遺伝性乳がん卵巣がん症候群 (Hereditary Breast and Ovarian Cancer :HBOC) の複十字病院での遺伝学的検査について 遺伝子は、ヒトや細菌を含む生物の「設計図」で、生命体をつくるための情報や体の 機能を維持するための情報が含まれています。遺伝子の解析により、病気のなりやす さや治り易さが推測できる様になり、医療の現場で様々に活用されています。 遺伝性乳がんの原因の一つと明らかにされ、アンジェリーナ・ジョリーさんの事例で 有名になった BRCA1 あるいは BRCA2 遺伝子の変異による HBOC があります。年間 8 万人の日本の新規乳がん患者の中の 3-5%、1,800-3,000 人が HBOC と推定されてお り、診断の為の BRCA1/2 遺伝学子検査が各施設で始められています。 HBOC は下記の様な特徴を持ち、通常の乳がんとは異なる対応が必要です。 若年で乳がんを発症する トリプルネガティブ(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体をもっていなくて、 HER2 発現がないタイプ)の乳がんを発症する 両方の乳房にがんを発症する 片方の乳房に複数回乳がんを発症する 乳がんと卵巣がん(卵管がん、腹膜がんを含む)の両方を発症する 男性で乳がんを発症する 家系内にすい臓がんや前立腺がんになった人がいる 家系内に乳がんや卵巣がんになった人がいる 逆に、上記の様な特徴をご本人あるいは近親者が持たれている場合は、HBOC の 可能性があり、BRCA1/2 遺伝子検査の実施が推奨されています。両親から子へ遺伝 しますので、この検査の実施には、充分な遺伝カウンセリングが義務付けられていま す。 複十字病院でも、HBOC に対する遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査の実施は 可能となっています。保険適応にはなっておりませんので自費診療となります。 詳しくは、乳がん患者さん(ご本人)の場合は乳腺科各担当医師に、乳癌未発症者 の場合はがん相談室にお尋ねください。
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