日本株「ストック・ピック」 NO.41

マンスリー・レポート
日本株「ストック・ピック」
NO.41
2015 年 10 月号
目 次
今月のポイント
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.1
「内需関連、テーマ株に注目」
ストック・ピック銘柄
新規紹介(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆長谷工コーポレーション(1808)
P.2
新規紹介
◆熊谷組(1861)
P.5
新規紹介(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆東レ(3402)
P.8
継続(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆NEC(6701)
P.11
継続(JPX 日経インデックス 400 採用)
◆SCSK(9719)
P.14
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投資調査部
2015 年 10 月のマンスリー・レポート日本株
今月の
ポイント
「内需関連、テーマ株に注目」
○9月の日本株は下値模索の動きとなり、日経平均は一時、1万7000円台を割り込んだ。
○10月相場は戻りを試す展開が期待される。中国景気の減速感、米国の利上げ観測、などの不透
明要因はある。しかし、わが国の追加金融緩和への期待感が大きいことや、予想PERが13年以降
の下限に近いためだ。TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意も追い風となるものとみられる。
○日本企業の9月中間決算は10月下旬から本格化するため、業績見通しの吟味が重要となる。当
面は、好決算見通しが想定される内需関連株、成長期待があるテーマ株が物色の中心と考える。
○注目銘柄としては、事業環境の好転が続く見込みの建設株から長谷工(1808)と熊谷組(1861)、
国産航空機開発のテーマから東レ(3402)、10月より交付が開始されるマイナンバー関連のNEC
(6701)とSCSK(9719)を選出した。
新規
長谷工コーポレーション(1808)
(川又 信之)
JPX日経インデックス400採用
■
民間住宅投資の増勢持続、工事単価の上昇が追い風に
■
16/3期は前期比36%、17/3期は同11%の経常増益が予想される
■
投資指標に割安感、株価は水準を切り上げよう
新規
熊谷組(1861)
■
経営危機からの「再生」から「成長」局面へ
■
利益率の上昇をドライバーに業績拡大が続こう
■
株価は17/3期予想PER17倍に相当する550円を目指すと予想
新規
東レ(3402)
■
革新的な素材を生み出してきたケミカル・繊維複合企業
■
業績は増勢、炭素繊維複合材料がけん引役に
■
株価は利益成長を確認しながら上昇トレンドをたどろう
継続
NEC(6701)
■
マイナンバー制度開始、関連ビジネス拡充で飛躍を図る
■
中期経営計画を推進、16/3期は本格的な成長を示す年に
■
バリュエーションに割安感、株価は600円台を目指そう
継続
SCSK(9719)
■
20/3期までの中期計画で自動車車載システムなどに積極化
■
16/3期は車載システム等への先行投資をこなし増益へ
■
マイナンバー制度の導入、電力自由化と株価に追い風が吹く
JPX日経インデックス400採用
JPX日経インデックス400採用
JPX日経インデックス400採用
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.684
長谷工コーポレーション
連結
売上高
14/3
15/3
16/3予
17/3予
5,875 ( 5% )
6,421 ( 9% )
7,164 ( 12% )
7,502 ( 5% )
経常利益
純利益
288 (
426 (
589 (
655 (
254 (
418 (
571 (
632 (
248 (
285 (
372 (
415 (
19% )
48% )
38% )
11% )
27% )
65% )
36% )
11% )
売買単位
100 株
(1808)
営業利益
2015 年 10 月 8 日
東海東京調査センター
投資調査部 川又 信之
一株当たり
利益
配当
90% )
81.4
株価
1,389.0円
(10/6時点)
3.0 PER(16/3期予)
10.0
〃 (17/3期予)
11.2 倍
15% )
94.6
30% )
123.9
10.0 PBR(15/3期実績)
2.90 倍
11% )
138.1
10.0 ROE(15/3期実績)
21.7 %
注)予想はQUICKコンセンサス(各社アナリスト予想の平均、10/6現在) 配当予想は東洋経済の下限予想
10.1 倍
(単位:億円、%、円)
13年10月1日に5株→1株の株式併合を実施、一株当たり数値は遡及修正済
■ 民間住宅投資の増勢持続、工事単価の上昇が追い風に
■ 16/3 期は前期比 36%、17/3 期は同 11%の経常増益が予想される
■ 投資指標に割安感、株価は水準を切り上げよう
■民間住宅投資の増勢持続、工事単価の上昇が追い風に
マンション建設最大手。連結売上高(15/3 期 6,421 億円)に占める建設関連
事業の売上構成比は 76%(その他はマンション管理などサービス関連事業、海外
関連事業)。同社単体の売上高(15/3 期 3,854 億円)に占める民間分譲マンショ
ン建築工事の構成比は 91%。
内閣府が公表する GDP(国内総生産)の民間住宅投資は、15 年 4-6 月期
は前四半期比 1.9%増(速報値)となった。同 7-9 月期以降も増加傾向が続く
と当調査センターは予想している(図表 1)。
また、国土交通省が集計する建築着工床面積は、15 年 5 月より前年同月
比プラスに転換、6、7 月と持続している。工事費予定額を着工床面積で除
図表 2:建築着工床面積は増加、工事単価は上昇傾向
図表 1 :民間住宅投資の前四半期比伸び率
2.5
22
%
予想
2.0
60
万円/㎡
建築工事単価
(工事費予定額÷着工床面積)
20
50
40
1.5
18
1.0
0.5
30
%
20
16
2015
出所:内閣府より東海東京調査センター作成
2016
1‐3月
10‐12月
7‐9月
4‐6月
1‐3月
10‐12月
7‐9月
4‐6月
1‐3月
0.0
10
14
0
12
建築着工床面積
前年同月比伸び率
2017
予想は東海東京調査センター
‐10
‐20
10
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
出所:国土交通省より東海東京調査センター作成
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2/19
15/1
15/7
ストラテジーを読みやすく、明快に!
