展開
を予想。チャート上、株価は75日移動平均線を突破したことで強気シグ
ナルが点灯。今後同社株は、再度年初来高値3970円を目指そう。
図表 5
円
4000
株価(日足)チャート
(15/5/19)
3970
ソニー(日足)
(15/7/24)
3719
3500
3000
75日移動平均線
千株
50000
40000
2742
2713
(15/8/25) (15/9/29)
2500
30000
出来高
20000
10000
0
15/5/1
15/6/11
15/7/17
15/8/25
(出所)QUICKより弊社作成。
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16/22
15/10/5
15/11/10
ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.699
トヨタ自動車
連結
売上高
営業利益
売買単位
100 株
(7203)
税前利益
一株当たり
利益 配当
純利益
2015 年 11 月 5 日
東海東京調査センター
投資調査部 廣瀬 治
株価
(11/2時点)
7,387.0円
PER(16/3期予想)
〃(17/3期予想)
15/3
272,345 (
6% ) 27,505 (
20% ) 28,928 (
19% ) 21,733 (
19% ) 688.0
200.0
16/3予
282,500 (
4% ) 31,500 (
15% ) 32,500 (
12% ) 25,500 (
17% ) 810.3
230.0 PBR(15/3期実績)
17/3予
292,500 (
4% ) 34,000 (
8% ) 35,500 (
9% ) 27,200 (
7% ) 864.3
250.0 ROE(15/3期実績)
※一株当たり純資産
注)予想は東海東京調査センター(杉浦 誠司)
9.1 倍
8.5 倍
1.38 倍
5335.0 円
13.9 %
(単位:億円、%、円)
■ 環境性能など先進技術で世界をリード
■ 「TNGA」初採用、新型プリウス発売へ
■ バリュエーション面で割安感、年間配当利回りは 3%台を予想
詳細は企業調査部・企業レポート(2015 年 9 月 9 日、10 月 14 日)を参照して下さい
■ 環境性能など先進技術で世界をリード
同社は、環境性能などの先進技術で世界をリード。ハイブリッドシステ
ム技術を「21 世紀の環境コア技術」と位置づけるとともに、燃料電池車
などハイブリッド車以外のエコカーの開発にも取り組んでいる。ハイブリ
ッド車のグローバル累計販売台数は、1997 年 12 月の世界初となる量産
車「プリウス」の発売から 15 年 7 月末で 800 万台を突破した(図1)。同社
の世界販売台数のうち 1 割強をハイブリッド車で占める。
さらに、同社は、15 年 10 月 14 日、持続可能な社会の実現に貢献する
ための新たなチャレンジとして「トヨタ環境チャレンジ 2050」を発表。気候
変動、水不足、資源枯渇など地球環境の問題に対して、「もっといいク
ルマ(燃料電池車の普及、等)」「もっといいモノづくり(工場の CO2排出ゼロ、等)」
「いい町・いい社会(循環型社会の構築、等)」の実現に向けた取り組みで、
新たな事業発展を遂げようとしている。
図 1 ハイブリッド車のグローバル販売台数の推移
世界累計販売
700万台突破
(14年9月)
万台
140
120
100
80
60
プリウス発表
(97年12月発売)
世界累計販売
100万台突破
(07年5月)
アクア販売
(11年12月)
世界累計販売
800万台突破
(15年7月)
40
20
0
97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
出所:会社資料より東海東京調査センター作成。計画は会社公表値。
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17/22
1‐7月
ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ 「TNGA」初採用、新型プリウス発売へ
同社は、今年 12 月に、4 代目となる新型ハイブリッド車“プリウス”を
発売する。新型プリウスは、ハイブリッドシステムを刷新し、ガソリン 1 リッ
トル当たりの走行距離が 40 キロメートルと、現行車の燃費(32.6 キロメート
ル)から 2 割強の大幅向上を実現した。また、全社を挙げて取り組むクル
マづくりの構造改革「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」※1 を
初採用したモデルである。
※1
TNGA:パワーユニットとプラットフォームを刷新し、一体的に新開発することにより、クルマの基
本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指すもの
同社は、新型プリウスの発売を控えて、増産に向けた国内生産体制を
強化。新型プリウスの生産が本格化する来年1月より、足元の 1 日当
たり生産台数 1.3 万台から、14 年 3 月以来となる 1.4 万台に引き上げる
見通し (各紙の報道より) 。国内生産台数において、1 日当たり生産台数
1.3 万台が好不調の分かれ目とされている。
今後、同社ラインアップにおける TNGA 採用モデルの拡大と収益性ア
ップに向けた取り組みが進展しよう。
当調査センターは、16/3 期税前利益を前期比 12.3%増の 3.25 兆円と、
会社計画 2.98 兆円を上回ると予想(図 2)。会社計画の想定為替レート(1
米ドル=115 円)を上回る円安水準、などが要因。1
米ドル=1 円の円安で
400 億円の増益要因となるとみる。続く 17/3 期は同 9.2%税前増益を見
込む。
図 2 売上高および税前利益の推移
30
兆円
5.0
売上高
兆円
25
2.89
20
3.55
2.44
15
10
3.25
0.43
11/3期
12/3期
3.0
2.0
1.40
0.56
4.0
税前利益
1.0
0.0
5
13/3期
14/3期
15/3期 16/3期予 17/3期予
出所:会社資料より東海東京調査センター作成。予想は東海東京調査センター
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18/22
ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ バリュエーション面で割安感、年間配当利回りは 3%台を予想
株価は、下値支持線に到達後、8月25日の安値6,650円を底に上昇
(図3)。16/3期予想PER9.1倍、同予想配当利回り3%と株価に割安感が
台頭(当調査センター予想の16/3期一株当たり配当金 230円)。環境性能など世
界をリードする技術への高い評価なども株価の支援材料に。独フォル
クスワーゲンの排ガス不正問題などで環境問題への関心が高まり、同社
のハイブリッド車を中心とするエコカーの販売に追い風が吹いている。
同社グループの15年1-9月世界販売台数は、米国の販売好調などを
背景に749.8万台と首位を奪還(10月26日発表、ダイハツ工業、日野自動車を含
む)※2。株価は業績増勢を受けて下値を切上げよう。
※2
15年1-6月世界販売台数は502.2万台で、独フォルクスワーゲンに次ぐ2位。
図 3 株価チャート(週足)と信用買い残の推移
(15/3/24)
8783
円
9000
8500
トヨタ
(週足)
8000
7500
7000
6500
6650
(15/8/25)
6000
5500
5000
14/1/6
5710
(14/10/17)
5205
(14/4/11)
下値支持線
信用買い残
14/7/7
15/1/5
出所:QUICK より東海東京調査センター作成。
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19/22
15/7/6
千株
20000
15000
10000
5000
0
ストラテジーを読みやすく、明快に!
【レーティングの定義】
