阿寒国立公園・藻琴山(1,000m)における山のトイレ問題について

阿 寒 国 立 公 園 ・藻 琴 山 (1,000m)における山 のトイレ問 題 について
松 尾 英 樹 (東 京 農 業 大 学 非 常 勤 講 師 )・ 外 崎 秀 和 (㈱ エ コ ニ ク ス 環 境 事 業 部 )
北 海 道 百 名 山( 北 海 道 新 聞 社 刊 )に 選 定 さ れ て い る 藻 琴 山 は 、近 年 の 健 康 志 向 ブ ー ム や 学 校
教育登山などで3千人の登山者(網走南部森林管理署入林届より)が訪れる手軽な山である。
登山道入口は、①平成 7 年開館した小清水ハイランド725施設側(以下小清水町側)と、
②大空町東藻琴銀嶺水側(以下大空町側)の2ルートがある。
登 山 者 は 、 ① で は 簡 易 水 洗 ト イ レ ( 男 ”小 ”3 ”大 ”3 ”、 女 5 、 バ リ ア フ リ ー 1 )、 ② で は 昭 和
36 年 築 木 造 建 屋 の 野 積 み 式 ト イ レ に て 用 便 を 済 ま せ て か ら 、 行 動 し て い る 。
登 山 道 上 で は 、お 地 蔵 様 の あ る 広 場 奥 、屏 風 岩 付 近 、頂 上 直 下 広 場 隅 に て 、山 の ト イ レ 問 題
が往年より潜在化している。
藻琴山でのトイレ問題点としては、以下の3点があると考えられる。
1 点 目 は 、 ① ト イ レ は 現 在 解 消 さ れ て い る が 、 24 時 間 利 用 が 防 犯 上 の 問 題 か ら 時 期 的 に 制 限
されていたこと。②トイレは、野積み式トイレのままであること。
2点目は、携帯トイレの販売回収システムは、①②登山口双方共に、未だにないこと。
3点目は、トイレ(尿意便意)を我慢しづらい小中高校生などの団体利用が多いこと。
さらに、冬山初心者に人気のある冬期11~4月下旬は①は閉鎖となり、近郊では川湯温泉、
または大空町東藻琴市街にまで移動しないと、トイレはないという地域位置環境にある。
こ れ ら は 初 心 者 及 び 身 近 な 山 の た め 、意 識 啓 発 が な か っ た こ と が 想 定 さ れ る が 、し か し な が
ら、今後、山でのトイレ意識の改善へ教育効果的な可能性を高く秘めているとも考えられる。
次 に 、当 地 に お け る 残 物 の 分 解 に 要 因 す る 地 面 気 温 環 境 を 参 考 に 示 す 。自 記 録 気 温 測 定 器( サ
ー モ ク ロ ン G ,K N ラ ボ ラ ト リ ー ズ / 60 分 間 隔 )を 用 い た 結 果 、融 雪 後 5 月 17 日 か ら 降 雪 期
10 月 27 日 ま で の 平 均 気 温 は 6.5℃ ( 最 高 気 温 22.5℃ 、 最 低 気 温 - 2.0℃ )、 初 冬 に - 11.2℃ ま
で 下 が っ た 後 、 積 雪 期 に は - 0.5℃ に て 推 移 し て い る 寒 冷 地 環 境 に あ る こ と が 、 現 在 の と こ ろ
解 明 さ れ て い る 。( 鈴 木 悌 司 , 中 村 隆 俊 , 松 尾 英 樹 , 外 崎 秀 和
未発表)
今 後 、 小 清 水 町 、 大 空 町 、 弟 子 屈 町 、 美 幌 町 ( 以 上 、 藻 琴 山 行 政 区 域 自 治 体 )、 オ ホ ー ツ ク
及 び 釧 路 総 合 振 興 局 、環 境 省 及 び 林 野 庁 も 含 め た 関 係 機 関 、地 域 住 民 や 登 山 者 の 連 携 等 に よ る
藻琴山のトイレ対策の在り方の検討が課題となってきていると考えられる。
藻琴山頂上の姿
眼下に広がる屈斜路湖
銀嶺水側登山口の湧水