した建築工事単価は、上昇傾向を持続している(図表 2)。
こうした事業環境を受け、同社の業績は好調な推移が予想される。
■16/3 期は前期比 36%、17/3 期は同 11%の経常増益が予想される
同社単体の受注高は、08/3 期から 13/3 期まで低水準が続いた。しかし、
14/3 期以降、回復傾向が鮮明に。会社は今期の受注高も前期比プラスと
予想している。
図表 3:主要区分別(単体)受注高の推移
億円
45154528
5000
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
受注高(単体)
4642 4700
3631
3638
会社計画
うち民間分譲マンション
04/3 05/3 06/3 07/3 08/3 09/3 10/3 11/3 12/3 13/3 14/3 15/3 16/3
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 16/3 期は会社計画
会社は 16/3 期の売上高を、前期比 9%増の 7,000 億円、経常利益を同
29%増の 540 億円と予想。QUICK コンセンサス(各社アナリストの予想平均)は
売上高を同 12%増の 7,164 億円、経常利益を同 36%増の 571 億円と、会
社計画に対し上ブレを予想している。同予想は 17/3 期の経常利益を過去
最高(07/3 期、630 億円)並みの 632 億円(前期比 11%増)と予想している。
図表 4:経常利益の推移
700
億円
600
632
571
630
531
531
500
418
400
300
赤字
100
予想
200
0
00/3 02/3 04/3 06/3 08/3 10/3 12/3 14/3 16/3
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
予想は QUICK コンセンサス(各社アナリストの予想平均)
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ 投資指標に割安感、株価は水準を切り上げよう
同社の株価は、5月13日に15/3期の決算発表をした直後、好決算見通し
を受け大幅上昇。その後、ジリ高となり、8月6日に年初来高値1,699円をつ
けた。直近は、株式市場の急落もあり、15/3期決算発表後の急騰分を一旦
解消した形。
しかし、株価は底入れ、反転し、25日移動平均線を上抜けるなど、出直り
基調(図表5)。16/3期予想PERは11.2倍と、東証1部建設株平均の15.4倍を
下回っている。業績面でも、17/3期の経常利益は前回ピークの07/3期を上
回るとQUCKコンセンサスは予想しており、今後の株価は業績拡大見通しを
再び評価する動きが期待される。チャート上は、節目となる1,699円を目指
そう。
また、9月末より、新たに日経平均採用銘柄になったことも、需給面の追
い風となろう。
図表 5:株価(日足)と出来高
1800
1700
1600
1500
1400
1300
1200
1100
1000
900
800
円
長谷工(日足)
(15/7/2) 1699(15/8/6)
1601
15/3期決算発表(5月13日)
後急騰
(15/9/28)
1440
(15/4/7)
1257
1252
1153
(15/9/8)
(15/5/7)
25日移動平均線
出来高
15/2/2
15/3/17 15/4/28 15/6/15 15/7/28
千株
20000
15000
10000
5000
0
15/9/8
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
図表 6:株価(月足)と経常利益
3000
円
2490(07/2)
2500
2000
長谷工(月次)
(15/8)
1699
1500
1252
(15/9)
1000
500
0
億円
1000
800
630
632
571
531 531
経常利益
600
397
418
400
124
200
0
01/3 03/3 05/3 07/3 09/3 11/3 13/3 15/3 17/3
145(09/2) 225(12/9)
205(03/1)
赤字
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
予想は QUICK コンセンサス
(各社アナリストの予想平均)
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.685
熊谷組
連結
14/3
15/3
16/3予
17/3予
売上高
3,289 ( 26% )
3,620 ( 10% )
3,670 ( 1% )
3,830 ( 4% )
営業利益
売買単位
1000 株
(1861)
経常利益
66 ( 黒転 )
161 ( 144% )
177 ( 10% )
203 ( 15% )
190 (
201 (
一株当たり
利益
配当
純利益
67 ( 104倍 )
156 ( 131% )
42 ( 黒転 )
54 ( 27% )
115 ( 111% )
123 (
7% )
21% )
6% )
2015 年 10 月 8 日
東海東京調査センター
投資調査部 武井 宏彰
株価
380.0円
(10/6時点)
19.7
0.0 PER(16/3期予)
12.3 倍
15.7
2.0
11.6 倍
〃 (17/3期予)
30.8
5.0 PBR(15/3期実績)
2.65 倍
32.9
5.0 ROE(15/3期実績)
10.9 %
予想は東海東京調査センター(栗原 英明)
(単位:億円、%、円)
■ 経営危機からの「再生」から「成長」局面へ
■ 利益率の上昇をドライバーに業績拡大が続こう