投資判断の定義
Outperform
Neutral
Underperform
NR
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上上回るとアナリストが予想
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して±15%未満とアナリストが予想
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上下回るとアナリストが予想
レーティング、目標株価を付与せず
【レポート利用に関する注意事項】
このレポートは、東海東京調査センター(以下「弊社」)が作成し、弊社の許諾を受けた証券会社、及び情報
提供会社等から直接提供する形でのみ配布いたしております。提供されたお客様限りでご利用ください。この
レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。
投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されておりますが、弊社は、その正確性及び
完全性に関して責任を負うものではありません。このレポートに記載された内容は、作成日におけるものであり、
予告なく変わる場合があります。このレポートの一切の権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断
で複製又は転送等を行わないようにお願いいたします。
レーティングの表記は、TOPIX に対して Outperform、Neutral、Underperform の 3 段階で区分表記していま
す。また、レーティングが無い場合は「NR」と表記しています。対象期間は、投資評価が付与された日を起点と
して、6 ヵ月程度を想定しております。アナリストがレポートにおいて企業の目標株価に言及した場合、その目標
株価はアナリストによる当該企業の業績予想に基づくもので、期間は 6 ヵ月程度を想定しております。実際の
株価は、当該企業の業績動向や、当該企業に関わる市場や経済環境などのリスク要因により、目標株価に達
しない可能性があります。
このレポートで述べられている見解は、当該証券又は発行会社に関する執筆者の意見を正確に反映したも
のです。執筆者の過去、現在そして将来の報酬のいかなる部分も、直接、間接を問わず、このレポートの投資
判断や記述内容に関連するものではありません。
弊社は、このレポートを含め、経済・金融・証券等に関する各種情報を作成し、東海東京証券に提供すること
を主たる事業内容としており、弊社の収入は主に東海東京証券から得ております。
このレポートの取り扱いに関する重要事項は末尾の注意事項をご覧下さい。
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
【金融商品取引法に基づく留意事項】
このレポートは、東海東京調査センターが作成し、東海東京証券株式会社が許諾を受けて提供いたして
おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます
東海東京証券の概要
商 号 等 : 東海東京証券株式会社
金融商品取引業者
東海財務局長(金商)第140号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融
商品取引業協会
リスクについて
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買等にあたって
は、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証券発行信託の受益証券
等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、商品等(裏付け資産)の価格や評価
額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等が変動することによって損失が生じるおそれがあり
ます。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付け資産の発
行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等の価格が変動すること
によって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利を行使でき
る期間に制限がありますのでご留意ください。
◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変化することに
より、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値は下落し、逆に円安になる
過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇することになります。したがって、為替相場の状
況によっては為替差損が生じるおそれがあります。
※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券等である場合
には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様のリスクがあり
ます。
このレポートの取り扱いに関する重要事項は末尾の注意事項をご覧下さい。
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
手数料等諸費用について
Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手数料
等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。)
委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。
(2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。
※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。
Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市場に
おける外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引の2通りの
方法があります。
(1) 外国金融商品市場等における委託取引
① 国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の1.404%(税込)になります。
② 外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公
課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて
決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
(2) 国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基
準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差
がそれぞれ原則として2.75%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には
手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動
向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。
Ⅲ その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に基づ
き、別途手数料をいただくことがあります。
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