朝日大学歯学部附属村上記念病院の紹介 医学

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<病 院 だ よ り>
朝日大学歯学部附属村上記念病院の紹介
病院長
大 橋 宏 重
朝日大学歯学部附属村上記念病院は岐阜駅か
ら徒歩で 8分という便利な場所に立地してお
り,岐阜医療圏の地域医療を担う基幹病院の一
つであります.本院は昭和 18年に設立された
村上外科病院を同院の院長である村上治朗先生
(京都大学)が地域医療および医学・歯科教育へ
の貢献のために学校法人である岐阜歯科大学へ
昭和 48年に寄付されたことから始まります.
昭和 60年に経営学部の開設とともに岐阜歯科
大学から朝日大学へ改称し,昭和 62年には法学
部を,平成 26年には保健医療学部を新設しまし
た.朝日大学はスポーツが盛んで,フェンシン
グ,ボーリング,グランドホッケーなどでオリ
ンピック,アジア大会へ出場する選手を輩出
し,ラグビーは大学選手権に出場する常連校と
なっています.また,弁護士,公認会計士の資
格を得た学生を育てているという実績もありま
す.
平成 6年には既設の本館に隣接して東館が,
平成 24年には西館が増築され,安全性を配慮し
た質の高い医療の提供,救急医療の充実,予防
医学の推進を病院の理念として日常診療に励ん
でいます.とくに,質の高い医療の提供を目指
して,本邦で行える最高の医療を提供すること
が各診療科の目標となっています.当院の常勤
医は朝日大学歯学部の教育職であり,診療,教
育,研究のいずれにも力をつくすことが求めら
れています.近年,歯科医師国家試験の問題に
医科領域に関連した問題が多く出題されるよう
になり,この領域の講義や実習の重要性が増し
てきています.さらに昨年 4月に開設された保
〒500
‐8523岐阜県岐阜市橋本町 3丁目23番地
健医療学部看護学科の学生教育も担当すること
になり,教育面における役割が年々大きなもの
になってきています.
病院の現況について紹介いたします.当院は
平成 27年 7月の時点で 24診療科を有し,一般
病床 323床,回復期病床 42床の計 365床の病院
であります.医師は歯科医師を含め,常勤 61
名,非常勤 43名であり,京都府立医科大学から
は消化器内科 4名,整形外科 6名,麻酔科 2名
が常勤医師として勤務しています.外科は京都
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大学,眼科は藤田保健衛生大学,形成外科は愛
知医科大学,他の診療科は岐阜大学から派遣さ
れています.しかしながら,出身大学が異なっ
ても互いにその長所を生かして連携し,充実し
た緊張感のある診療を行っていると自負してい
ます.病院全体として 41の学会から施設認定
を受け,常勤医師の 70%が専門医であり,当院
は専門医の集まりであると言っても過言ではあ
りません.しかしながら,裏を返せば研修医,
専攻医などの若手医師が少ないことを意味し,
若手医師を多く集めることが当院の課題である
と言えます.
消化器内科は井田和徳先生(京都府立医科大
学)が開設され,臨床ならびに研究に力を入れ,
日本消化器内視鏡学会,日本消化器集団検診学
会,日本レーザー医学会などの全国規模の学会
の他,多くの学会長を歴任され,大きな役割を
はたしてこられました.また,井田先生が指導
された奥田純一先生(京都府立医科大学)
,小島
孝雄先生 (岐阜大学)
,加藤隆弘先生(京都府
立医科大)が活躍され,この領域で指導的役割
を演じているのは衆目の一致するところであり
ます.加藤先生は副院長として病院の運営・経
営に携わり,内科系を取りまとめ,当院の発展
に大きな功績を残されました.昨年 4月よりは
八木信明先生(京都府立医科大学)が着任され,
先生の指導を受けた冨江晃先生,北江博晃先生
も同時に勤務されるようになり,消化器内科の
みならず病院の雰囲気も一変し,地域の医療機
関からの紹介患者も増加しています.
他の内科系診療科を紹介しますと,循環器内
科は心臓超音波検査,CTならびに核医学によ
る循環器領域の診断,経皮的カテーテルイン
ターベンションを中心とした治療に力を入れて
います.また,糖尿病・内分泌内科は外来での
診療が中心となりますが,糖尿病を合併する他
診療科の入院患者の血糖コントロールも行い,
外科系診療科からも大きな信頼を集めていま
す.京都府立医科大学から北江彩先生が着任し
ています.呼吸器内科は気管支喘息などのアレ
ルギー疾患,慢性閉塞性肺疾患,肺腫瘍の診断
と治療を診療の柱とし,腎臓内科は検尿異常か
ら血液浄化療法までを担当し,腎生検による腎
疾患の診断と治療,腹膜透析を含めた血液浄化
療法の導入と透析合併症の対策を中心とした診
療を行っています.なお,本年 4月からは総合
内科領域を腎臓内科が担当し,ER型の救急医
療からホスピタリストが行うであろう一般入院
患者の内科領域まで対応していく方針です.放
射線診断科では 1日あたり 100件以上の読影を
担当医が行っていますが,参考文献まで紹介し
た丁寧なレポートが返ってきます.また,早朝
から研修医,学生を対象に読影を中心としたレ
クチャーを週 4日行い,放射線治療科では最新
のソフトを備えたリニアックによる治療を行っ
ています.