■ 株価は 17/3 期予想 PER17 倍に相当する 550 円を目指すと予想
■ 経営危機からの「再生」から「成長」局面へ
同社は、明治 31 年に創業、昭和の時代に急成長を遂げた準大手のゼ
ネコン。大型の土木工事、特にトンネル工事に高い技術力と実績を有し、
業界では「トンネルの熊さん」とも呼ばれている。また、建築分野において
も、国内では超高層建築のほか数多くの施工実績があり、海外でも台湾
の超高層ビル「台北 101」などを施工している。かつては、バブル期に海
外資産や不動産投資を行ったことが裏目に出て経営危機に陥り、2000
年代には金融機関から数千億円単位の債権放棄も受けた。
しかし、2020 年の東京五輪に向けた建設需要、東日本大震災の復興
需要、民間建設投資の回復などから受注環境が好転(図表 1)。採算重視
の受注活動を徹底し始めたことにより業績が回復し、14 年 9 月には優先
株の消却を完了し 15/3 期には 08/3 期以来 7 期ぶりの配当を実施した。
同社は経営危機からの「再生」から「成長」局面を迎えている。
<図表 1
億円
3500
個別受注高の推移>
東京外環道の大型受注
3,294
3,020
3000
3,120
3,220
2500
2000
1500
1000
個別受注高
500
0
11/3期
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期
(出所)会社資料より東海東京調査センター作成。予想は東海東京調査センター
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16/3期予
17/3期予
18/3期予
ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ 利益率の上昇をドライバーに業績拡大が続こう
8/6 に発表された 15 年 4-6 月期決算では、売上高(完成工事高)が前
年同期比 2%減の 779 億円となったが、営業利益が前年同期比 39%増
の 26 億円と大幅増益となった。企業の設備投資が増加傾向にあること
や、住宅投資の持ち直しなどにより、人件費や資材費の高騰を受注単
価に反映できるようになっている模様。国内建築事業の完成工事利益
率も前年同期の 3.7%から 6.5%へと大幅に改善した。
弊社では、16/3 期通期の売上高(完成工事高)を前期比 1%増の
3670 億円、営業利益を同 10%増の 177 億円と、会社計画(売上高
3500 億円、営業利益 119 億円)を上回ると予想。個別受注高は、
東京外環道の大型受注の反動もあり前年を下回るものの、3000 億
円を超える高水準が続くと考える(図表 1)。土木と建築事業の双方の
良好な受注環境から、利益率の上昇をドライバーに業績拡大が続こう。
具体的には、土木分野では交通関連の大型プロジェクト(東京外環道、
首都高の更新、リニア中央新幹線、北海道新幹線など)、東北震災復興
関連の継続、東京オリンピックに関連した各種インフラ設備などの大型
の土木需要が盛り上がる見通し。
建築分野では、東京圏の大型再開発プロジェクト、交通網整備に伴う
物流拠点の再配置、病院の更新需要、大学の都心回帰など、中長期に
わたり需要が拡大する局面にあると考える。
17/3 期以降も過去に受注した低採算案件の減少や、採算重視の受
注活動などから業績拡大を見込む。弊社では、17/3 期の売上高を前
期比 4%増の 3830 億円、営業利益を同 15%増の 203 億円と予想。
売上高営業利益率も 15/3 期 4.4%→16/3 期 4.8%→17/3 期 5.3%
と上昇していくと予想している(図表 2)。
<図表 2
営業利益と売上高営業利益率の推移>
1,000
900
売上高営業利益率(右軸)
5.2
5.3
4.8
800
4.4
700
億円
600
5.8
588
5.0
4.0
3.0
500
2.0
400
1.0
230
203
177
161
300
200
100
7.0
%
6.0
営業利益(左軸)
0.0
‐1.0
‐2.0
‐3.0
‐100
‐4.0
90/3
91/3
92/3
93/3
94/3
95/3
96/3
97/3
98/3
99/3
00/3
01/3
02/3
03/3
04/3
05/3
06/3
07/3
08/3
09/3
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3予
17/3予
18/3予
0
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成。予想は東海東京調査センター
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
■ 株価は 17/3 期予想 PER17 倍に相当する 550 円を目指すと予想
16/3期予想PER12.3倍、17/3期予想PER11.6倍と業績拡大に伴い割
安感が増す見通し。足元の同社株は、300円~400円ほどのボックス圏
で推移している。しかし、弊社では同社の業績拡大は今後も続くと考え
ており、株価はボックス圏を上放れ、中長期に上昇していくと予想。
弊社(栗原英明アナリスト)は、同社のレーティングを新規
「Outperform」とし、目標株価を17/3期弊社予想EPS32.9円にPER17
倍程度の評価は可能と考え、550円とした(9/28)。
<図表 3
450
400
円
週足の株価チャート>
(14/9/4)
420
熊谷組(週足)
(13/10/28)
357
(15/8/17)
406
350
300
310
(15/7/9)
250
200
225
(14/2/4)
150
千株
100
50
0
87
(13/6/27)
800000
26週移動平均線
600000
出来高
400000
200000
