(結果の要旨)医博甲402伊藤 有未

別紙様 式第 7号 (第 14条 関係 )
学位論 文審 査 の結果 の要 旨
※
整理番 号
ふ りがな
氏
名
Suppression of
学位 論 文題 目
ヤヽとう ゆみ
伊 藤 有 未
Poly(rC)― Binding Protcin 4(PCBP4)reduCed cisplatin
resistancc in human maxillary canccr cells
(Poly(rc)‐ Binding Protein 4(PCBP4)の 発現抑制 は ヒ ト上顎癌細胞 にお け るシス
プ ラチ ン耐性 を減弱す る)
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主査
審 査 委 員
副査
副査
史之 癖
海芽
ぬ
シスプ ラチ ンは頭頸部癌治療 にお ける化学療 法薬 として広 く使用 されて い るが電鰤 膝 後 に
腫瘍再発 を認 める例 も経験 され シス プ ラチ ンに対す る耐性 の獲得 が 問題 とな つてい る。 これ
までに著者 らは頭頸部癌 にお ける シスプ ラチ ン耐性 の機 序 を検討す るためにシス プ ラチ ン耐
性上顎癌細胞株 の樹 立に成功 した。 また耐性株 を用 い た角早析 にお いて細胞周期 の G2/M期 停
止 が シスプ ラチ ン耐性 に重要 な因子である ことを見 出 した。本研 究では、 シスプ ラチ ン耐性
上顎癌細胞株 の G2/M期 停 止 に関わる機序 について分子生物学的手法 を用 いて検討 した。
実験対象 は ヒ ト上 顎癌細胞株 IMC‐ 3か ら樹立 した シスプ ラチ ン耐性株 IMC‐ 3CRを 用 い た。
耐性 に関与す る新規分子 を同定す るため、IMC‐ 3CRに お いて シス プ ラチ ン処理後 に有意 に
発現 が変化す る遺伝子 を PCR arrayに て解析 した。 同定 された遺伝子 の mRNAレ ベ ル での
発現 を リアル タイ ム PCR法 で、蛋 白 レベ ルでの発現 を Western blotting法 で検討 した。また
機能的 な解析 として siRNAに よつて発現 を抑制 し、 シスプ ラチ ン投与後 の細胞周期 の変化、
アポ トー シス細胞数 、細胞 生存率 につい て定量 した。 さらに遺伝子 を強制発現 させ た 際 の細
胞生物学的特性 の変化 につい て観察 した。
シ ス プ ラ チ ン 耐 性 株 IMC‐ 3CRに お い て 、 シ ス プ ラ チ ン処 理 後 に 転 写 制 御 因 子
Poly(rc)‐ Binding Protein 4(PCBP4)の mRNAお よび蛋 白 レベ ルが約 2倍 の発現上昇 を認 め
た。PCBP4特 異的 siRNAに よつて発現 を抑制す る と、シスプ ラチ ン処理後 48時 間 で G2/M
期 に誘導 され る細胞数 は減少 し、逆 に SubGl期 へ誘導 され る細胞数が増加 した (p<0.05)。
また anne逓 nV‐ FITCキ ッ トを用 い た角早析 では、増加 した SubGl期 の細胞 はアポ トー シス
であ る ことが確認 された。MTTア ッセ イでは PCBP4を 抑制す ると有意に シスプ ラチ ン投与
後 の細胞生存率 が低 下す ることが示 された (p<0.05)。 一方 、 ヒ ト上顎癌細胞株 IMC‐ 3に
お い て PCBP4の 強制発現株 を作成 した ところ、シス プ ラチ ン処理後 G2/M期 に誘導 され る
細胞 が増加 し、アポ トー シス細胞 は減少 した。シス プ ラチ ン投与後 の細胞生存率は IMC‐ 3CR
と同等 で あ り耐性 化 してい る こ とが解 っ た。 さらに RIP‐ Assayに お い て検討 した結果 、
PCBP4が 結合 し うる分子 として細胞月期制御 因子 Cdc25Aが 見出 された。
以 上 の結果 よ り、 上 顎癌細胞株 の シスプ ラチ ン耐性 に 関 わ る細胞周期 の制御機構 につ い
て 、 シスプラチン刺激 によ り発現が上昇 した PCBP4分 子が Cdc25Aの mRNAと 結合す る
ことによつて発現低下 を誘導 しG2/M期 停 止 を引きお こす ことが 明 らか とな つた。そ の結果、
上 顎癌細胞 がアポ トー シ ス を逃れ シス プ ラチ ン耐性 を獲得す る ことが示唆 され た。本研 究
は 、 シスプ ラチ ン耐性 ヒ ト上顎癌細胞 にお ける PCBP4に 対す る分子標 的治療 が 、G2チ ェ
睫す る可能性 を示す もので あ り、本学学位
ックポイ ン ト解除 によつて シス プ ラチ ン耐性 を克月
の
の
める
。
論文 として十分価値 あるも と認
(平 成 27年 8月 17日 )
別紙様式第 8号 (第 14条 関係 )
最終試験 の結果 の要 旨
※
整 理番 号
ふ りがな
氏
名
Suppression of
学位 論 文題 目
い とう ゆみ
伊 藤 有 未
Poly(rC)― Binding Protein 4(PCBP4)reduCCd Cisplatin
resistancc in human maxlllary cancer cells
(Poly(rc)‐ Binding Protein 4(PCBP4)の 発 現抑制 は ヒ ト上 顎癌細胞 にお けるシス
プ ラチ ン耐性 を減弱す る)
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称ィ
主査
審 査 委 員
副査
副査
焔
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に よ り,学 位 論 文 を中心 と した 関連 分 野 につ いて試 問
上 記 の者 に対 し
,
筆
合
答
格
を行 つ た結 果
と判 定 した。
不合格
(平 成
27年 8月 17日 )