外科系診療科に話をすすめたいと思います.
整形外科は,初代の診療部長である井上四郎先
生(京都府立医科大学)が骨折治療で用いられ
るレジン創外固定法や大腿骨頚部骨折に対する
つば付スクリュー (c
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考案したほか,人工関節の置換術も多く,早く
から関節リウマチの外科的な治療に取り組むな
ど高度な先進的な診療を行ってきました.井上
先生の後には大橋俊郎先生 (京都府立医科大
学)が人工股関節の置換術を多く手掛けて,症
例数を重ねました.現在では日下義章先生(京
都府立医科大学)が人工関節の置換術を行うだ
けでなく,疾患修飾性抗リウマチ薬を用いた関
節リウマチの治療を行い,県内外から多くの患
者が来院しています.日下先生が関節領域を,
今泉佳宣先生(京都府立医科大学)が脊椎領域
を,塚原隆司先生 (名古屋大学)がスポーツ外
傷,とくに前十字靭帯再建を担当しています.
京都府立医科大学整形外科からは日下先生のも
と,今泉先生,青芝秀幸先生,後藤毅先生,塚
田誠先生,前田昌俊先生が派遣され,他大学出
身の 2名を加えた 8名体制で診療を行っていま
す.整形外科は当院で入院患者数と手術数が最
も多く,当院の屋台骨を背負っているといって
も過言ではありません.また,今泉先生は人望
が厚く,当院の職員の取りまとめ役的存在であ
り,塚原先生は中日ドラゴンズのチームドク
ターでもあります.
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外科は初代院長であった村上治朗先生が昭和
30年代から村上外科病院で小児ヘルニアの日
帰り手術を始め,
「ヘルニアは村上外科病院」と
いわれる時代がありました.現在では腹腔鏡下
手術を中心とした診療を行い,医師は京都大学
の移植外科と消化器外科から派遣されていま
す.また,形成外科は褥創回診を行い,院内で
発症した創傷に対応しています.脳神経外科は
ホットラインを有して 24時間体制をとり,5名
体制で診療を行っていますが,血管内手術では
県外も含めて他病院の脳神経外科から紹介され
てくる,あるいは手術を依頼されてくる状況に
あります.また,リハビリテーションを積極的
に行い,地域の中核としての役割を演じていま
す.
東館 7階には,乳腺外科と婦人科が開設され,
女性外来のフロアーとして機能しています.乳
腺外科は健診センターでのスクリーニングを積
極的に行い,乳がん患者を多く集め,婦人科は
京都府立医科大学卒の藤本次良先生が岐阜大学
から赴任され,診療を行っています.藤本先生
は診療だけでなく,保健医療学部の学部長に就
任され,大学の運営にも大きく関与されるよう
になりました.また,泌尿器科は領域の診断と
治療だけでなく,透析患者のブラッドアクセス
とペリトネアルアクセス,副甲状腺摘出後の自
家移植まで対応し,眼科は平成 12年の開設と歴
史は浅いのですが,硝子体の手術も積極的に行
い,手術件数は整形外科についでいます.歯科
口腔外科は 2次医療機関として難抜歯や口腔腫
瘍などの紹介症例を中心に診療しています.
麻酔科は智原栄一先生と冨江有香先生が京都
府立医科大学から着任されています.智原先生
は当院だけでなく歯学部付属病院の歯科麻酔も
統括されており,診療と教育にも多くの時間を
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割かねばならず,多忙な毎日を過ごされていま
す.さらに地元の救急隊員の気管内挿管などの
実習にも協力し,救急医療体制の構築に大きな
役割を演じ,高い評価を受けています.
当院は救急医療にも積極的に取り組んでお
り,2次救急を担当する岐阜市病院群輪番制に
参加し,年間 5000人以上の救急患者を受け入れ
ています.現在,脳神経外科,消化器内科,循
環器内科がホットラインを開設し,救急隊やか
かりつけ医からの連絡を受けています.救急医
療は医療の原点であり,今後も積極的に取り組
んで行きたいと思います.
また健診にも力を入れ,西館に総合健診セン
ターを専用施設としています.スタッフは専任
とし,マンモグラフィーなどの最新の診断機器
を用いて情報を提供しています.問診,診察,
結果説明は医師が行い,内視鏡検査も専門医が
担当しています.このように,多くの医師が積
極的に健診に関与していることが本センターの
特徴と言ってよいと思います.
江戸時代には木曽川の堤防は尾張側が高く,
美濃側が低く,美濃側が洪水の影響をまともに
受けてきたと言われています.これが原因とは
思いませんが,岐阜では尾張・三河ではなく,
京都の文化を色濃く感じ取ることができます.
斉藤道三,織田信長の居城であった岐阜城が市
の中心に聳え,その麓を鵜飼で有名な長良川が
流れている風光的媚なところです.また,京
都,東京にも近いという交通の便の良いところ
でもあり,岐阜は文化だけでなく自然にも魅力
あるところであります.当院は開設当初から京
都府立医科大学にお世話になってきました.微
力ではありますが,京都府立医科大学の発展に
少しでも寄与できればと決意しています.