0
13/1/4
13/7/1
13/12/30
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成。
14/6/30
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7/19
14/12/29
15/6/29
ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.686
東 レ
連結
14/3
15/3
16/3予
17/3予
売上高
18,377 ( 15% )
20,107 ( 9% )
22,233 ( 11% )
23,280 ( 5% )
営業利益
売買単位
1000 株
(3402)
経常利益
1,052 (
1,234 (
26% )
1,545 (
1,696 (
25% )
17% )
10% )
1,106 (
1,285 (
1,547 (
1,696 (
一株当たり
利益 配当
純利益
596 ( 23% )
710 ( 19% )
16% )
907 ( 28% )
20% )
10% ) 1,008 ( 11% )
25% )
2015 年 10 月 8 日
東海東京調査センター
投資調査部 廣瀬 治
株価
(10/6時点)
1,061.0円
36.6
10.0 PER(16/3期予)
18.7 倍
44.3
11.0
16.8 倍
56.7
12.0 PBR(15/3期実績)
1.72 倍
63.1
12.0 ROE(15/3期実績)
7.7 %
〃 (17/3期予)
注)予想はQUICKコンセンサス(各社アナリスト予想の平均、10/6時点)。配当予想は東洋経済の下限予想
(単位:億円、%、円)
■ 革新的な素材を生み出してきたケミカル・繊維複合企業
■ 業績は増勢、炭素繊維複合材料がけん引役に
■ 株価は利益成長を確認しながら上昇トレンドをたどろう
【概要】 合繊最大手、先端材料で世界のトップ企業を目指す
■ 革新的な素材を生み出してきたケミカル・繊維複合企業
同社は、コア技術(有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロ
ジー)を駆使して革新的な素材を生み出してきたケミカル・繊維複合企業。
衣料品、家電製品、エレクトロニクス製品、自動車や航空機などの素材・
部材、医薬品、水処理膜など、さまざまな分野で社会に貢献している。
たとえば、同社がユニクロ(ファーストリテイリング傘下)との共同開発で世界
的なヒット商品となった防寒機能ウェア「ヒートテック」、軽量ながら高い強
度などの優れた特長を活かして航空機の構造材として主要部分で使わ
れている炭素繊維「トレカ」、などが挙げられる。
同社は、長期経営ビジョンで、2020 年近傍に「売上高 3 兆円、営業利
益 3,000 億円」の達成を掲げ、成長戦略(成長分野、成長国・地域での事業拡
大、等)の推進と収益基盤の強化に注力している(図表1)。
図表1 営業利益の推移と中長期目標
億円
〈長期経営ビジョン〉
〈 中期経営課題 〉
「革新と攻めの経営」
3000
3000
-成長戦略の確かな実行 -
2500
「改革と攻めの経営」
-新たな成長軌道へ-
2000
1800
1500
1500
1077
1052
1234
834
1000
営業利益
500
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期
16/3期
(見通し)
17/3期
(目標)
2020年 近傍
(イメージ)
出所:会社資料より東海東京調査センター作成、見通し・目標(中期計画)・イメージ(長期経営ビジョン)は会社
公表値
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8/19
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■ 業績は増勢、炭素繊維複合材料がけん引役に
同社は、15 年 4-6 月期営業利益が繊維や炭素繊維複合材料の伸長
などで前年同期比 72%増の 370 億円となり、15 年 4-9 月中間予想(営
業利益:期初公表比+50 億円)を上方修正した。だが、16/3
期予想について、
海外景気の下振れによる景気の押し下げリスクなどを理由に挙げ、期初
公表値(営業利益:前期比 22%増の 1500 億円)から見直さなかった。
その一方で、QUICK コンセンサス(各社アナリスト予想の平均値)の 16/3 期
営業利益は前期比 25%増の 1,545 億円と会社公表見通しを上回り、続
く 17/3 期は同 10%増の 1,696 億円の見通し、としている。これは、17/3
期の目標営業利益 1,800 億円に向けた戦略が、着実に進展しているこ
とに対する評価の高まりとみられる。
とりわけ、成長分野と位置付ける「グリーンイノベーション事業」の貢献
への期待が大きい。
■炭素繊維複合材料を含むグリーンイノベーション事業
世界が直面する地球環境問題、資源・エネルギー問題を解決し、持続
可能な低炭素社会の実現や環境保全への貢献を目指すもの。代表
的な製品は、鉄に比べて 4 分の 1 の比重ながら 10 倍の強度などの優
れた特性を持つ「炭素繊維複合材料」、水不足・水質汚染の解決に貢
献する「水処理膜」、電池用部材など。同社は、グリーンイノベーション
事業の売上高を 15/3 期の 5,655 億円から 17/3 期に約 7,000 億円に
引き上げる計画である(図表 2)。
図表 2 グリーンイノベーション事業の売上高推移
億円
10000
8000
6000
カッコ内は全社売上高に占める割合
・炭素繊維複合材料
・水処理膜
・電池用部材
・バイオマス素材
4631億円
(約25%)
5655億円
(約28%)
約7000億円
(約30%)
