検証! 成田空港と住民の暮らしシンポ

公開質問状 成田市長 小泉一成 様 「検証! 成田空港と住民の暮らしシンポジウム」で採択された申し入れ書
に対する回答に、お礼申し上げます。 しかしながら申し入れ書と回答との間には、明らかな齟齬があると思われま
す。成田空港は 2002 年の暫定滑走路開業以来、場当たり的でなし崩し的な空港
拡張と騒音拡大を続けてきました。この結果、住民は「命を削るリスク」に日々
さらされています。 「空港に最も近い天神峰、東峰、取香はもとより、騒音地域のいずれの測定
地点(「平成 25 年度 成田国際空港周辺航空機騒音測定結果」成田市空港対策
課報告による)でも、WHO ガイドラインと比較して健康影響(主として睡眠障害)
が生じるレベルにあり、測定地点によっては心疾患などが生じる閾値(しきい
ち)も超えています」(「申し入れ書」) シンポジウムで採択された申し入れは、この立場からの抜本的な見直しの要
請です。第4次厚木爆音訴訟判決を踏まえて、成田で繰り返されてきた空港拡
張・騒音拡大と、新たな滑走路建設構想の撤回を求めています。 その観点に立つ時、回答はまったく不十分であり、改めて成田市に対して質
問する次第です。 なお、国交省、空港会社、千葉県に対しては、成田市から送達したとの報告
を受けましたが、いまだ返答がありません。誠に遺憾であることを申し添えま
す。 1) 要望1(カーフュー緩和の撤回要請)に対する回答について 成田市としては、四者協議会において「確認書」を締結したことから、
「合意事項の検証」と「確実な履行」を業務としているとの回答でした。
しかし、この姿勢にこそ問題があると思われます。 2013 年度の発生状況をみると、弾力的運用で 58 件、緊急事態(従来取
り決め)で 98 件の計 156 件に上ります。単純計算すると 2.3 日に 1 件の
割合で 23 時以降の騒音が発生していることになります。 1
この事態を前にして、現に住民が健康被害を受けている自治体として
「合意事項の検証」だけで良いとするのか、成田市としての考え方をお
答えください。 また、B747はカーフュー緩和の対象機材から除外されたと理解して
いますが、現に使用されています。同機がカーフュー緩和の対象機材と
されたのはいつからのことで、どのような理由によるか? 2) 要望2(年間発着容量 30 万回の撤回要請)に対する回答について これも四者協議会の合意を理由にした上で、
「騒音・環境対策、共生策
など……取り組んでいくことが重要」などとしています。 しかしながら騒音地域の現状は、
「WHO ガイドラインと比較して健康影
響が生じるレベルにあり、測定地点によっては心疾患などが生じる閾値
(しきいち)も超えている」のです。 補助金が健康被害になんらの効果もないことは自明であり、屋内にお
ける騒音の軽減が解決にならないことは住民の声に明らかです。 住民不在のまま一方的に 30 万回を決め、補助金と引き換えに押し付け
るあり方は不適切と思われますが、成田市の考え方をお答えください。 3) 要望3(『第3滑走路』構想の撤回要請)に対する回答について 第3滑走路構想に対する成田市の態度を疑わざるを得ません。成田空
港が、半世紀近く過ぎてもなお欠陥を抱え完成しないのは何故でしょう
か。適地判断を誤り、住民不在のまま決定し建設を強行したからにほか
なりません。この過去の歴史の反省を踏まえ、成田空港シンポジウム等
で「地元住民の合意を得ないで平行滑走路は着工しない」との確認がな
されたはずです。その公約を反故にして、またしても住民の知らないと
ころで建設場所までもが論議されているのです。 成田市の回答は「住民の理解が不可欠」などとしながら、
「騒音地域の
方々への速やかな情報提供と、丁寧な説明を国に対して求める」などと
構想推進の姿勢とも捉えられるものでした。 成田市はなぜ、過去の歴史をふまえて、こうした拡張構想を問題にし
ないのか、姿勢を問います。 2
4) 要望4(離着陸禁止時間帯を拡げることを含む、抜本的な対策の実施を
求める)に対する回答について シンポジウムの採択内容の核心は、カーフュー時間と 22 時台の便数制
限など「運用時間の厳守」に留まらず、禁止時間帯の拡張を求めところ
にありました。住民は「命削るリスク」の中に置かれているのです。 シンポジウムでは、現状深夜早朝各1時間の禁止時間の拡張で、8 割〜
9 割の睡眠が救われることが明らかにされました。住民の命と健康を預か
る成田市が、なぜこうした観点に立とうとしないのか? 考え方をお教
えください。 また、Lden の評価指標は不適切であることから「指標の追加について
粘り強く働きかける」としていますが、これは当然のことと思われます。
これまで成田市としては実施のためにどのような働きかけをしてきた
か? 現状はいかがか? 以上、質問しますのでお答えください。 2015 年 2 月 10 日 検証! 成田空港と住民の暮らしシンポジウム 市東さんの農地取り上げに反対する会 共同代表 坂本進一郎/井村弘子 3