乳癌に関係する遺伝子の探索

乳癌に関係する遺伝子の探索
2012年度 総合華頂探求(生命情報科学実習)
華頂女子中学高等学校
2年 医療・理系コース
小倉、北川、木村、久留野、田中、野村、山下
乳癌について
乳癌は、米国の女性にみられる癌では皮膚癌に次いで多く、女性の癌の中
では肺癌に続いて多い死亡原因となっています。
乳癌の危険因子
 年齢
加齢は重要な危険因子です。乳癌の約60%は60歳を過ぎた女性に発生
しています。
 乳癌の家族歴
ごく近い親族(母親、姉妹、娘)に乳癌の人がいる女性では乳癌発症リス
クが2〜3倍になります。母親、姉妹、娘の中に乳癌の人が2人以上いる場
合はリスクが5〜6倍になります。
 乳癌に関係する遺伝子
乳癌に関係する遺伝子の中で、特に遺伝子BRCA1とBRCA2は、遺伝子診
断の対象として既に病院でも調べられています。
(引用サイト : メルクマニュアル医学百科 家庭版)
乳癌に関係する遺伝子
jabion遺伝子百科で、乳癌に関係する遺伝
子を調べると、67 遺伝子が見つかりました。
(ABC1, BCAR1, BCAS1, BCMP11, BRCA1, BRCA2など)
その中の1つ、BRCA1遺伝子について詳細
を調べました。
(使用サイト:jabion遺伝子百科 http://www.bioportal.jp/Gene_search/search/search.cgi )
乳癌に関係する遺伝子 “BRCA1”
 ゲノム配列上の位置: 17番染色体
 遺伝子名: breast cancer 1
機
能: BRCA1はDNA損傷修復、細胞周期チェック
ポイント、アポトーシス(細胞死)制御 など、細胞内の
いろいろな機能を調整してDNAの恒常性を維持してい
ます。
 この遺伝子に異常があると、DNAの傷をもとどおりに
修復することができないために、DNA異常が蓄積し、
それによって生じた異常タンパク質によって、やがて
増殖を止めることのできない がん細胞 が発生します。
(引用サイト:聖マリアンナ医科大学大学院 医学研究科 ホームページ
http://www.marianna-u.ac.jp/t-oncology/general/research.html )
BRCA1 遺伝子が翻訳するアミノ酸配列の一例
LOCUS : NP_009229 680 aa linear
PRI 10-MAY-2009
DEFINITION: breast cancer 1, early onset isoform BRCA1-delta9-11 [Homo sapiens].
(データ引用元: NCBI
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/NP_009229.1 )
BRCA1 遺伝子 の突然変異情報
OMIMで、突然変異情報を調べると、15件の突然
変異情報が得られました。
BRCA1, CYS64GLY
BRCA1, CYS61GLY
BRCA1, SER766TER
BRCA1, SER915TER
BRCA1, SER1040ASN
BRCA1, ARG1203TER
BRCA1, GLU1250TER
BRCA1, ARG1443TER
BRCA1, ARG1443GLY
BRCA1, TYR1853TER
BRCA1, ARG841TRP
BRCA1, ARG71GLY
BRCA1, MET1775ARG
BRCA1, MET1775LYS
BRCA1, ARG1669GLU
一例を挙げて、説明すると、
(使用サイト: OMIM http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim )
BRCA1, CYS 64 GLY
LOCUS : NP_009229 680 aa linear
PRI 10-MAY-2009
DEFINITION: breast cancer 1, early onset isoform BRCA1-delta9-11 [Homo sapiens].
正常な人は、 c(CYS)システイン。 g(GLY)グリシンに
変異している人は、乳癌を発症する可能性が高い。
まとめ:予防医学、個別医療に貢献するゲノム解析
 ヒトの個人ゲノムが、1,000ドル(約8万円)で解読でき
る時代がやって来ました。
 希望する個人は、自分のゲノム配列、遺伝子配列を
調べ、どのような病気に罹りやすいかを調べることが
出来ます。(予防医学への貢献)
 また、どの遺伝子が変異して病気を発症しているの
かがわかると、自分にあう薬選びに役立つ場合もあり
ます。(個別医療への貢献)
 今回の実習を通して、ゲノム検査に関しての理解と、
これを自分自身が、今後どう活用していくかを考える
ための基礎知識が得られました。