4000
2000
14/3期
15/3期
17/3期
21/3期
実績
実績
目標
イメージ
出所:会社資料より東海東京調査センター作成、見通し・目標(中期計画)・イメージ(長期経営ビジョン)は会社公表値
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■ 株価は利益成長を確認しながら上昇トレンドをたどろう
株価は、8月以降、相場全体が下落する中にあっても7月の安値を下
回らずに推移(図表3)。炭素繊維複合材料を含むグリーンイノベーション
事業の成長期待などが株価の下支えとなったようだ。
米ボーイング社787向け炭素繊維複合材料の包括供給契約(05年11月
締結)の供給対象に大型機777の後継となる777X向けを新たに加えた(契
約期間中の材料供給総額は1兆円超の見込み)。また、トヨタの新型燃料電池車
「MIRAI(ミライ)」に同社の炭素繊維材料が採用されるなど、同事業への
期待は大きい。
今後、株価は、利益成長を確認しながら上昇トレンドをたどるとみる
(図表4)。
図表 3 株価チャート(週足)と信用買い残の推移
1200
東レ
(週足)
円
1100
(15/4/27)
1076.5
(14/12/8)
999.8
1000
(15/8/18)
1126.5
948.3
(15/7/9)
900
800
26週移動平均線
700
600
626.0
(14/5/20)
500
670.3
(14/10/17)
千株
信用買い残
15000
10000
400
5000
0
14/1/6
14/4/7
14/7/7 14/10/6 15/1/5
15/4/6
15/7/6 15/10/5
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
図表 4 株価チャート(月足)と一株当たり利益の推移
1200
円
(15/8)
1126.5
東レ
(月足)
1000
800
(13/5)
786.0
600
68.8
39.4
421
(12/10)
56.7
60
44.3
36.6
29.8
円
63.1
601
(13/8)
400
200
80
(12/3)
631.0
一株当たり
利益
0
40
20
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期 16/3期予 17/3期予 18/3期予
出所:QUICK より東海東京調査センター作成、予想は QUICK コンセンサス(10/6 時点)
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.687
NEC
連結
14/3
15/3
16/3予
17/3予
売上高
30,431 ( -1% )
29,355 ( -4% )
30,614 ( 4% )
31,330 ( 2% )
営業利益
1,061 (
1,280 (
1,398 (
1,562 (
-7% )
21% )
9% )
12% )
2015 年 10 月 8 日
東海東京調査センター
投資調査部 廣瀬 治
売買単位
1000 株
(6701)
一株当たり
利益 配当
経常利益
純利益
691 ( -25% )
1,121 ( 62% )
1,252 ( 12% )
1,420 ( 13% )
337 ( 11% )
573 ( 70% )
709 ( 24% )
845 ( 19% )
株価
(10/6時点)
386.0円
13.0
4.0 PER(16/3期予)
14.1 倍
22.1
4.0
11.9 倍
27.3
6.0 PBR(15/3期実績)
1.22 倍
32.5
6.0 ROE(15/3期実績)
7.5 %
〃 (17/3期予)
注)予想はQUICKコンセンサス(各社アナリスト予想の平均,10/6時点)、配当予想は東洋経済の下限予想
(単位:億円、%、円)
■ マイナンバー制度開始、関連ビジネス拡充で飛躍を図る
■ 中期経営計画を推進、16/3 期は本格的な成長を示す年に
■ バリュエーションに割安感、株価は 600 円台を目指そう
【概要】 通信インフラ設備で国内首位、ITサービスを強化
■ マイナンバー制度開始、関連ビジネス拡充で飛躍を図る
ネットワーク技術とコンピューティング技術を合わせ持つICT(情報通信
技術)企業。同社の
100 年を超える歴史は、技術革新の歩みである。
過去、同社は、パソコンや携帯電話などのIT端末から半導体、情報イ
ンフラ設備、ソフトウェア開発などのICT領域に事業を広げてきた。だが、
現在、同社はエネルギー・気象、防災・セキュリティ、医療、流通・物流、
交通などの「社会ソリューション事業」に経営資源を集中投下している。
収益改善に取り組み始めた 10/3 期以降、民生用 PC やモバイル端末
などの事業譲渡などを進めたことで、売上高全体は減少をたどった (図
1)。その一方で、注力する社会ソリューション事業は着実に売上高を伸
ばし、事業構造の転換によって、営業利益全体では増加基調をたどっ
てきた(13/3 期は液晶ディスプレイの特許売却益を計上)。
図1 注力事業に集中、営業利益は増加基調に
4.0
兆円
3.0
3.5 売上高全体
2500
2.9 2.6 1146
現事業の売上高
2.0
509
578
1280
3.1 2000
億円
1350
1500
1061
737
営業利益全体
1000
500
0
1.0
10/3期
11/3期
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期
出所:会社資料より東海東京調査センター作成、計画は会社公表の中期計画値
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11/19
16/3期 ・計画
ストラテジーを読みやすく、明快に!
