岡山県総合教育センターだより 平成 27 年度第 12 号(通算 238 号) 平成 27 年9月 11 日(金) 発行 岡山県総合教育センター Tel (0866)56-9101 Fax (0866)56-9121 全国学力・学習状況調査の結果を授業改善に生かす(小学校国語編) 今年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。岡山県の小学校国語に関しては,国語A・ Bともに全国の平均正答率との差が縮まり,改善状況の見られる結果となりました。そこで,本号では, 引き続き授業改善を進めていくために,調査結果から見える課題を踏まえた小学校国語科の指導のポイ ントについて解説します。今後の授業づくりの参考にしてください。 (次号は小学校算数科) 調査結果から見える岡山県の課題(小学校国語) ○引用など表現の工夫を捉えることや文章の中から必要な情報を読み取ることに課題 ○目的に応じて複数の内容を関係付けて自分の考えを整理したり,判断する根拠を説明・記述した りすることに課題 ◆基礎・基本の定着に向けた指導を充実する 「国語A」は,基礎的・基本的な知識・技能が身に付いているかどうかを確かめる問題です。漢字 の読み書きについては全国平均を上回る設問数が増えるなど改善が見られましたが,引用など表現の 工夫を捉える設問については全国との差が大きく,言葉の意味理解に課題が見られました。 ●新聞のコラムを読む A5 引用部分のはじめの5文字を書き抜く 正答率 15.2%(県) 19.8%(全国) この設問では, 【コラム】の文章における3のまとまりに, 「 」 を使った引用箇所があることを捉える必要があります。そして, ある作家による「読書というものは、その時その時によって読 みの味わいがちがう」という言葉に着目する必要があります。 正答率が 15.2%とかなり低いことから,「引用」とは,「本や 文章の一節や文,語句などを引いてくることである」と理解す ることに課題があり,指導の充実が求められます。 <誤答例>「子ども読書」「世界本の日」「セロ弾きの」 これらの誤答は,「引用」した場合はかぎ(「 」)で括る ということについては捉えていますが,引用の必要性や効果 を考えた上で引用している言葉を判断できなかったものと 考えられます。 学学習指導のポイント 習指導のポイント 目的に応じて,適切に引用できるようにする 「引用」とは,本や文章の一節や文,語句などを引いてくることであり,実生活で生きて働く国語の 能力として,目的に応じて,適切に引用できるようになることは大切なことです。このため,かぎ(「 」 ) で括ることなど,引用の仕方を指導するとともに,引用したことについて,児童が自分の思いや考えを 書くことも指導することが必要です。 児童が引用する目的意識や必要性を十分にもてる言語活動を位置付けた指導 目的によって,どの文献のどこをどの程度引用するかが決まってくることから, 「自分の考えを補 説したい」,「説得力を高めたり,具体例を挙げて読み手を納得させたりしたい」などの目的意識を もたせることが重要です。その上で,引用については,課題解決の過程において指導するようにし ます。 裏面に続く 岡山県総合教育センターだより 羅針盤 ◆文章と図とを関係付けて考えを書く指導を充実する 「国語B」は,基礎的・基本的な知識・技能を活用することができるかどうかを確かめる問題です。 岡山県では,特に次の設問に課題が見られました。 ●文章と図とを関係付けて自分の考えを書く B2三 「森山さんのグループでは, 『希望者が一人の場合には,その人がその楽器に決まる』とい うことを確認しています。グループの五人は,楽器の分担をどのように決めていくことにな りますか。 【楽器の分担図】をもとにし,次の条件に合わせて説明しましょう。」 正答率 39.9%(県) 41.6%(全国) <正答例> 「しかし,CさんとDさんとEさんは,」一人しか希望どおりにいきません。木きんから外れた二 人は,リコーダー①か,小だいこをたん当します。三人がなっ得するように折り合いをつけて決 めていく必要があります。 正答の条件は,次の三つを満たしていることです。 ①「リコーダー①」「小だいこ」「木きん」という三つの言葉を使っている。 ②【文章】の中で説明している, 「決めるときに大切なこととして, 『折り合いをつけて決めていく』 または『ゆずり合って解決する』」という内容を取り上げている。 ③書き出しの言葉に続けて,80 字以上,100 字以内で書いている。 <誤答例> 「しかし,CさんとDさんとEさんは,」三人とも木きんを希望しています。ですが,木きんは一 人しかできないので,リコーダー①と小だいこにだれかが一人ずつ移らなければなりません。 このように解答した児童は,楽器の分担を決める過程を説明するために, 【楽器の分担図】に示され た内容を読み取ることはできていますが, 【文章】の中に書かれている決めるときに大切なことを取り 上げて書くことができていません。 学習指導のポイント 学 習指導のポイント 文章と図表やグラフなどと関係付けて,自分の考えをまとめられるようにする 児童が文章と図表やグラフなどと関係付けて,自分の考えをまとめるためには,図表やグラフなどを 読み取るとともに,文章と図表やグラフなどと関係付けて読むことについて指導することが必要です。 具体的には,図表やグラフなどが添えられた文章を提示し,それらを関係付けて読んだり,自分の考え を書いたりする指導を意図的に行うことが考えられます。 文章と図表やグラフなどとの関係やその効果を捉えることができる指導 図表やグラフの内容が文章のどこに取り上げられているのか,どの程度詳しく,あるいは簡潔に 説明されているのか,図表やグラフがあることによって文章がどのように分かりやすくなっている のかといった視点で捉えられるようにします。 説明的な文章を書く際に,図表やグラフを効果的に用いることができる指導 図表やグラフなどを引用した資料名を記述したり,文章の最後に,参考にした資料名などを明記 したりすることなど,他の資料などから必要な内容を引用するときの注意点について確認しておく ようにします。 お知らせ 岡山県教育庁義務教育課では,平成 27 年度全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた指導改善 に取り組むためのヒント集として,「全国学力・学習状況調査を活用した指導改善に向けて」をま とめています。各校の指導改善の計画立案の際に,ぜひご活用ください。 次回の発行は,9月 25 日(金)の予定です。 (担当・教科教育部) 【バックナンバー】http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/sougou/koho/
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