昨今のICT分野におけるホットな話題は「マイナンバー制度の導入」。
同制度は、2016 年より運用が始まる「社会保障・税番号制度」。複数の
行政機関に存在する個人情報を一元化し、税徴収や社会保障給付の
公平化、効率化を図る目的で導入される(2015 年 10 月より国民に通知)。
同社は、制度対応を安全確実に行うためのトータルソリューション(コ
ンサルティング、業務システムの構築、マイナンバー収集・保管代行サービス、セキュリ
ティ対策、等)の提供のほか、個人番号カードを使った新サービスの創出、
など関連ビジネスの拡充を図る計画。同社は、マイナンバー関連システ
ムの 2014-16 年までの市場規模 3,600 億円(基盤インフラ整備市場、同社
推定)のうち、同関連売上高で
1,000 億円の獲得を目標に掲げる。個人
番号カードの普及は、同社が注力する「社会ソリューション事業」にも追
い風である。
■ 中期経営計画を推進、16/3 期は本格的な成長を示す年に
同社は、2016/3 期を最終年度とする 3 ヵ年の中期経営計画において、
(1)社会ソリューション事業への注力、(2)アジアへの注力と現地主導型
ビジネスの推進、(3)安定的な財務基盤の構築、を推進。初年度の
14/3 期は、今後の成長の基盤を固める「準備の年」。2 年目となる 15/3
期は、その基盤を使って「実績を残す年」。最終年度となる 16/3 期に
「本格的な成長を示す年」と位置づける。
QUICK コンセンサス(各社アナリスト予想の平均値)による 16/3 期営業利益
は、前期比 9%増の 1,398 億円と会社計画 1,350 億円を上回る見込み。
続く 17/3 期は同 12%営業増益の予想としている(図 2)。
図 2 16/3 期、増収増益に転換 ― 売上高と営業増益の推移
億円
32000
2500
売上高
億円
31000
2000
30000
1562
29000
28000
1146
27000
1280
1698
1398
1500
1061
1000
26000
営業利益
25000
500
13/3期
14/3期
15/3期 16/3期予 17/3期予 18/3期予
出所:会社資料より東海東京調査センター作成、予想は QUICK コンセンサス(10 月 6 日時点)
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12/19
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■ バリュエーションに割安感、株価は 600 円台を目指そう
株価は、15年4月27日に高値430円を付けた後、380円前後でもみ合
う展開(図3)。7月30日発表の15年4-6月期の営業赤字などが嫌気され
たようだ。だが、例年、4-6月期は公共インフラ投資案件が乏しく営業
赤字となりやすい。想定線でほぼ推移したようで、会社側は、16/3通期
業績予想について期初の公表値を変更していない。
QUICKコンセンサスによる16/3期予想PER14.1倍は東証1部平均
PER15.4倍を下回り、株価に割安感が台頭。前述の「マイナンバー制度
関連」のほか、「人工衛星ビジネス関連」「蓄電システム関連」など、株価
の支援材料も多い。海外売上高比率は20%(15/3期実績)と低く、海外景
気の影響を受け難い。株価は、予想純利益が16/3期予想値と同程度
であった05/3期の水準、およびリーマン・ショックが生じた08年の高値
水準(08年6月18日、608円)である600円台を目指す展開を予想する(図4)。
図 3 株価チャート(週足)と信用買い残の推移
500
円
(15/4/27)
NEC
(週足)
450
(14/7/31)
430
405
400
350
(13/4/25)
295
300
250
200
26週移動平均線
201
(13/6/27)
150
349
(15/8/25)
319
(15/2/3)
千株
80000
信用買い残
100
60000
40000
20000
0
12/12/3
13/6/3
13/12/2
14/6/2
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
14/12/1
15/6/1
図 4 株価チャート(月足)と純利益の推移
(06/4)
1000
920
円
NEC
(月足)
(08/6)
800
608
600
(15/4)
430
400
200
0
億円
96
772
845
(12/7)
709
573
純利益
337
赤字
800
600
400
予 想
赤字
1000
赤字
200
0
05/3期 06/3期 07/3期 08/3期 09/3期 10/3期 11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期
出所:QUICK より東海東京調査センター作成、予想は QUICK コンセンサス(10/6 時点)
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13/19
ストラテジーを読みやすく、明快に!
個人投資家のためのわかりやすいカンパニーレポート No.688
SCSK (9719)
連結
14/3
15/3
16/3予
17/3予
売上高
2,882 (
2,976 (
3,163 (
3,283 (
3% )
3% )
6% )
4% )
売買単位
100 株
営業利益
経常利益
純利益
239 (
280 (
310 (
337 (
256 (
306 (
322 (
351 (
183 (
156 (
240 (
233 (
15% )
17% )
11% )
9% )
16% )
19% )
5% )
9% )
2015 年 10 月 8 日
東海東京調査センター
投資調査部 川又 信之
一株当たり
利益
配当
株価
(10/6時点)
4,370.0円
10% )
177.3
40.0 PER(16/3期予)
18.9 倍
-15% )
150.7
50.0
19.4 倍
54% )
231.4
70.0 PBR(15/3期実績)
3.42 倍
-3% )
225.2
70.0 ROE(15/3期実績)
12.4 %
〃 (17/3期予)
注)予想はQUICKコンセンサス(各社アナリスト予想の平均値、10月6日) 配当予想は東洋経済の下限予想
(単位:億円、%、円)
11年10月の旧CSK合併に伴い、税軽減効果が16/3期まで純利益に影響
■ 20/3 期までの中期計画で自動車車載システムなどに積極化
■ 16/3 期は車載システム等への先行投資をこなし増益へ
■ マイナンバー制度の導入、電力自由化と株価に追い風が吹く
■20/3 期までの中期計画で自動車車載システムなどに積極化
住友商事傘下のシステム企業。2011 年 10 月に旧住商情報システム(SCS)
が独立系のCSKと合併。
現在、16/3 期から 20/3 期の新中期経営計画が進行中。①受託開発型か
らサービス提供型へ、②戦略的事業の推進、③グローバル展開を新たなス
テージへ、などの成長戦略により、20/3 期の営業利益 500 億円(15/3 期 280
億円)、売上高営業利益率 10-12%(同 9.4%)、ROE15%(同 12%)を目指す。
とくに注目されるのが上記②の「戦略的事業の推進」だ。対象分野として、
強みである流通業界、金融業界向けに加え、自動車の車載システム、電
図表 1 :売上高営業利益率、営業利益の推移
12
億円
%
売上高営業利益率(左目盛)
10
9.8
8.3
7.5
8
6
9.4
10.3
6.4
280
337
310
5.3
4
2
予想
営業利益(右目盛)
0
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
17/3
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は QUICK コンセンサス
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14/19
ストラテジーを読みやすく、明快に!
力自由化関連、セキュリティ関連などを挙げている。
同社は日系自動車メーカーおよび部品メーカーの電子制御ユニットのモ
デルベース開発に過去 30 年の長い実績を有している。近年の自動車電子
制御化に伴う車載ソフトウェアの世界標準規格(AUTOSAR)対応に向け、14
年 11 月に同業 5 社との協業を発表、車載システムの基本ソフト(OS)、ミドル
ウェア(基幹ソフト)での「世界標準」の獲得を目指す。
なお、同社は 10 月 1 日に、上記協業先と共同開発した車載ベーシックソ
フト「QINeS BSW」を 10 月より提供開始すると発表。同ソフトは AUTOSAR
規格に準拠した基本・基幹ソフト。自動車、部品メーカーが同ソフトを導入
すれば、自動車制御用マイコンの開発速度を向上させる効果が期待できる
と会社はみている。
16 年 1 月より本格稼動するマイナンバー制度への対応を図る金融機関向
け、16 年 4 月より全面自由化される電力小売りに参入する新規配電事業者
向けの情報システム構築なども、業績を押し上げる要因となろう。制度関連
の大きな変化への対応需要が期待され、中期目標に向けての業績拡大が
期待される。
■16/3 期は車載システムへの先行投資をこなし増益へ
会社は 16/3 期について、売上高を前期比 4%増の 3,100 億円、営業利
益を同 4%増の 290 億円と予想。事業環境や受注採算などからは 2 ケタ営
業増益は十分可能だが、成長分野、とくに自動車の車載システム向けを中
心に、先行投資を進めるためとしている。そのため、売上高営業利益率も前
期比横ばいの 9.4%としている。これに対し、各社アナリスト予想の平均であ
図表 2:税軽減効果を除いた純利益は増益を持続
300
億円
経営統合(11年10月)
250
会計上の純利益
200
150
100
50
税軽減を除いた実質の純利益
0
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 「16/3 計」は会社計画
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15/19
16/3 計
ストラテジーを読みやすく、明快に!
る QUICK コンセンサスは、営業利益を前期比 11%増の 310 億円、売上高
営業利益率は前期比 0.4 ポイント向上し 9.8%とみている。17/3 期について
も、営業利益は同 9%増の 337 億円、売上高営業利益率は 0.5 ポイント向
上の 10.3%と予想している。
なお、同社は、赤字状態だった旧 CSK を合併したため、12/3 期以降、
会計上の純利益には法人税負担の軽減効果が出ている(図表 2)。その影
響を除いた純利益は、営業利益同様に増加傾向となっている。軽減効果に
ついては、16/3 期でほぼ一巡するとみられる
■マイナンバー制度の導入、電力自由化と株価に追い風が吹く
株価は8月に年初来高値4,665円をつけ、その後は日本株市場の急落に
連れ安した。しかし、9月8日の安値3,760円を底に、株価は回復基調を強め
ている。
マイナンバー制度の導入(16年1月)や電力小売りの自由化(16年4月)、自
動車への電子機器の搭載 (将来は自動運転化へ) など、同社の株価への注
目度は高いと考える。
税軽減効果を除いた16/3期予想一株当たり利益178.3円(会社計画)は、
現在よりも株価が高かった01/3~03/3期の同利益水準を大幅に上回って
おり(図表4)、今後の株価は、業績を確認しながら水準を切り上げる動きが
期待される。
図表 4:株価(月足)と一株当たり利益の推移
図表 3:株価(日足)と出来高
5000
円
SCSK(日足)
4665(15/8/3)
(15/10/6)
4590
4500
4000 (15/4/14)
3695
3500
(15/6/25)
3835
3760(15/9/8)
3505
(15/7/9)
3000
25日移動平均線
千株
1000
出来高
500
8000 7583(00/11)
円
7000
5850(01/05)
6000
5000
4000
4700(02/7)
3000
2000
1000
0
一株当たり利益
(斜線は税軽減除く)
SCSK株価(月足)
(15/8)
4665
885(11/3)
経営統合(11年10月)
0
15/4/1
15/5/12
15/6/16
15/7/22
15/8/26
01/3
15/10/5
03/3
05/3
07/3
09/3
11/3
13/3
15/3
出所:QUICK より東海東京調査センター作成 16/3 期は会社計画
出所:QUICK より東海東京調査センター作成
このレポートの取り扱いに関する重要事項は末尾の注意事項をご覧下さい。
16/19
会
社
計
画
円
500
400
300
200
100
0
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【レーティングの定義】
投資判断の定義
Outperform
Neutral
Underperform
NR
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上上回るとアナリストが予想
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して±15%未満とアナリストが予想
今後 6 ヵ月間における投資成果が TOPIX に対して 15%以上下回るとアナリストが予想
レーティング、目標株価を付与せず
【レポート利用に関する注意事項】
このレポートは、東海東京調査センター(以下「弊社」)が作成し、弊社の許諾を受けた証券会社、及び情報
提供会社等から直接提供する形でのみ配布いたしております。提供されたお客様限りでご利用ください。この
レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。
投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
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完全性に関して責任を負うものではありません。このレポートに記載された内容は、作成日におけるものであり、
予告なく変わる場合があります。このレポートの一切の権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断
で複製又は転送等を行わないようにお願いいたします。
レーティングの表記は、TOPIX に対して Outperform、Neutral、Underperform の 3 段階で区分表記していま
す。また、レーティングが無い場合は「NR」と表記しています。対象期間は、投資評価が付与された日を起点と
して、6 ヵ月程度を想定しております。アナリストがレポートにおいて企業の目標株価に言及した場合、その目標
株価はアナリストによる当該企業の業績予想に基づくもので、期間は 6 ヵ月程度を想定しております。実際の
株価は、当該企業の業績動向や、当該企業に関わる市場や経済環境などのリスク要因により、目標株価に達
しない可能性があります。
このレポートで述べられている見解は、当該証券又は発行会社に関する執筆者の意見を正確に反映したも
のです。執筆者の過去、現在そして将来の報酬のいかなる部分も、直接、間接を問わず、このレポートの投資
判断や記述内容に関連するものではありません。
弊社は、このレポートを含め、経済・金融・証券等に関する各種情報を作成し、東海東京証券に提供すること
を主たる事業内容としており、弊社の収入は主に東海東京証券から得ております。
このレポートの取り扱いに関する重要事項は末尾の注意事項をご覧下さい。
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ストラテジーを読みやすく、明快に!
【金融商品取引法に基づく留意事項】
このレポートは、東海東京調査センターが作成し、東海東京証券株式会社が許諾を受けて提供いたして
おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます
東海東京証券の概要
商 号 等 : 東海東京証券株式会社
金融商品取引業者
東海財務局長(金商)第140号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融
商品取引業協会
リスクについて
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買等にあたって
は、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証券発行信託の受益証券
等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、商品等(裏付け資産)の価格や評価
額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等が変動することによって損失が生じるおそれがあり
ます。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付け資産の発
行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等の価格が変動すること
によって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利を行使でき
る期間に制限がありますのでご留意ください。
◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変化することに
より、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値は下落し、逆に円安になる
過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇することになります。したがって、為替相場の状
況によっては為替差損が生じるおそれがあります。
※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券等である場合
には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様のリスクがあり
ます。
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手数料等諸費用について
Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手数料
等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。)
委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。
(2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。
※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。
Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市場に
おける外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引の2通りの
方法があります。
(1) 外国金融商品市場等における委託取引
① 国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の1.404%(税込)になります。
② 外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公
課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて
決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
(2) 国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基
準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差
がそれぞれ原則として2.75%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には
手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動
向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。
Ⅲ その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に基づ
き、別途手数料をいただくことがあります。
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